第13話シェリル嬢の部屋に

アルフレッド王子がシェリル嬢の部屋に居る前の事…

「少し席を放れるよ」

「アルフレッド様、何処へ行きますの?」

「クスッ、君も一緒に化粧部屋に行くのかい?」

「まあっ!」

「おやおや」

「ホホホホ」

「はぁ…」

カアッと真っ赤な顔で頬を染めるミレニ-嬢に、クスクスと笑い悪戯のように笑みを見せるアルフレッド王子は、ミレニ-嬢の額にキスをした。

「ア、アルフレッド様!?皆様の前で…」

「額にキスをしただけだよ?」

「もう、アルフレッド様は…早く化粧部屋へ行って下さい」

「ハハハ、カイン部屋を借りるよ」

「はぁ…ああ、屋敷内にメイドがいるから聞いてくれ」

「ああっ、分かった」

アルフレッド王子は歩きながら手を上げ、庭園の場所を離れ屋敷内に入りメイドの案内で化粧部屋に入った。化粧部屋を出たアルフレッド王子は、廊下を歩きふとカインの妹を思い出した。

「確か…カインの妹は体調が悪いと言っていたな…様子を見に行っても良いかな」

幾つもある部屋を見ていると、メイドが部屋から食器類を手に持ち出る姿を見掛けた。

「君、少し良いかな?」

「えっ、あっ!ア、アルフレッド様!?」

メイドは驚きアルフレッド王子に頭を下げた。

「君に聞きたいんだけど、カインの妹の部屋は何処なのか教えて欲しいんだ」

「え?!」

「体調を崩していると聞いて少し様子を見たいと思ってね」

「……」

「君が食器類を持って出た部屋が妹の部屋なのかな?」

「…はい…ですが、今お休みに成りましたのでお会いになりますのは無理だと思います…」

「…そうか、カインが心配していたから今の様子を教えてあげたらと思ったんだが…」

「……」

チラッとメイドを見るアルフレッド王子にメイドは頬を赤く染め、部屋に通すべきか悩んでいた。

(近くで見ると素敵な王子様だけど、婚約者がいるのにシェリルお嬢様に会いたいだなんて…でも、お断りとは言えない…)

メイドはチラッとシェリル嬢の部屋を見てアルフレッド王子へと目を向けた。

「分かりました…少しのお時間でしたら…」

「有り難う、顔を見るだけだから…」

アルフレッド王子は、シェリル嬢付きのメイドに声をかけ部屋の中に入って行った。

部屋の中に入ったアルフレッド王子は、日の光で照らされた部屋を見渡し、部屋の奥にベッドを見つけ側へと歩きベッドの上に眠るシェリル嬢の姿を見付けた。

(女性は皆同じ部屋の花の香りだと思っていたが…カインの妹の部屋はお菓子の甘い匂いがするんだな…)

ベッドの側に来たアルフレッド王子は、眠るシェリル嬢の寝顔を見て驚いていた。

「何故、泣いて…」




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