第23話 電話

 昭和の電話といえば黒いダイヤル式電話です。電話番号の数字に指を入れ、引っかかるところまで回し、指を離すとダイヤルが戻る。あの感触と音が大好きです。この当たり前と思えることが今の子供たちにはわからないようで、数字をプッシュするらしいですね。


 私が物心ついたころ、我が家は近所の伯母の家の電話にかかってきたら呼んでもらう「呼び出し」で、電話がついたのは小学2年生の時でした。


 我が家の電話には黄色いカバーがかかっていました。市販のカバーですが、今思えばあんな複雑な形なのにピッタリに縫ってあるのがすごいなと思います。


 そういえば、受話器のカバーは全部覆うタイプと持つところに巻きつけるタイプがありましたね。全部覆うタイプは、受話器の穴が空いているところが出るようにゴムでキュッと縮めていたけれど、ずっと使っているとびよびよになってだら〜んとしちゃいました。


 生地は小花柄で細い白いレースがついていたと思います。そういえばお揃いの生地の敷物があって、その上に電話が鎮座していたような気がします。


 置き場所は玄関が定番でした。冬の電話はつらいです。呼び出しの人がすぐ取れるように玄関に置きはじめたから玄関が定番になったのでしょうか。


 プッシュホンが出た時は衝撃でした。「ピッポッパ」という言葉とともに普及しましたね。


 さて、黒電話時代によくお世話になったのが117と177です。時報が


 プッ→プッ→プーン↗ (矢印は音の高さ)


 だから


 1→1→7↗


 と覚えていました。(そういえばテレビの時報、なくなりましたね。正午前とか、時計がアップで出て秒針が動いて時報を知らせていたのに)


 1→7↗7↗


 は、天気予報です。

 今はスマホでかなりピンポイントの天気までわかるようになりましたが、当時は天気予報のない時間帯に知りたいと思ったらすぐ電話していました。


 当時は電話帳に各家の電話番号が載っていたので、電話帳を見るのも遊びのうちでした。この名前多いなとか、同姓同名が市内に3人もいるの?とか、 好きな子の家の住所と電話番号でお父さんの名前がわかったりとか。間違い電話がかかってきたら、電話帳で調べてみて、どの家にかけるつもりだったか見つけ出し、1番違いだったり、下二けたが入れ替わっているのを発見したりという無駄な分析をしていました。暇ですよね。


 公衆電話は10円しか入れなかったら、あと10円ぶんで終わるというお知らせのピーが鳴るので、20円入れてかけていました。県外にかけるとものすごい勢いで10円が落ちていくんですよね。100円入れられる電話や、テレホンカードができるのはもっと後のことです。


 テレホンカードはお土産として、観光地で売られていました。なので、どこかの風景が入ったテレホンカードが家にたまっていました。


 ある時期から電話ボックスには怪しいお店のエロい広告の小さな紙がたくさん貼られるようになりました。そのころは電話するのがすごく嫌でした。なんだか電話ボックスのにおいとそのころの気分を思い出します。


 今の子は公衆電話のかけ方がわからないみたいです。スマホしか見たことがない子には、受話器を取って、お金を入れて、電話番号をプッシュするという発想はないでしょうね。なので、YouTubeにNTTが作った公衆電話のかけ方の動画があります。


 昔は友達の電話番号は全部覚えていたけど、今は電話に登録しているので覚える必要がありませんね。会社の内線も必要なものはすべて覚えていました。でも、今、携帯をなくしてしまったら、家族の携帯の電話番号を覚えていてかけることができる人はどのくらいいるのでしょうか。皆さんきちんと覚えていらっしゃるのかな?


 災害時は171番が伝言ダイヤルになりますので、携帯がつながらない場合は、家族で固定電話の番号で伝言するように決めています。これを使わないで済むことを祈るばかりです。


 さて、私が生きている間に、電話なし→呼び出し→黒電話→プッシュホン→子機つき→FAXつき→PHS→ガラケー→スマホと、電話はどんどん進化してきました。まさか、一人1台電話を持つ日が来るとは! 本当に便利になりましたね。しみじみ。


***


今日の近況ノートは「魔法のマコちゃん」について語っていますが、後日、電話関連の画像をアップしますね。

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