幕間 とある少女たちの、存在しないはずの会話2

 ~ルナ、マイア、リーゼ視点~


「あの男、コロす!!!」


「リーゼ、落ち着いて」


「あはは、口調がいつものに戻っちゃったね」


「当たり前でしょ! ニャーをつけろとか……意味わかんないわ! なんでそんなくだらないことさせるのよ!」


「けれど、普段と違うリーゼが見られて面白かったわよ?」


「そうそう、とっても可愛かったよ! 子猫みたいで」


「ぶっ飛ばすわよ!?」


「あら、怖いわね」


「怖いニャー!」


「アンタたちねぇ……!」


「もう少しリーゼの可愛い姿を見たかったけど……そろそろ教えてもらおうかしら? 何があったのかを」


「ミツキは、約束って言ってたよね? 何の約束だったの?」


「……そ、それは……」


「もしかして、力任せにミツキから何か聞き出そうとして返り討ちにあったとか?」


「えー、さすがのリーゼもそれはないよ──」


「…………」


「……リーゼ、目をそらさないで」


「え、本当に?」


「だ、だって……あやしいやつなら、すぐに調べたほうがいいじゃない。危ないやつだったら、困るんだし……」


「それで、もしも危ない人だったら、リーゼの身に危険が及ぶわ。反対に、いい人だったら、私たちのことを信用しなくなる」


「リーゼ、お姫様からも丁重に扱うように言われたんだよ? ミツキが助けてくれたことに変わりないから」


「うー……わかってるわよ! わかって……たのよ……」


「はぁ……頭が痛いわね」


「ミツキには謝らないとね……って、あれ? でも、リーゼがミツキの言うことを聞いてるってことは、戦って負けたの?」


「…………っ」


「なるほど、そういうことね」


「そっか……リーゼが魔法で負けることはないから、ミツキは剣のほうが得意なんだね」


「……違うわ。あたしは、魔法勝負で負けたのよ……」


「え?」


「え?」


「しかもあいつ、あたしと勝負したあとに、スクラップベアをひとりで倒したの」


「スクラップベア!?」


「一体で王都が崩壊するレベルのモンスターだよ!?」


「そうよ。それもほぼ魔法だけで倒した。もう、イヤになっちゃうわ……」


「…………リーゼ、ニャー」


「うん、ニャーだね」


「は?」


「あなたのことだから、まだ謝ってはいないのでしょう? ミツキを怒らせてはいけないわ。明日謝りにいきましょう。それまでニャー」


「そうだね。ミツキからのお願いなら、ニャーしといたほうがいいね」


「ニャーしといたって……意味わかんないわよ」


「リーゼは悪い子ニャー」


「バツとして、ずっと語尾にニャーをつけるニャー」


「え、え……」


「ニャー」


「ニャー」


「…………い、いやニャァァァァァァァっ!」

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