第25話「後はブン回しですね!」

3月3日。ユニバースⅢ。13時半。太一(たいち)くんは、バジリスク絆2の636番角台で、投資は貯玉50枚と現金投資5000円です。グラフ的にはプラス1000枚ほどです。


恵那(えな)博士は、朝イチに733番台のファンキージャグラー2に貯玉50枚と現金投資2万円でノーボーナスでした。


末尾3の店内状況を考え、博士はファンキージャグラー2から移動して、魔法少女まどかマギカ前後編の220ゲームやめの台から期待値を拾います。太一くんと共有した持ちメダルからスタートです。まどマギ前後編の220ゲームからだと106%程度の期待値があります。期待値通りならば100枚弱増えます。


博士が遊技を開始して、約20ゲームほどでマギカラッシュに突入しました。おそらく、200ゲーム代でのゲーム数解除だと思われますが、前兆ステージ非経由でした。前任者がどんな人だったかは分からないですが、前兆ステージに入らなかったことで、本前兆を見逃したか、強レア役を引いたのにやめたかもしれません。


マギカラッシュは、そこそこ伸びて400枚ほど出ました。約350枚ほどのプラスになりました。3月3日なので、高設定もありえるのじゃないか?と考えました。しかし、バラエティの稼働状況から、店が推している訳でもない、まどマギ前後編に高設定が使われている根拠は弱く、増えた出玉を一度太一くんに戻すことにしました。


もしも、初当たりが早かったという理由で、淡い期待で続行していたら、同年同月同日別世界で同じ台をハイエナしていた作者のように出玉が全部飲まれて、現金追加投資が始まっていたかもしれません。


太一くんにメダルを戻すのと同時に状況を聞いてみました。


「悪くないですけど、ずっと揉んでますね。通常時に謎当たり同色BCもありましたし、モード、シナリオも悪くなさそうです。低確っぽいところでの異色BCでもBT入りましたし、低設定ってことはなさそうですが…?6でもないのかなぁ?」


「なるほど」


絆2も、そろそろ空き台が出ているようです。633番台も空き台です。逆に、こぜ6という台もなさそうです。ジャグラーは、良い台、悪い台ありますが、マイジャグラー5が飛び抜けた台が3台ほどあるようです。


博士が爆死した733番台のファンキージャグラー2は、その後、ボーナスは当たってますがずっとマイナス域です。その隣の732番台がファンキージャグラー2の中では一番当たってますが、カチカチ君を使っている人が打っているので、空きそうにありません。


博士は、その後も期待値台を探します。そこそこ状況の良さそうな番長ゼロにAT後即やめの台があったので、AT後1周期目のゼロモード狙いで打つことにしました。もちろん、太一くんと出玉共有です。


結果、AT終了後のゼロモードではボーナスは当たりませんでしたが、ゼロモードのループが期待できる演出が出たので続行しました。結果、2度目のゼロモードでボーナスに当選し、ATに突入し、頂チャージライジングとか突入して、なんだかんだで800枚程度の出玉を獲得し、プラス差枚は500枚弱となりました。


設定差のあるゼロモードのループを確認できたので、続行も考えたのですが、ジャグラーコーナーを見てまわると、あの合算が良かった732番台が空き台になっていました。博士は、すぐさまスマホを置きました。現在は16時半です。


状況を整理するために、博士と太一くんは休憩コーナーに行きました。いつも5スロを打っている青年、博士が『中学生』とあだ名をつけている人が、店内Wi-Fiを使って、スマホゲームをしてました。5スロコーナーで遊技していたようですが、もうやめてしまったようです。


食事休憩にしてないので、手短に相談を済ませます。太一くんの絆2は、モミモミしていますが、低設定とは思えない挙動で、設定2以上の示唆演出は出ています。


博士は、ファンキージャグラー2を確保しています。その台は、こぜ6という程ではありませんが、ファンキージャグラー2の島の中では一番良い合算で、レギュラーも約300分の1くらいで当たっていて、設定4と5の間ぐらいを思わせます。


