第18話 暴走


18

 硬直していたのは一瞬だったと思う。けれど、ものすごく長い間のような感覚もあった。

 僕はあわてて立ちあがり、崩壊した屋上から土煙で見えない三階へと飛び降りようとする。

「くそっ。待ってろ、いま――」

「――和彦。いま、僕に背を向けるのかい?」

「なにふざけたこと言ってやがる。こんなことしてる場合じゃ……」

 振り返ったところで無言でかざされた右手に、僕は黙りこむ。

 あの“炎の剣”も、蒼の魔法陣も現れてはいない。しかし、銀の手元で目まぐるしく移り変わる空間の深度に、いつでも“炎の剣”を放つことができる状態だと理解できた。

 下でつかさが「え、なに!」と叫んでいるのが聞こえてきていたが、うかつに動くこともままならない。

「僕はふざけてなんかないよ、和彦。燐を取り戻すためなら、なんだってやる。……そう、なんだってやってやるさ。そのためなら、そのためなら……僕は和彦も殺してやる」

 背後から、更なる轟音と、悲鳴。

 三階に落下した屋上の残骸が、三階の床をも崩落させて更に階下へと落ちていったんだろう。こんなんじゃ、ここもいつまで保つかわからない。

 さっき、銀は“炎の剣”で校舎を破壊し……いまもなお轟音の合間に聞こえてくる階下からの悲鳴にも平然としていた。今の銀はどんな被害を引き起こしても頓着しない。きっと、僕を殺してやるっていうのだって本当だろう。

 なにかひとつ間違えば、本当に僕は銀に殺されてしまう。

 だけど――。

「僕を殺しても、三峯さんは銀のものにはならねーよ」

「そんなこと分かんないだろ」

「分かるさ」

 狂気に震える銀の瞳を見返す。

「人を殺して手に入る幸せなんかねぇよ。そんなことしたら、三峯さんは余計にお前から離れていくぞ」

「それなら!」

 掲げた右手がぷるぷると震える。銀の周囲で不安定に震える蒼の空間は、いつ“炎の剣”が暴発してもおかしくないように見えた。

「……それなら、三峯さんも殺してやる。そして――」

 突如、大学の方で爆発的な力の感覚が僕らを襲う。

「なっ……」

 横目に見れば、半分崩壊した南校舎の向こう、グラウンドを越えた先の瓦礫の山と化した大学の建物の中で、信じられほど巨大なサイズの紅い魔法陣が展開していた。

 直径……二十メートルはある。さっきの銀の直径二十センチの蒼の魔法陣とは比べ物にならない。

「紅い……暴走してるのか」

 銀が向こうを見てつぶやく。

 ――今しかない。

 そう思えば、悩んでいるヒマはない。僕は銀がこっちに視線を戻す前に飛びかかる。

 体を低くして、銀の華奢な身体を突き飛ばすと、小柄な銀はあっけなく倒れ、屋上を転がる。

「あぐっ……、かず、ひこ。よくも、よくもぉぉぉっ!」

 ……しかし、逆効果だったらしい。

 屋上の床に転がったまま、銀は無作為に“炎の剣”を振りまわす。

 それは、空間の深さから光を――光子をコントロールし、あらゆる周波数の光子の位相を揃えて放つ、いわゆるレーザーみたいなものだ。その熱量でもってなにもかもを断ち切り、すべてのものを破壊する。

