第111回 この素晴らしい世界に祝福を! その2

続きです。



—―まるで人形の様に整った顔をした—―ロリっ子—―である。

(中略)

「我が名はめぐみん! アークウィザードを生業なりわいとし、最強の攻撃こうげき魔法、爆裂ばくれつ魔法をあやつる者……!」—―(この素晴らしい世界に祝福を! 文庫版 P.53、P.54)


 この、めぐみんは「このすば」で一番の人気キャラだそうです。ちっちゃなロリ娘好きにはたまらないのでしょう。スピンオフ「この素晴らしい世界に爆焔を めぐみんのターン」で主役を演じています。


 さすが異世界のハロワ、冒険者ギルドです。求人の張り紙を出せるのです。これを見て和真とアクアの仲間に入ろうとしました。


 めぐみんの使う「爆裂魔法」の威力は素晴らしく、力強い味方が出来たと思いきや、残念ながら戦力になりませんでした。


 というのも、爆裂魔法はその威力が強大であるがゆえに消費エネルギーがとんでもなくて、使った後でしばらく動けなくなってしまいます。


 しかも、他の魔法は全く使えないとか。


—―「カエルの体内って、くさいけどいい感じにあたたかいんですね……。知りたくもない知識が増えました……」

 アクアと同じく粘液まみれで、知りたくもない知識を教えてくれながら、めぐみんは俺の背中におぶさっていた。—―(この素晴らしい世界に祝福を! 文庫版 P.62)


 めぐみんは使えないと判断した和真は、見捨てようとしました。しかし……


—―「—―やだ……。あの男、あの小さい子を捨てようとしてる……」

「—―隣には、なんか粘液まみれの女の子を連れてるわよ」

「—―あんな小さい子をもてあそんで捨てるなんて、とんだクズね。見て! 女の子は二人ともヌルヌルよ? 一体どんなプレイをしたのよあの変態」—―(この素晴らしい世界に祝福を! 文庫版 P.67)


 こんな感じのエロいギャグが至る所にあふれていて飽きません。

 結局和真はめぐみんと行動を共にする事になります。


—―女騎士きし


 それも、とびきり美人の。

 パッと見た感じ、クールな印象を受けるその美女は、無表情にこちらを見ていた。—―(この素晴らしい世界に祝福を! 文庫版 P.72)


 この女騎士はダクネス。和真は、美人だけど戦力にならないだろうという勘が働き、彼女が仲間に加わるのを拒もうとします。しかし……


—―「んく……っ。ああ、先ほどのキャベツやモンスターの群れにボコボコに蹂躙じゅうりんされた時はたまらなかったなあ……。このパーティでは本格的な前衛食は私だけの様だから、遠慮なく私をおとりや壁代わりに使ってくれ。なんなら、危険と判断したら捨てごまとして見捨ててもらってもいい。……んんっ! そ、想像しただけで、む、武者震いが……っ!」

 ほおをほんのり赤く染めて、小さくふるえているダクネス。

 ……こいつ、アレだ。

 タダのドМだ。

 こんなクールな美人なのに、俺の目にはもはやただの変態にしか映らない。

「それではカズマ。多分……いや、間違まちがいなく足を引っ張る事になるとは思うが、その時は遠慮なく強めでののしってくれ。これから、よろしく頼む」

 あらゆる回復魔法まほうを操るアークプリーストに、最強の魔法を使うアークウィザード。

 そして、鉄壁の守りをほこるクルセイダー。

 それだけ聞くと完璧かんぺきそうな布陣ふじんなのに、これから苦労させられる予感しかしなかった。

—―(この素晴らしい世界に祝福を! 文庫版 P.103、P.104)


 和真の勘のとおり、ダクネスは攻撃が当たらず全く戦力になりませんでした。

 でも、いつの間にか仲間に。

 どんな美人でも、これから色々なクエストをこなさなければないのに、攻撃が当たらないのは困りますね。


 でも、和真はこのパーティで素晴らしい成果(?)を上げる事になります。そこがまた面白い。


—―「プリーストは一般いっぱん的にレベル上げが難しい。なにせプリーストには攻撃こうげき魔法なんてものが無いからな。戦士のように前に出て敵をたおすわけでもなく、魔法使いのように強力な魔法で殲滅せんめつするわけでもない。そこで、プリースト達が好んでるのがアンデッド族だ。アンデッドは不死という神のことわりに反したモンスター。彼らには、神の力がすべて逆に働く。回復魔法を受けると身体がくずれるのだ」

 ああ、なんかそんな話を聞いた事がある。

 大概のゲームでも常識に近い話だ。

 回復魔法はアンデッドには攻撃魔法代わりになると。

 しかしなあ。この駄女神を鍛えても……。—―(この素晴らしい世界に祝福を! 文庫版 P.117)


 次のクエストはアンデッド討伐です。今度こそアクアの出番か……!

 これも知りませんでしたね。ゲームの常識なのですね。


—―「でも、穏便おんびんに済んで良かったです。いくらアクアがいると言っても、相手はリッチー。もし戦闘になってたら私やカズマは間違まちがいなく死んでいましたよ」

 何気なく言うめぐみんの言葉にぎょっとする。

「げ、リッチーってそんなに危険なモンスターなのか? ひょっとしてヤバかった?」

「ヤバいなんてものじゃないです。リッチーは強力な魔法防御ぼうぎょ、そして魔法のかった武器以外の攻撃こうげきの無効化。相手に触れるだけで様々な状態異常を引き起こし、その魔力や生命力を吸収する伝説級のアンデッドモンスター。むしろ、なぜあんな大物にアクアのターンアンデッドが効いたのかが不思議でならないです」

(中略)

「そういえば、ゾンビメーカー討伐のクエストはどうなるのだ?」

「「「あっ」」」


 クエスト失敗。—―(この素晴らしい世界に祝福を! 文庫版 P.133、P134)


 リッチーはヴァンパイアと並ぶ、アンデッドの最高峰。こんなすごい相手に優位に立つアクア。それなのに……


 和真はリッチーを見逃す事にしました。なぜなら、お金がなくて葬式をしてもらえず、天に帰れない子達を返そうとしているリッチーを「この世界に来てはじめて出会ったまともないい人」と思ったからです。


 いつもと逆に、和真が足をひっぱってしまったような恰好になります。


◇◇◇◇◇◇



 読んでいただきありがとうございました。


 次の第112回も引き続き「この素晴らしい世界に祝福を!」の秘密に迫ります。お楽しみに。

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