第53回 長編小説の仕上げ方 その6(プロットについて)

 今日は仕上げ方論で一番大事な話です。


 今まで精神論的な事をつらつらとお話ししてきました。


 今日はもっと即効性のある、具体的ノウハウのお話しをしたいと思います。


 私が長編小説を仕上げる事ができた要因の中で、一番大事な事を一つだけ選べと言われたら、迷わずに「プロットを作ったからだ」と答えます。それくらい大事です。



「プロット」について。


 さて、プロットって何でしょうか?


 ほとんどの方は今更私が説明するまでもないと思います。どんな小説の書き方の入門書にも必ず書かれており、多くの人が一番大事だと口をそろえて主張してますので。


 プロットとは、小説においてどんな世界でどんなキャラクターが登場し、どう話が進んで行くのかを書いたものをいいます。


 梗概こうがい(あらすじ)と似ていますが、こちらは読み手に話の要約を伝えるために書くのに対し、プロットは書き手が自分でこれから小説を書く時の設計図として使うために書くという違いがあります。


 とはいえ、内容としてはかなり重なりますが。


 

 ただ、私の場合はあまり緻密なプロットは作りません。


 なぜなら途中で大幅に変更する場合があるからです。


 かなりラフなプロットを作っています。



 プロットを作ってから書き始める人を「プロッター」


 作らない人を「パンツァー」と言います。


 これは向き不向きがあります。「パンツァー」の小説家では宮部みゆきが有名ですね。


「パンツァー」が合っている人は、無理に変える必要はないです。というか変えたらその人の良さが失われるかもしれません。


 私は少し前まで「パンツァー」でした。何か自分なりのこだわりがあるわけではなく、単にプロットを作るのがめんどうだっただけです。


 でも、今まで挫折した作品の原因を追究してみると、どれもが当初想定していたラストから大きく外れてしまい、収集が付かなくなったからなのです。


 いわば、迷路に迷い込んでしまったような感じですね。


 私は明らかに「パンツァー」向きではありませんでした。


 そこで、初心に帰って色々な小説の書き方の入門書を読んでみました。


 今更ながらプロットの重要性が書かれており、ようやくプロットを作る事を決意するに至ります。


 以下は私の場合の作り方です。これが向いている人もそうでない人もいるでしょう。もし今まで一度も作った事がないという方であれば、参考にしてもいいと思います。


 まず、本当にアバウトな流れを書きます。起承転結の4つみたいな。


 例 「ひとり遊びの華と罠」


智也と楓が出会い、初体験 → 恋人同士のような関係となる → 智也が楓に徹底的に振り回される → 意外なラスト


 こんな感じです。ちなみにラストは固定しませんでした。この時点で2通りのラストを考えていました。


 ラスト1 智也と楓が結婚するというハッピーエンド


 ラスト2 なんらかの理由で破局するというバッドエンド


 実はかなり話が進むまでどちらにするか決めかねていました。最終的にバッドエンドになりましたが、私の実体験を元にした小説なので、ハッピーエンドはどうしてもイメージ出来なかったのです。


 この、本当にラフのラフを作ったら、そこに色々肉付けをしていきます。


 例 出会い

第1案 ディスコでナンパする。

第2案 ディスコでバイトしていた時に知り合う。

第3案 サークルで知り合う。

第4案 合コンで知り合う。

第5案 レストランでバイトしていた時に知り合う。


 これも迷いましたが、最終的に当初は1案をアップしていましたが、2案に変更して今に至ります。


 その理由は、第1案に少し女性蔑視的な描写があったからです。


 私のポリシーから、それは嫌だったのです。


 そして、第1案はかなりのボリュームだったのですが、第2案は半分くらいのボリュームでした。


 そこで、当初は描く予定ではなかった初恋とセカンドラブの回想を入れました。


 今考えると、これは中だるみ的な不要なエピソードだったかもしれません。10万字という形式を保つための苦肉の策です。


 このように、当初のプロットを変更する場合もあれば、書き上げてから変更する場合もあります。


 肉付けにより、プロットが出来上がります。あとはこのプロットを元に書いていく訳ですが、私の場合は自分が書きたいパートから先に書いていき、前から順番に書く事はしません。


 この、順番を変えて書けるというのも、プロットを作るメリットです。


 いずれにしても、全くのゼロから文章を作るよりも迷路に入り込みにくい事は間違いありません。


 もし、プロットを作った事がなく、最後まで長編を仕上げた事がないのであれば、まずはプロットを作ってみる事を強くおすすめします。


◇◇◇◇◇◇



 読んでいただきありがとうございました。



 このお話はまだまだ続きます。でもいったん本論に戻ります。


 もし、なる程と感じる所がありましたら、ぜひ★評価や♡評価とフォローをお願いします。


 よろしければ、私の代表作「妻の代わりに僕が赤ちゃん産みますっっ!! ~妊娠中の妻と旦那の体が入れ替わってしまったら?  例え命を落としても、この人の子を産みたい」もお読みいただけると嬉しいです。


https://kakuyomu.jp/works/16816927860596649713



 次の第54回は、「最低。」の秘密に迫ります。

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