第118回 君の顔では泣けない その3
続きです。
—―水村には話していないが、浮いた話がないわけではなかった。実際告白された事も二度あった。ただ、丁重にお断りした。二人とも悪い奴ではなかったが、やはりどうしても男と一線を越える勇気が持てなかった。—―(君の顔では泣けない P.126)
あいかわらず主人公は草食系です。
—―静かにもう一度服の下に潜り込んで、胸の方へ
主人公は東京の大学へ行きましたが、同窓会で帰省しました。
その際に再会した主人公(男だった頃)の友人、田崎といい感じになり、ついに初体験する事になります。
セックスシーンはかなり生々しいです。角川の書籍だからといってカクヨムでも許されるかどうかわかりません。そのまま引用するのは危険な描写もかなりあります。
でも、このあたりはたぶん大丈夫でしょう。
—―「だ、大丈夫? 気持ちいい?」
「んー、なんか変な感じ。ちょっとくすぐったい」—―(君の顔では泣けない P.152)
このやりとり、地味ですがけっこうエロいです。「なんか変」は、昔観た某エロアニメ「くりいむ〇〇〇」のAちゃんが性に目覚めた時つぶやいていたセリフです。今でもはっきり覚えています。
—―さっきよりは暗いとはいえ、まだ羞恥心はなくならない。とはいえこれ以上ごねるわけにもいかず、もう一度俺の脚を開こうとする田崎に身を任せる。(以下自粛)—―(君の顔では泣けない P.153)
ここから先はとても引用出来ません。間違いなく公開停止レベル。角川でもリアル書籍ならここまで許されるのですね。それにしてもエロ過ぎる。
—―「いったの?」
「う、うん。いっちゃった」
「そっか。お疲れ」
脱力して体を預けてくる田崎の頭を撫でる。髪が少し湿っていて汗の臭いがした。水村ありがとう、と田崎が軽くキスをした。—―(君の顔では泣けない P.157)
この前までの描写が凄いです。実際にセックスでどんな事をするか事細かに描写されています。特に体の中からどう感じるのかが、女の体を手に入れた男ならたぶんこんな感想を持つのではないか、という想像を搔き立てます。エロ度では「蛇にピアス」といい勝負ではないでしょうか。
引用出来ないのがとても残念。ぜひお読みください。
—―
処女喪失の痛みが残っているようです。
ところで、生理やセックスの生々しい描写に比べて、ひとりエッチの描写が全くありません。単にスルーしてるだけなのか、主人公が淡泊なので(そういう描写はかなりあります)してないのか不明です。
ちなみに、ドラマ「金魚のフン」では、主人公がひとりエッチしまくっていました。
エロはさておき、この後とても感動するエピソードがあります。
—―「す、好きなんだ。ずっと前から。だ、だから、良かったら、俺と付き合って欲しい」—―(君の顔では泣けない P.162)
初体験の後で電話で田崎と話している時に、田崎が主人公に告白しました。順番が逆ですが、なんかいいですねこういうの。
—―我ながら浮かれている。節操のないカップルの会話そのものだ。気恥ずかしいが、楽しい。昨日したセックスなんかよりもずっと快感だ。恥ずかしいことを平気で言えちゃうのが、誰かを好きになるってことなんだろうか。—―(君の顔では泣けない P.163)
主人公は田崎の告白を受け入れ、晴れて彼氏彼女の関係になりました。お互いに下の名前で呼び合おうとか、会いたい、顔が見たい等。読んでいるこっちが恥ずかしくなりますね。
—―先に店で待っていた水村と合流して、事の
「お前、最初に訊くことがそれかよ」
「いや、やっぱり元女としては気になるじゃん。痛かった? 血とか出た?」
「痛くはないけど、なんつーかすげえ異物感。今もなんかちょっと股間がひりひりしてる。血は出なかったな、そういや」
「あーやっぱ出るときと出ないときあるんだねー。ふむふむ」—―(君の顔では泣けない P.164)
田崎と付き合い始めても、やはり主人公とまなみは定期的に会っています。変な誤解をされなければいいのですが。
◇◇◇◇◇◇
読んでいただきありがとうございました。
次の第119回も引き続き「君の顔では泣けない」です。お楽しみに。
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