「くっそ……」

 僕はあわてて横っ飛びする。

 ついさっきまでいたところを熱線がなぎ、またも校舎を崩壊させていく。

 なんとか崩落していない床に飛びつき、叫ぶ。

「そんなデタラメにやってみろ、皆死ぬぞ!」

「それがどうした!」

 身体を起こし、銀が叫び返す。

「和彦、お前も燐も……もういい。天原さんだって他のみんなだって知ったことか。叶わないんなら……なにもかも破壊してやる。誰だろうと殺してやる」

「銀!」

 再び振るおうとする“炎の剣”。

 わざわざ指摘するまでもなく、文字通り光速のそれを避けるすべはない。

 光速とは秒速約三十万キロメートルだ。光は直進し、曲がったりしない。

 だから、銀から僕に真っ直ぐ放たれれば、避ける時間などなく貫かれる。

 ……しかしそれも、普通なら、だ。

「テメーには殺されねーよ、銀」

「へらず口を叩けるのもいまだけだ。これは誰も避けられない。蒼の世界が見えてるなら、なおさら分かるだろ」

 銀の手のひらに蒼の魔法陣がまたたく。

 同時に僕も、空間の深度を定義している力に干渉する。それは僕の目の前で、空間の深さに合わせて紋様のような蒼い魔法陣を描いた。

 銀のそれと同じように。

 だが、銀と同じような干渉が起きているわけではない。

 銀は空間への干渉により、光をコントロールしていた。

 僕がコントロールしたのは、空間そのものだ。

 それはつまるところ、重力ということになる。

 重力により空間がゆがみ……銀の“炎の剣”は“曲がった空間の中を真っ直ぐ”に進み、結果として僕の眼前で軌道を変えた。

「なっ。和……彦!」

「殺されねーって言ったろ」

 自信満々に言って見せる……が、空間を曲げきれずに制服の上着が少し斬られていた。背後では三階建ての校舎と同じくらいの高さの並木が、軌道が変わった結果まとめて断ち切られ、音をたててくずおれていく。それよりもさらに遠くでは、高層マンションが中程で切断され、上半分が地上へと落下して土ぼこりがその周囲を覆い隠していく。

 うまく使いこなさないと……いたずらに被害を増やしてしまう。

「お前が天使として覚醒しただけでも驚きだっていうのに、そんなに簡単に使いこなされちゃ……たまんないな」

「へっ。これでお前の“炎の剣”は無効だ」

「馬鹿言うなよ、和彦。この力が、そんな単純なものだって思ってるなら、大間違いだ」

 言うと、銀の雰囲気が変わる。

 蒼の魔法陣がまたたく。それも無数に。

 戦慄する。

 一ヵ所、空間を曲げるだけで精一杯だったというのに、この数じゃ……避けられない。

 その魔法陣の数だけ、十数本の“炎の剣”が放射状に放たれる。

 僕の強がりなんか、簡単に看破されていたってことだ。

「……やってみろよ」

 それでも、僕はもう強がるしかない。不意を打つしか、手段が残されていないからだ。

「ふん。和彦が見えているように、僕にだって見えているんだよ。和彦がコントロールできる重力なんてたかが知れてる」

 銀の言葉と同時に、放射状に放たれた“炎の剣”が、僕に向かって収束する。

 そこに待つのは死だけだ。

 どうすればいい。

 ……どうすればいい?

 そんな風に思ったのも、一瞬のことだ。

 ただ全力で展開した僕の魔法陣により、僕から見て右下側の“炎の剣”をまとめて曲げて隙間を作る。

 そして、その一メートル四方もない隙間に僕は突進した。

「――なっ」

 銀の網目のような“炎の剣”にできた穴に飛び込み、銀の華奢な身体を突き飛ばす。

 右の太ももに焼けつく傷み。

 “炎の剣”がかすったか、と思いながらも、銀を倒し、二人でもつれ合いながらコンクリート上を転がる。同時に、放射状に広がっていた“炎の剣”が雲散霧消したのが分かった。今のを何度もやられるわけにはいかない。これ以降、銀に“炎の剣”を振るわせないようにしなければ。

