前のエピソード――⑤きゅうくらりん／いよわ

タイトル：足立レイ

作詞作曲：アボカド６

動画制作：同上

ボーカル：足立レイ（UTAU・A.I.VOICE）＋伊織弓鶴（VOICEROID）

https://www.nicovideo.jp/watch/sm39518656

https://www.youtube.com/watch?v=zSvsakmsgFg

　楽曲か……というと微妙な立ち位置ですが、一応は物語調のポエトリーリーディングに分類されるかと思います。

　詳しい紹介は動画概要欄の導線に譲りますが、足立レイは数奇な生まれをしたキャラクターの中でも、類を見ない特異性を有した存在です。

　なにせ、本当に等身大ロボットとしての制作を目指されたキャラクターですから。

　なので楽曲の大半は現実を踏まえて作られており、『シャルル』などの名曲を手掛けた氏の手腕によって、レトロなピクセルアートであたたかみのある映像に仕上がっています（氏はブラック＆ダークな作風も多いことは置いておいて）。

　……ここで一つ、昔話をしましょう。

　初音ミクにはもう一人、妹が生まれるはずでした……否、活動こそしていましたが、今はもう姿も形もありません。

　CV-4Cβとして作られたそれは、産業技術総合研究所開発の女性型ヒューマノイドロボット「HRP-4C未夢（ミーム）」のデモンストレーションに使用されましたが、東日本大震災によってロボットは実用性にシフト。クリプトン・フューチャー・メディアのキャラクター・ボーカル・シリーズ、要は初音ミク、鏡音リン・レン、巡音ルカの末妹として迎えられるはずだった彼女は、姿を消してしまいました。

　対して、足立レイは個人で初音ミク等身大ロボットを10年以上制作しているみさいる氏によって、次世代機のプロトタイプとして制作されました。令和の未夢（ミーム）と呼ぶべき彼女は、愛する人の力によって来年2022年完成予定の未来を自らの『足』で『立』ち、歩んでいます。

　楽曲内で描かれた光景も、きっと夢ではなく、少し先の未来となり得るでしょう。来年が楽しみです。