第47回 長編小説の仕上げ方 番外編 「僕産み」誕生秘話

「僕産み」こと「妻の代わりに僕が赤ちゃん産みますっっ!! ~妊娠中の妻と旦那の体が入れ替わってしまったら?  例え命を落としても、この人の子を産みたい」

https://kakuyomu.jp/works/16816927860596649713


 ずいぶん前から、もったいぶってなかなかアップせずすみませんでした。


 この話は形になるまでに色々な紆余曲折があり、かなりの難産でした。


 前作「ひとり遊びの華と罠」は、けっこう短期間で発案から完成まで進みました。それは、私の私小説に近かったからです。


 ネットでググったり、資料を調べたり、第三者に話を聞いたりという作業がほとんど必要ありませんでした。


 が、「僕産み」は違いました。もう自分自身の話はあまり残っていない状態から発案しましたので、幾多の挫折を経て、色々なアクションを元にだんだん形になってきました。


 文字通り「誕生秘話」と言っても良いと思います。



 今のところ当初予定していたボリュームの6割くらい出来ています。まだ書き上げていませんが、書き上げられる目途がたちました。この分だと予定よりもかなりボリュームアップするかもしれません。


 ただ、前作の反省として、やや中だるみしたかなと思いました。というのも、PVが前半と後半が多く、中盤で激減していたからです。


 なので、長くなりそうならば無駄なエピソードや描写は思い切ってカットしたりして、より中身の濃い話にする方向で作ろうと考えています。



 まず、コアとなる「男性出産」のアイデアですが、話はウン十年前に遡ります(そんなに前かよ! 嘘だろ~)


 いえいえ。本当です。



 私は小学校時代、漫画家になりたいと思っていました。


 当時の好きな漫画は、ドラえもんやオバケのQ太郎といった藤子・F・不二雄の作品や、ブラックジャック等の手塚治虫の作品です。


 また、無類の動物好きでしたので、動物が出てくるアニメや漫画も好きでした。


 そのため、動物を主人公とする漫画を描いていたのです。


 その中に、一風変わった作品がありました。


 なんと、ナマズを主人公とする話です。脇役として鯉やフナといった色んな魚が、人間のように言葉を話したりして社会を営むというストーリー。


 この頃は釣りにハマっており、家の近くの川でいろんな魚を釣って来ては飼育していたのです。魚を取り扱った話はそんな状況で、自然に頭に浮かんできました。


 そして、ここからが大事なのですが、その中にオスのナマズが出産するという話があったのです。

(ナマズは卵生だろうというツッコミはしないでください)


 その話はかなり先の未来という設定で、人工子宮ならぬ子宮を作ってオスが出産出来るようになると言うSFチックな話です。


 まだ出産フェチに目覚める前でしたので、単なる好奇心から淡々と描いていました。


 でも、恥ずかしくて誰にも見せられず、残念ながらその原稿は行方不明です。


 この記憶が発端となっています。男性出産という大枠のテーマの原型が出来ました。



 漫画家を諦めたのは、ありがちですが絵が下手だったからです。特に人間の絵が上手く描けませんでした。かわいい女の子の絵でも描けたならチャレンジしたかもしれません。


 さて、ここからすぐに今の設定を思いついたのか。いえいえ。あくまでもきっかけにすぎません。


 その後、何度か小説家になりたいと思い、色々な話のアイデア出しをしたりしました。


 でも、いざ書き始めると長編小説になる程の話ではなく、途中で放り投げてしまったお話が沢山あります。


 特に短編「好き君」こと「好きだから、好きと言えなかった君へ」を書き上げる前は、もう小説と言えるような作品ではありませんでした。作ったプロットの半分も書かないうちに頓挫したからです。


 なので、本当につい最近まではとても小説家を目指しているとは言えず、単に妄想しているだけのアブナイ人間でした。


 ところが、短編を仕上げてからというもの、状況は一変しました。以前もお話ししましたが、無性に長編小説が書きたくなり、「ひとり遊びの華と罠」を完成させました。


 ここから先はどうかというと、また再びgdgdに戻ってしまいました。特に「ひとり遊びの華と罠」の続編を書こうと思ったので、色々な設定を考えては挫折し、また別の設定を考えては挫折するという事が何度か起こりました。


 でも、この経験は決して無駄ではありませんでした。この時に「僕産み」の派生テーマのいくつかを思いついていたからです。


 ここで、まだ「ひとり遊びの華と罠」をお読みでない方のために、簡単にあらすじをお話します。


 主人公の広瀬智也は最愛の人、ヒロイン蛭間楓と一見すると恋人同士のような関係となりますが、楓の言う「セックスよりもずっとずっと気持ちいい事=ひとりエッチの見せっこ」を通して、普通のセックスと本気の恋が出来なくなってしまうというお話です。



 この話を書き上げた後で、まず以前からある程度知識のあったイクイク病について大変興味を持ち、本格的に色々調べました。


 そして、智也が傷心から立ち直るストーリーの中で、イクイク病の女性をヒロインにするというアイデアを思いつき、書き始めました。


 この話は1万字くらいで頓挫しました。ところが……


(まてよ……この設定を単独で使ってもあまり長い話は書けないけれど、もっと大きなテーマの中で小設定として使えないだろうか……そうだ、出産の話と組み合わせたらどうだろうか)


 以前から書きたかった男性出産の話を土台として、そこにイクイク病の女性を組み合わせたのです。この時点で続編ではなく、独立した別の話を作るという大幅な方針転換に迫られます。


 そして、まだ男女入れ替わりまでは考えていませんでした。


(でも、男性のままだと自然分娩が難しい。そうだ、身体が女性ならいいんだ)


 日曜劇場「天国と地獄」や多くの作品がヒントとなって、男女入れ替わり物というアイデアがまとまって来ました。


 次に、男女入れ替わり物の弱点は、なぜそうなったかがあまり描かれておらず、これが自分的に若干もやもやしていた事です。


 自分で書く時には、ここにもこだわりたいと思っていました。


 最終的に思いついた「神様イブ」のアイデアは、ドラマ「プロポーズ大作戦」がヒントになりました。俳優の山下智久と女優の長澤まさみがW主演した月9ドラマです。


 このドラマでは神様役を俳優の三上博が演じました。でも、どんなイケメンでもやはりオジサンが神様じゃ味気ない。どうせなら女の子、それも見た目はかわいいけど性格はドSにするっきゃない、そんな感じです。


 このように、数ある挫折を無駄にせず、なんとかして生かそうとあがき続けた結果、今の形が整ってきたという訳です。



 このように、一度ボツになった設定やキャラクターが、他のアイデアと組み合わせる事で息を吹き返す事があります。


 みなさんも、せっかくのアイデアが仮にその時はどうしょうもないと思ったとしても、その後どんな形で息を吹き返すか分からないものです。決して捨てる事なく、なんらかの資料として保存しておき、いつでも使えるようにしておきましょう!


◇◇◇◇◇◇



「長編小説の仕上げ方」まで読んでいただきありがとうございました。


 このお話はまだまだ続きます。でもいったん本論に戻ります。


 もし、なる程と感じる所がありましたら、ぜひ★評価や♡評価とフォローをお願いします。


 よろしければ、私の代表作「妻の代わりに僕が赤ちゃん産みますっっ!! ~妊娠中の妻と旦那の体が入れ替わってしまったら?  例え命を落としても、この人の子を産みたい」もお読みいただけると嬉しいです。

https://kakuyomu.jp/works/16816927860596649713



 次の第49回は、再び「婚外恋愛に似たもの」の秘密に迫ります。

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