 すぐに起きあがり、いまにも落ちそうなコンクリートの端で倒れたままうめく銀に馬乗りになる。

「銀、終わりだ。あきらめろ」

「なにを……!」

 力を行使させないために僕ができることと言えば、押さえつけて銀の意志を砕くか……空間を先に支配して、銀がコントロールする余地を奪うかのどちらかしかない。

「――恨むなよ」

 そう言って拳を振り上げるが――誰かに暴力を振るったことなんてなくて、ためらってしまう。

 相手は何人も簡単に傷つけて――階下の被害を考えると、それだけではないかもしれない――僕や三峯さんを殺すと宣言してはばからない奴だっていうのに。

「和彦ぉっ!」

 銀が激情のまま、無作為に空間に干渉する。

 それは、なんとか空間を支配しようとしていた僕の意志など簡単に上書きし、ただ闇雲に光を撒き散らした。

「くっ」

 突然視界を埋めつくした、まばゆいばかりの光。

 集束まではしていなくて、殺傷力など微塵もない、本当にただの光だった。しかし、それでも目もくらむほどの閃光だ。

 とっさに手をかざして防ぐが、それでは全然防げないくらいにはまぶしい。そしてその隙を突いた銀に突き飛ばされてしまう。

「うわっ」

 手をつこうとしたところは、すでに崩落して床がなかった。僕はバランスを崩して落ちそうになる。

「おおおっ!」

 無我夢中で力を行使する。

 と、一メートルほどの魔法陣が展開し、僕は――だけじゃなく、銀や周囲の瓦礫なんかも――空中に舞いあがった。

 僕自身の力であり、僕が重力を操った結果だが、コントロールできているとは決して言えない乱雑な力だった。

 瞬間的に上向きの重力にさらされた僕らは、二、三メートルの高さを放物線を描きながら舞いあがる。そして落ちる前に銀の“炎の剣”が僕を襲った。

 僕は再度空間を曲げる。

 銀の“炎の剣”は、僕の胴を切断する直前で真上に曲がり、一緒に舞い上がっていた瓦礫を両断。

「くそっ」

 銀の悪態を耳にしながら、僕は屋上へと叩きつけられる。

 ……悪態をつきてーのはこっちの方だよ、銀。本当に、一切のためらいなく僕を殺そうとしやがって。

 屋上はもう、元の広さの三分の一も残っていない。北校舎自体は半壊している。

 地震はあったが、この破壊の限りをつくしたのは轟銀だ。僕は……甘さを捨てなきゃいけない。

 ――そう思いはするけれど、そんなに簡単に決断できることじゃなかった。

「いい加減にしてくれよ……和彦!」

 よろめきながら立ちあがり、銀が振りかぶる“炎の剣”を空間を曲げて避ける。……が、あらぬ方向に曲がった“炎の剣”は、僕には当たらなかったものの、床を斬り裂き、大学とは反対側の住宅街で猛威を振るう。

「……っ!」

 崩れ落ちて土ぼこりをあげる射線上の住宅を見て、血の気が失せる。

 くそっ、まただ。

 僕のせいで……僕が生き残るために、誰かが傷ついてしまうとしたら?

 僕一人の命のために、何十人もの命を犠牲にしていたとしたら?

 そんな思考が頭の中を巡った。

「いい加減にするのはてめぇだ、銀!」

 怒鳴り、銀に正対する。

 自らがこの場所を支配するという意志をもって、空間から銀の意志を追い出す。

 そうしなければ――銀の意志を追い払わなければ――被害はどこまでも拡大していってしまう。

 チリチリと、視界が灼けつくような感覚。

 蒼く染まった視界に、一瞬だけ紅い光が混じる。

 全身が粟立つような錯覚におちいった。

 すぐに蒼の世界だけに戻るが、まったく未知の世界の片鱗を覗きこんだようで、蒼の世界が見えるようになったときとは違う、とてつもない恐怖を味わう。

 紅……あの世界は足を突っ込んではいけない。

 きっと、取り返しのつかない事態になる。

「くそっ……。和彦のくせに。和彦のくせに! 僕の邪魔ばっかりしやがって!」

 僕の恐怖に気づくことなく、銀が僕に対抗して手のひらをかざす。

 一極集中して魔法陣を展開しようとしているのを――“炎の剣”を振りかざそうとするのを――阻止する。うまく表現できないが、実際のところ意地と根性の張りあいみたいなものだった。

