第20話 芸術かエロか

「エマニエル夫人」は1974年のフランスの映画です。この映画の公開当時、小学生はみんなこのポスターのまねをしていました。ドリフも「8時だョ!全員集合!」でやっていた記憶があります。籐の椅子に座って足を組んでいるシルビア・クリステルはとてもきれいな人でした。


 どんなポスターだったかしらとググってみたら! えーッ!!!! こんなだったかしら? お乳丸出しです。おもいきり足を組んでいますが、パンツ履いてます? レースで隠れてるけど見えちゃいそう……。


 そんなエッチなこのポスター、当時は街に貼ってありました。テレビでもコマーシャルを映していたと思います。だからみんな知っていて真似をしたし、テーマ曲も歌えました。


 映画がどんなものかを知らないので調べてみました。


「若妻を性的欲望に奉仕させるために自らの好みに飼育し、その若妻が美しく開花していく様を描く」


 なんということでしょう! よく一般映画として公開されたものだと、驚くばかりです。S〇X、レズ、オ〇ニーのオンパレードって書いてあるんですけど! しかも女子高生に大人気だったそうです。


 映像が美しいみたいですね。R指定はまだない時代でした。それにしても、カットや修正はされたものの、ピンク映画(←昭和の表現)としてではなく、普通に上映されたということは驚くばかりです。真似をしている私たち子供を見て、親は何を思っていたのでしょうか。


「愛のコリーダ」は1976年の日本とフランスの合作映画で、安部定事件を描いたものです。問題作、とは聞いておりましたが、大事なところをばっちり映しちゃってるみたいです。日本では修正して公開されましたが、外国では無修正だったようです。こちらも映像が美しく、芸術か、エロか、という作品です。


 クインシージョーンズの「愛のコリーダ」という曲は、この映画からタイトルを取ったのだそうです。私は勝手に映画と曲は無関係で「I know Korrida」と歌っているのかと思っていました。そして、音が似ているからタイトルを「愛のコリーダ」にしたのかと(笑)。勝手な推理でした。いや、勘違いというべきでしょうか。


「キス・キス・キス」はオノヨーコさんの歌です。私の人生で最高に推していたのがジョン・レノンですが、主夫だった彼が沈黙を破って1980年に出したアルバム、「ダブルファンタジー」は、ジョンとヨーコの曲が交互に入っていて、その2曲目に入っているのが「キス・キス・キス」です。曲の最初の方からずっと「抱いて」というヨーコの色っぽい声が繰り返し入っているんです。この曲、早々に放送禁止になりました。


 エッチなことは一部のいやらしい人がしていると思っていた私ですから(笑)、「抱いて」の意味は「抱きしめて」だと思っていました(笑)。だから、厳しすぎるわ、放送したっていいじゃないと思っていました。


 彼女は前衛芸術家なので、作品は独特ですが、ジョンは彼女の作品を初めて見た時、とても心を動かされたようです。ジョンが愛したものは私も……と思っていたのですが、ジョンの曲だけテープに吹き込んで聞いていました。悪い私。


 結論ですが、どの作品も精魂込めて作ったことを感じます。演じた人も命がけに近い気持ちで演じているのではないかと感じました(見てないけど)。だから、修正されるのも放送禁止になるのも、作った側から見ると、悔しかったのではないでしょうか。エロいけど「芸術」なのだから。

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