二人合わせての投資は貯玉で100枚と46枚貸しの現金投資で2万5000円。枚数で言うと1250枚です。持ちメダルは、太一くんの絆2の上にサラ盛り二箱と下皿という感じです。ざっくりと1800枚くらいでしょうか。今帰れば勝ちです。


「博士がエナって増やしてくれているのに、僕が伸ばせなくてすみません」


「いやいや、追加の現金投資しなくて済んでるのは、太一くんの持ち玉のおかげだよ。変わらず絆は良さそうだね」


「博士の確保した732番台も良さそうですね。もう閉店までツッパですか?」


「そこで相談なのだけど、ジャグラーは、天井狙いとかの期待値とは違うし、設定も特定できない。一応、二人で差枚はプラスだから、あの台はスルーして、私はエナを続けるっていう選択もあるね」


「実際のところ、高設定はあると思いますか?」


「そうだね。例年の3月3日のことを考えると、島で一番合算が良いってのは、高設定は期待できると思う。後ヅモでまくったこともあるしね」


「じゃあ、打ちましょう。ファンキー。僕も、絆2を頑張ります」


「分かった。じゃあ一箱貰っていくよ。もしも、これが飲まれるようなら、その時に、また相談しにいくよ」


「うす」


二人はホールに戻りました。太一くんは絆2。博士は、ファンキージャグラー2。前任者達のゲーム数、ビッグボーナス、レギュラーボーナスの数をスマホにメモり、遊技開始です。持ちメダルは700枚弱ぐらいでしょうか。願わくば閉店までツッパれることを願って、遊技開始です。


「高設定のファンキージャグラーほど、楽しいものはない」


博士の持論です。回して当たったらペカる。それだけの遊技性だと考えられがちですが、ファンキージャグラーは、最高設定ではマイジャグラーに迫るハイスペックの出玉性能でビッグ偏向型。多彩な演出。レギュラー確率からの設定判別はやりにくいですが、博士も大好きなジャグラーです。


「紫がかったGOGOランプは、ラピュタの映画の洞窟に住んでいるおじいさんのセリフを連想させるよね」


太一くんとお酒を飲んでいる時に、そんなことを話したこともあります。そんな大好きなファンキージャグラー2を、3月3日の年一日に回します。作者も同じファンキージャグラー2に座りましたが、ソロ打ちで、この時点で差枚はマイナスでした。マイナスをゼロに戻すパチスロでした。それに対して、博士は更にプラスを高めようという遊技です。


マックスベットを押し、レバーを叩き、チェリーやブドウが出れば、カチカチ君を押す。ペカれば1ベットで7を揃えてボーナスを消化する。やることがシンプルだから、遊技しながら色々と考えます。


「このファンキーの設定はいくつだろうか?」

「太一くんの絆2の設定はいくつだろうか?」

「そもそも今日は厚く設定は使われているのか?」

「末尾3や33が当たりという訳でもなさそうだ。この台は732番。太一くんのは角台だけど、角が全部という訳でもない。バラエティは死んでいる。全体的に中間設定が多い目で遊ばせている感じだろうか?」


様々なことを考えながらファンキージャグラーを打ちます。ボーナスは順調に当たり、時々ハマったりもしますが、ハマった後はジャグ連したりして、ギザギザと山を作りながら、スランプグラフは徐々に上に伸びていきます。これは大丈夫かな?と思っていると、太一くんがやってきました。


「博士、出ました」


大急ぎで見に行くと、甲賀弦之介が伊賀衆を456人撃破してました。設定456濃厚です。


「ずっともんでますし、設定4ですかね」


「いや、まだそうとは限らないのじゃないかな?」


仮に設定4だとしても、その機械割は106%でアイムジャグラーなら設定5よりも高いです。展開に左右される部分はありますが、期待値を追うなら、やめる理由はありません。


「私のジャグラーも調子良いよ。お互い閉店まで頑張ろう」


現在は18時過ぎ。遊技終了は22時40分。まだまだメダルを増やせるかもしれません。博士と太一くんは、目でお互いの投資……じゃなくて闘志を確認しあって、それぞれのパチスロ台に戻りました。


このままメダルを増やして、閉店を迎えることができるのを願って。レバーを叩きます。勝って帰れることを願って。

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