 僕たちは狭くなった屋上で対峙し、微動だにしない。

 それはハタから見れば、必死の形相で突っ立っている意味不明な二人の少年だっただろう。だけど、そこで僕と銀は……空間の奪い合いとでも言うべき、四次元目の空間を認識できるものにしかわからない静かな戦いを繰り広げていた。

 空間の支配を奪い合う戦い。

 それは、均衡した力というわけではなかった。

 まだ詳しくわかっているわけではないが、それでもこの力――天使、なんて呼ぶ超能力――を前から使いこなしている銀と、さっき扱えるようになったばかりの僕には、やはり歴然とした力の差がある。

 正直、押しきられるのを必死にこらえている、というのが本当だった。

 魔法陣が展開。拡散し、無害となった光が散る。

 ――なんとか光子の集束だけは防げたかが、このままやられたらまずい。

「はは……なんだ。和彦の力も大したことないな」

「言ってろ。僕に傷もつけられないくせに」

「これからさ」

 銀の瞳にも、紅い光が混じる。

 それはすぐに、銀の片目を侵食した。

 蒼の世界。

 三次元空間を超越し、四つ目の空間さえも認識した者にしか見えない世界。

 ならば……ならば、あの紅い光はどこからきた?

 また違う次元だとでも?

 そんなことがあり得るのか?

 ついさっき、大学の方で紅い魔法陣が展開していたのを思い出す。それを見て銀が「紅い……暴走してるのか」とつぶやいたことも。

 さっきちらりと見ただけで、あれが蒼の世界以上に常軌を逸しているのはわかった。暴走するのも、さもありなん、といったところか。

「銀……やめろ」

 知らず、口に出ていた。

「やめるわけ、ないだろ」

「そっちは、ダメだ」

 あんなもの、コントロールできるわけがない。あの紅い光は、見てはならない世界の光だ。

「……はっ。ダメなのは、お前が防げないからだろ? 僕は和彦とは違ってこの力だって――」

 言い終わらないうちに、紅い魔法陣が展開。

 狙いの定まっていない極太の紅のレーザーが、僕の右側にあった塔屋を爆散させた。

「ぐっ……うぁ……」

 同時に、銀がうめいて片膝をつく。

 見れば、銀の左腕の――肘から先が炭化していた。二の腕も灼けていて、肉の焼ける異臭が鼻をつく。

 再度、紅の魔法陣。

 それは銀の頭上に展開し、上空に向かって紅の“炎の剣”が放たれる。

 そのふく射熱で、銀の白髪が舞い上がってチリチリと焼ける。“炎の剣”の先は上空の雲さえ巻き込み、断ち切り、蒸発させていた。残された雲が、引き起こされた乱気流に渦を巻きはじめる。

「……銀、やめろ」

 再度の言葉は、嘆願だった。

 明らかに力をコントロールできていない。振り回されているし、暴走している、という言い方になんの違和感もない。

 なのに、なんでやめようとしないんだよ、銀。

「――くそっ」

 銀の次の“炎の剣”が展開する方角に、思わず舌打ちする。曲げる場所が僕から離れれば離れるほど、制御が難しい。が、やらなきゃ被害を抑えられない。

「うああああああっ!」

 今度は銀の背後――大学の方に放たれる紅の“炎の剣”。

 僕の全力の魔法陣は、南校舎跡上空で展開した。

「なっ――」

 驚いたのは――僕の方だった。

 またも銀の身体を灼きながら放たれる“炎の剣”は、僕の重力により曲げられた空間を抜け、上空に散るはずだった。なのに……南校舎を超え、大学のグラウンドから建物の残骸が広がる辺りで逆側にカーブを描き、大学の瓦礫の山へと吸い込まれるように伸びていったのだ。

