第11話着飾る事など無かった

「アニー、暫く休むわ」

「シェリルお嬢様、本当は体調が悪かったのですね」

「……」

メイドのアニーはお菓子が入った容器を片付ける為手を出した時、お菓子が全部無くなっていた事に気付き、シェリル嬢の顔をチラッと見た。

「こ、こほん、アニーが持って来たのですから残すのは勿体無いでしょ~」

「ふふっ、お嬢様クッキーとビスケットはどちらがお好きですか?」

「そんなの選べないわ、アニーはどっちが好き?」

「私も、選べません」

クスクスと二人で笑い、シェリル嬢は化粧台へと椅子に座った。

「…シェリルお嬢様、本当に宜しいのですか?お着替えになりまして……」

「良いのよ、アニーには悪いと思っているわ綺麗に身仕度してくれたのに」

「いえ、私の事でしたら気にしないで下さい…でも勿体無いです。シェリルお嬢様凄く綺麗ですから…アルフレッド王子はお嬢様のお姿を見ていないのでしょうか?」

「別にいいわ、今日はカインお兄様に会いに来られて婚約者を紹介する為屋敷にお越しに成っただけなのよわたくしが三人の輪に入っても何もお話しする事は無いの」

シェリル嬢は着飾りをしたドレスに髪飾りを取り寝服へと着替える事にして、ベッドの上に座った。

「アルフレッド様が帰った事をわたくしに知らせて起こしてねアニー、今から休むわ」

「…分かりましたシェリルお嬢様」

シェリル嬢はベッドの上に座っていた体を横にすると目を閉じ眠りへと入って行った。

「…シェリルお嬢様、もうお休みに?!…私はお嬢様に余計な事をしたのでしょうか…アルフレッド王子がお屋敷に来ると聞いてシェリルお嬢様を見て貰いたいと思っていたのに……まさか婚約者の方を連れて来るとは思わなかったわ」

メイドのアニーはシェリル嬢の寝顔を暫く見た後、小さなため息を吐き部屋を出て行った。

シェリル嬢が寝静まった頃、カインはアルフレッド王子と婚約者のミレニー嬢の側へと戻っていた。

「カイン、妹は大丈夫なのか?」

「ああ、心配要らないよ部屋で休んでいるよ」

「まぁ、そうですの、カイン様の妹様に御会いしたかったわ」

「君達の御披露目会には会えるよ」

「ほほほほ、わたくし達もご一緒に宜しいかしら」

「私達も仲間に入れて貰えないかな?」

「父上、母上まで…」

「私は別に構わないが」

「わたくしも構いませんわ」

庭園では五人でお茶会をする事になり楽しい時間が過ぎていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る