第14話シェリル初めての会話

「…何故泣いているんだ?悲しい夢でも見ているのか…?!どうすれば…」

キョロキョロと部屋の周りを見渡しているアルフレッド王子は、メイドは部屋の外で待たせていた為部屋の中には居ない…

(女の流す涙は何度も見ているのに、何故こんなに気になるのか分からない…)

アルフレッド王子は、ベッドの上で涙を流すシェリル嬢を戸惑いながらも見下ろし、濡れた頬を指で触っていた。

(カインの妹だから気になるのかもな…)

「…ぃ…」

「ん!?目が覚めたのか?」

「…もぅ…い…い…」

「……っ…!?」

ズキンと胸に刺さるのを感じたアルフレッド王子はシェリル嬢から指を離した。

「……」

アルフレッド王子は小さな息を吐くとまたシェリル嬢の頬に手を触れた。

「…ん…お兄様…?!」

シェリル嬢は、頬に触れる暖かな手に薄く目を開けた

「えっ!?」

シェリル嬢は兄のカインだと思いボーと見ているとハッと驚き目を見開いた。

「ア…アルフレッド様?!えっ?な、何故手を顔に??」

ガバッと起き上がるシェリル嬢は真っ赤な顔でアルフレッド王子の手を避けた。

「な、何故アルフレッド様が部屋に居るのですか?…それに先ほどは何を…」

シェリル嬢は不機嫌な顔でアルフレッド王子を見て声をかけていた。

「…涙を流していたが、どのような夢を見ていたか覚えているのか?」

「え?涙?」

シェリル嬢は手で頬を触りかすかに濡れているのが分かると、今度は真っ青になり両手で頬を触っていた。

(え?ちょっ、涙って…わたくし泣いていたの?それも顔に触れるなんて…まさか、わたくしの寝顔もずっと見て…)

真っ青から真っ赤になったシェリル嬢は、今度は両手を顔で隠していた。

「…もう一度聞く、夢は覚えているのか?」

「えっ?夢…で御座いますか…いえ、覚えていません…わたくしは、目を覚ましましたら夢は忘れてしまいますから…」

「…そうか…」

「…あの…失礼な事でも…」

「いや、涙を流していたようだから…どのような夢だったのか気になっていただけなんだ…」

「……はぁ…あっ!も、申し訳御座いません…」

「いや、謝る事は無いよ私が勝手に部屋に入り驚かせてしまったんだ」

「……」

(わたくしの夢が気になるなんて、そんなに泣いていたのかしら…アルフレッド様には嘘を話してしまいました。今日は鮮明に覚えていますわ…兄弟男性の方達の夢を見ましたとはとても言えませんから…それに口論のような話し方でその後は覚えていません)

「…勝手に入ってすまなかった…カインが心配していたもので様子を見に来たんだ」

「ご心配お掛け致しましてすみません」

(…お菓子の食べ過ぎに心配したのかしら…後でお兄様に謝りましょう)

「私は戻るが庭園に来ないのか?」

「えっ!?あ…申し訳御座いません」

「そうか…残念だが君と会話が出来て良かったよ」

アルフレッド王子は笑顔をシェリル嬢に向け部屋を出た。

「…はあ~~っ、疲れましたわ…」

シェリル嬢は大きなため息を吐き、ふたたびベッドに潜り込み寝直す事にした。



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