第64話 魔塔の攻略ルート
『堕天の魔塔』の10階のフロアを進み、9階へと向かう階段を見つけた。
9階へと降り、さらに下の階層へと向かう階段を探していく。
「塔なのに、下へ行くんだね?」
マイアが首を傾げていた。
「てっぺんから攻略を始めたからな。
本来は1階に入口があって、そこから10階へ向かってから1階に戻るのが正規ルートだ」
アイーダがいなければ、そのルートを通っていた。
ちゃんと1階から攻略していけば、階が上がるごとに徐々に強いモンスターが配置されているので、少しずつ強くなって進めるようにできている。
しかし、その正規ルートを、自分から外して進むことになるなんてな……
あの徹夜して作った時間はいったい……
いや、考えるのはよそう。
ここは似ているけれど『ヴレイヴワールド』じゃないかならな、うん。
それに、下っていくだけでもレベル上げはできる。
そんなわけで、9階から8階、8階から7階といった具合に下へ下へと進んでいく。
10階に出現していたモンスターの一部は、7階から下には出現しなくなり、代わりにホーンラビットやランページボアなどの序盤のフィールドにも出てくるモンスターが混ざるようになる。
全員のレベルが上がっていたこともあり、目的の1階へはあっさりと到着した。
「これで塔を出れば、攻略は終わりなのかしら?」
「いいや、外には出ないよ。
こっちだ」
俺はリーゼに答えつつ、塔の出入り口とは真逆の道を進む。
記憶していたマップを頼りに、フロアの一角をめざす。
「……ここだな」
「ここって……壁だけど……?」
マイアが言った通り、目の前は壁だった。
レンガのように見える特殊な素材でできていて、とても先に進めるようには見えない。
けれど、間違いない。
この場所が正解だ。
「ルナ、さっきの指輪を」
「はい!」
ルナが左手の指輪をかざす。
すると、壁全体が指輪にはめられた『聖の魔石』と同じ輝きを見せた。
そして、光がガラスのように砕け散り──
「えっ!?
階段が出てきた……!」
その通り。
『プリエール・アノー』は『堕天の魔塔』の地下への階段を出現させるキーアイテムになっている。
『堕天の魔塔』は、1階から10階まで上ったあと、『プリエール・アノー』を手に入れて1階へと戻ってから、この場所で地下へと進むようになっている。
上に進んでから、下へ戻る……ふむ、自分で作っておいてなんだけど、手間がかかるな。
だけどその分、いい物があるから許してほしい。
さて、ここからは塔の地下を攻略していく。
だけどその前に、ルナたちには言っておかないといけないことがある。
「地下のモンスターは、10階にいた連中よりも手ごわい。
マップも複雑で『堕天の魔塔』の最大の難所になっているんだ。
3人とも、気を抜かないようにな」
「わかりました」
「が、がんばる!」
「ようやく骨のあるやつと戦えるのね」
ルナ、マイア、リーゼがそれぞれやる気を見せる。
アイーダは……
「我が感じた強めの気配はこの先にいるようだな」
地下へと続く階段に向けられた顔からは眠気は消えているように見えた。
少しは緊張感を持ってくれているようだな。
それでは、『堕天の魔塔』の終盤攻略開始だ!
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