第22話「勝負は3月3日だよ?」
末尾5の土曜日は、ユニバースⅢが5円スロット推しの日。さらに、貯玉再プレイ無制限ということで、恵那(えな)博士と太一(たいち)くんは、朝イチから5スロを打ってきました。ツレ打ちです。
アイムジャグラーの設定狙いと、甲賀忍法帖のハイエナでプラス6300枚。大景品6個と小景品2個は山分けです。時間も遅くなったので、祝勝会は博士の家で行うことになりました。セブンイレブンで、美味しそうなお弁当や、ポテトチップスを買いました。お酒や飲み物は、博士の家にあるそうです。支払いは、博士がナナコカードで行いました。
「ここは、私のオゴりだよ」
「あざーっす」
博士は、一人暮らしです。両親から受け継いだ家に独りで住んでいます。冷蔵庫などの家電も、両親と一緒に暮らしていた頃のものです。男の一人暮らしにしては片付いているかもしれません。洗濯物は、洗濯機の近くでくちゃくちゃの山になってました。仕事に出る時は、作業着で、服のしわを気にするような生活はしておりません。
「それじゃあ、乾杯」
「かんぱーい」
コンビニ弁当を電子レンジでチンをして、祝勝会が始まりました。パチンコ・パチスロで勝った後に、その日の実践をつまみに飲む酒は、世界で一番美味しいという意見が支配的です。
「6はあったんですかね?」
「どうだろうね。私は、5スロのハイエナも、太一くんと出合う前からやっていたけど、設定確定演出は見たことなかったなあ」
「末尾5の日はどうだったんですか?」
「うーん。5の日をユニバースがやりだしたのは最近だからねえ」
博士は、数ヶ月前に、わりと声をかけてくる店員さんが「5の日は5スロ!始まるみたいですよ!」と、話しかけてきたことを思い出しました。
「僕の打った台をやめた人は、なんでやめたんでしょうね?設定4以上なのに」
「展開が悪かったからだろうね。アイムジャグラーを打ちながら、ちょいちょい様子を見ていたけど、設定確定演出の出る弦之介BCを選んでない時もあったし、確定演出も出なかったんじゃないかな」
「どうして、弦之介BCを選ばなかったんでしょう?」
「ユニメモのミッション達成率のためかもしれないけど、期待値を残して帰っていったから、インスピレーションでBCの種類を選んでたのかもしれないね」
「なるほど」
博士は言葉を選んで話してましたが、実際の所はBC中の設定示唆などは知らない人だったのじゃないか?と思ってました。
「私が思うにはね。ユニバースは、5スロには設定4までしか使わないのじゃないかと思うんだ」
「どうしてですか?」
「私自身が『4以上確定』演出までしかないのと、アイムジャグラーのレギュラー確率などの数値的理由。そもそも利益の薄い5スロに6までは使いたくない……という店側の意図を推察してかな?」
「なるほど。じゃあ、6を打つには20スロってことですか?」
「そうだね。特に旧イベ日とされている、末尾3の日とかね」
現在は広告規制により、店側が『イベント』を名乗ることはできません。だから、規制前にイベント日だった日のことを旧イベント日と呼び、その日はなぜかいつもより客数が多かったりしますし、パチスロに設定も使われているようです。
「6打ちたいですね」
「じゃあ……3月3日。朝から20スロ狙ってみるかい?」
ユニバースⅢ。3月3日は年に一回の3のゾロ目の日。博士は、その日は仕事を入れないで、理由を聞かれても「地元の祭」と答えて、パチスロを、20スロで勝負するようにしています。そして、その日に一緒にツレ打ちする相棒がいることが……博士の夢だったのです。
期待値、設定狙い。太一くんに教えるべきことは、全て教えたと言えるでしょう。そして、3月3日を描いて、この物語は完結する予定なのです。
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