第5話 寮内で飲酒は一発退場、たばこは外でやれってさ
「ハイツ松大、207号室はここか?」
宿泊する寮に来て、入校の時に渡された鍵で入り口を開け、207の番号がついたドアにカギを差し込む。
中川「寮内で飲酒は一発退場、たばこは外でやれってさ」
沢畠「世知辛い世の中になりましたね。数十年前は、飲み吸いは制限なかったと思います」
中川「だよなー。あー、早くかえりてぇ」 ドンッ!
沢畠「8時にバスが来るので外の駐車場で待ち合せましょう。お疲れさまでした」
中川「おつかれっした」 パタン
「ここが我の部屋か」 カチャリ
そこには、馬3頭が入れるほどの狭い部屋にベッドがポツリと置いてあった。
人の排泄や睡眠は見てきたので、その通りに動けば問題なく行動できた。
転移して1日目、疲労と満足感から柔らかいベッドに顔を埋めると、抗いようのない睡魔が襲ってきた。
そこから朝まで記憶が飛んでいた。寝る必要がない天界にとっては、これは無防備を晒す生物の弱点と思っていた。
だが、朝まで寝ていた我は、次第に人の営みと目的がわかるようになってきた。
空腹で目が覚める。時刻は7時、飢えと渇きと排泄の欲求で体を起こした。
見まねで洗顔と着替えを行い、家を出る。駅前のヘブン・トゥエルヴで住民票を出力して鞄に入れた。
沢畠「おはようございます!」
中川「あっす」(あっ、おはようございます)
「おはようございます」(マネ)
8時前に集合場所に3人は集まり、バスに乗車し、教習所にたどり着いた。
窓口で検温し、37度を超えると一時帰宅される掟となっている。この器が環境に耐えられずに、病気を発症しないように気を付けよう。
教習手帳に書いてある時刻の5分前に、待合室に到着した。あとは待つだけだ。
「織江さん、いきまショか」
合宿免許卒業まで、あと13日
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