 言うまでもなく、その場所には僕の力など目じゃないほどの、すさまじいほどに強力な重力が吹き荒れていたからだ。

「なんだよ……あれ……」

 その光景に目を疑う。

 グラウンドの端、大学の事務棟だかなんだかがあったはずの辺りを中心として、周囲の瓦礫さえ巻き上げて旋回し、巨大な渦を形成していた。

 自分たちのことだけに集中しすぎていて、向こうでそんな異次元の光景が繰り広げられていることにもまったく気づいていなかった。が、改めて見てみると、なぜ気づかなかったのか理解できないほどにすさまじい。

 ハッとして視線を戻す。

 見ずとも、向こうの力に銀が引きずられているのがわかったからだ。

「銀!」

「はは……ははは。はは……」

 長々と伸びた“炎の剣”がやがて収束する。が、彼の瞳は両眼ともに紅い光に染められていた。

「いい加減にしろ! 止めるんだ、銀!」

 僕の叫びに、銀はさらに笑って見せた。

「ははははは! 止めたきゃ殺せよ。もう、コントロールなんかできやしないんだ!」

「ざけんな! 僕よりうまいんだろ。コントロールできるんだろうが。自分で止めて見せろよ!」

「できたとして……止めてどうなる? 僕にはもう、なにも残って――うあああああっ!」

 火傷だらけの右腕と、炭化した左腕で頭を抱えて絶叫する銀。その特徴的な白髪も、ほとんどが焼けてしまっていた。

 もはや、銀が自らの意志で止められない状態なのは明白だった。同時に、止められるのが僕だけだというのもまた、明白な事実だ。

「止めたきゃ……殺せよ。死んだっていいさ。どうせお前も分かる。この世界がどれだけくだらないのかってことに。守る価値も、そこに僕たちが存在する価値すら……無いんだ」

「くそ。くそっ、くそ……銀!」

「やれよ……やれ」

 銀の諦念すら感じる声。

 本当にそれしか手段がないと思わせるのに十分だった。

「……くそ」

 止められるのは僕だけだ。

 そしてその方法は……銀のコントロールを奪う、という方法ではない。蒼の世界しか見えない僕には、紅の世界の力に引きずり回されている銀の力を封じ込められない。

「なんでだよ。なんで、こんな……」

「はは、ははは――」

 轟銀。

 線の細い、華奢な白髪の美少年。

 幼なじみの僕とつかさの仲を、夫婦だとからかってくる同級生。

 高校からだから、まだ出会って数ヶ月だけど、それでも親友にだって言えるくらいには仲のよかった友だち。

 その親友を、僕は――。

「――くっ」

 銀が行使しようとしている紅の力が見えて、息を呑む。

「やらなきゃ……死ぬのはお前だ。和彦」

 紅の魔法陣が展開するとしたら、直径五メートルは超える大きさになるだろう。

 放たれる紅の“炎の剣”は、恐らく魔法陣と同サイズ。まっすぐに僕へと向けられたそれは、空間を曲げたところで、ふく射熱だけで僕を消し炭にする規模だ。

 銀の不安定さからして、猶予はあと五秒以下。

「う、わあああああああっ!」

 全力展開。

 目の前に顕現する、蒼の魔法陣。

 僕が操るのは、重力。

 周囲の重力の方向が変わる。

 僕の前方、銀の背後が突如“下”となる。

「えっ?」

 銀の呆けた声。

 屋上の床から足が離れ、“下”方へ落下する銀。

 範囲を限定している余裕もなかったせいで、落下するのは僕も同じだった。屋上から落ちてしまうのを恐れ、すぐに重力をもとに戻す。

 もとに戻った重力に混乱したまま、僕はなんとか屋上に着地し直す。もう少しで落ちることになる、ギリギリのところで。

「あっ……」

 僕がそう声を漏らした頃には、銀は無防備な姿勢のまま屋上から落ちていった。


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