第19話「ジャグラーは数字よりも根拠なんですね!」

末尾5の日に5スロのアイムジャグラーを打ちに来た恵那(えな)博士と太一(たいち)くん。2人ともボーナスが当たってますが、博士はずっとモミモミし、太一くんはビッグボーナスが連チャンして、持ちメダルは1000枚を越えてました。


「ジャグラー楽しいですね!」


アクリルボードごしに太一くんは言いました。博士は、かつて5号機時代に、ファンキージャグラーを打ちながら、閉店間際まで粘っている隣の知らない客に、そう声をかけたいと思ったことを、思い出しました。


ジャグラーには、ボーナスとブドウやチェリーの出現率に設定差がありますが、例えば、甲賀忍法帖の台のように設定が確定する演出などはありません。ゲーム数を重ねながら、各種数値で押し引きしますが、自分が打っていた台の設定というのは、パチンコ店店長と友達にでもならない限り、分かりません。


博士と太一くんは、現在それぞれ2000Gぐらいです。まだまだ、設定判別できる試行回数ではありません。博士は、時々、他のコーナーの様子を見に行ったり、20スロから移動してきた甲賀忍法帖の様子なども見ていました。


ジャグラーは、レバーを回して、リールを止めて、ペカったらボーナスという単純なゲーム性です。しかし、遊技を続ける中で、様々なドラマが生まれるのも、ジャグラーであり、パチンコ・パチスロなのです。


「ちぇ、チェリーが中段に止まりましたよ!」


「逆押しのブドウ・7・バーの出目、好きなんだよね」


「チェリーと重複した時は、ビッグほしくありません?」


「チェリーが止まった時は、リールを自動停止させても小役をこぼさないんだよ。トイレ行って来るから、ペカらせといてね」


「1G連しましたよ!これが、軍艦マーチですか!?」


「ビッグ後55ゲーム……ここでビッグなら串田アキラさん……ブドウ。絶対にペカらないヤツ」


様々な心の声を交えながら、二人はブドウやボーナス契機を数えながら、ゲーム数を積み重ねます。今回は、太一くんのパチスロデビュー戦の意味もありましたが、末尾5の日の5スロの日に設定6は使われるのか?という調査でもありました。


夜の20時頃まで回して、それぞれ6000ゲームくらい。持ちメダルは、モミモミし続けて、太一くんが約1800枚。博士は約700枚でした。総投資は二人で600枚。約1900枚くらいの勝ちでしょうか。少し打つ手を休めて、カチカチ君のデータをまとめてみました。


太一くんは、6231Gまわしてビッグボーナスが31回、レギュラーは19回でした。合算は約125分の1で高設定閾です。


博士は、5478Gでビッグ19回、レギュラー20回でした。合算は約141分の1で設定4が一番近いです。


「どうですか?6ですか?」


「うーん。どうだろうねえ」


6000G程度では、6号機アイムジャグラーの設定判別は難しいと思われます。続いて、それぞれの数えたブドウの確率を参照してみます。太一くんは、約6.1分の1で、博士は約6.0分の1でした。


アイムジャグラーの内部スペックは公開されてませんが、あのガリぞうさんがシュミレートした内部数値は、設定1から5は6.02分の1で、設定6は5.78分の1と推定されています。


「うーん。設定6と言うには弱いかもしれないね」


「じゃあ、設定は何なんですか?」


前述した通り、ジャグラーには設定を確定させる演出はありません。実践して得た数値と同時に、店側がどのような設定配分を行うのか?などを推測して得る根拠などから、推し量る必要があります。


博士は、これまで末尾5の日の5スロのデータも眺めていました。プラス差枚で勝っているグラフもありましたが、設定6をぶっちぎっている数値は見たことがありませんでした。そこから博士は……。


「5スロのジャグラーの最高設定は4かな?」


という結論を得てました。


「ふーむ。設定4ですか。じゃあ、僕はヒキツヨってことですかね」


「そうだね」


設定4だとしたら期待値はプラスなので、閉店まで打っても良いのですが、そこまで大きな期待値でもないので、差枚もプラスですし、5スロを終えて、帰ることにしました。メダルを集計してもらう前に、博士は、5スロコーナーの他の台を見て回りました。


「太一くん、帰る前に、この台を少し打ってから帰ろうか?」


博士が指さした先には、末尾5の日のレイアウト変更で20スロコーナーから1台移動してきた甲賀忍法帖の台がありました。ユニバースⅢでは、一番の推し機種です。


今日は、ジャグラーを打つことが目的でしたが、5の日の狙い台の一つでした。なぜ、博士は甲賀忍法帖の台を打とうと思ったのでしょうか?ヒントは、有利区間です。

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