第15話シェリル不機嫌になる
アルフレッド王子とミレニ-伯爵令嬢が帰り、シェリル嬢の夕食の食卓は賑わいをみせていた。
「お似合いの二人でしたわね~」
「ああっそうだな、カインが早く王子と親しくしていれば屋敷に連れ、シェリルの婚約者に成っていただろうに…」
「ん!?…んん…ごほっ、ごほっ、お、お父様?何を言っているの?」
食事をしていたシェリル嬢は、突然父親の言葉に驚き食べ物を喉に詰まらせ水を飲み干した。
「そうよね、二人の微笑ましい姿を見て何故わたくし達のシェリルでは無いのかしらと思ってしまったわ」
「!?お、お母様まで…どうしたの突然…?」
シェリル嬢は母親の残念そうな顔を見て何があったのか両親を見ていた。
「ああっ、ミレニ-嬢とアルの仲の良い姿を見てシェリーを思い出していたようなんだ。何故アルを早く招待しなかったのかって言われたよ」
苦笑いを見せシェリル嬢に説明をしていた。
「はぁ?…こほん、アルフレッド様はわたくしの好みの方ではありませんわ。その様な事を言われましたらミレニ-様に失礼ですわ」
「そうだな」
「そうよね」
両親は笑顔を見せテーブルに並べた料理を食していた
食事を終えたシェリル嬢は部屋へと戻っていた。
「…はぁ、食べた気がしませんでしたわ」
「シェリー」
「カインお兄様!」
「お腹の方は大丈夫かい?」
「えっ!…あ、ご…ごめんなさいお兄様、わたくし嘘を言いました…」
「うん、分かっているよ。私も無理にアルに会わせようとしていたから…まさか、同じ学園に通うミレニ-嬢が婚約者として連れて来るとは思わなかったんだ」
「お兄様も知らなかったのですか?」
「婚約者になる令嬢がいると聞いただけだからね」
「お似合いのお二人でしたわ」
(ですが、わたくしの部屋に王子と二人でいましたのには気分が悪いわ。婚約者のミレニ-様がいますのにわたくしに触れるなんて…ミレニ-様がその事をしりましたら、わたくしが気まずくなるではありませんか…)
「そう言えば、アルがシェリーの部屋に行ったと聞いたのは本当かな?」
「な!?何故それを?」
真っ赤な顔で声を上げたシェリル嬢にカインはクスッと笑っていた。
「アルが化粧部屋から戻った時に話していたんだ」
「!?」
(何故わたくしの部屋に行ったなどと言うのですか?あの王子は…婚約者のミレニ-様の前で…)
「カ、カインお兄様、わたくしも驚いているのです!まさか、アルフレッド様が居ますとは思いませんでした!!」
ズイッとカインの前に顔を上げ、シェリル嬢は叫んでいた。
「お、落ち着いてシェリー…アルは、私がシェリーを心配していると思い部屋に様子を見に行ったと言っていたよ。私にもシェリーの部屋に勝手に入り、驚かせてしまったと謝っていたんだ」
「…ミレニ-様は?」
「ああっ、彼女はアルと替わるように席を外していたんだ。彼女が居ない席でアルからその話しを聞いたんだよ」
「…はぁ、良かった…」
シェリル嬢は、兄からミレニ-嬢は今の話しは知らないと聞かされ胸を撫で下ろした。
「でも、その後がアルからの質問が多かった」
「質問?」
「シェリーの年は何歳なのか?恋人はいるのか?夢は良く見るのか?と聞いて来たのに驚いたよ」
「……何故そんなお話を?」
「それに、以前シェリーが夢で『玉子焼き』の夢を見たと言っていたのを覚えているかい?」
「えっ、ええ…」
「その夢の事も聞いてきたんだ。でも、彼女が戻って来たから話しは途中で終わったよ」
「アルフレッド様は…何かわたくしに聞きたい事でもあるのかしら?」
「私もよくは分からないが…ミレニ-嬢が戻ると仲の良い二人の姿を見る事になったけどね」
「…迷惑ですわ。だから、お父様とお母様が変なお話しをするのですわ~」
「ははっ、そうだね」
(わたくし、夢を見ました時に他にも何か言っていたのかしら?…)
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