第3回 人のセックスを笑うな

「人のセックスを笑うな」は、山崎ナオコーラのデビュー作です。19歳の男子学生と39歳の美術教師ユリとの歳の差不倫のお話。


 第41回文藝賞受賞作で第132回芥川賞候補作です。俳優の松山ケンイチと女優の永作博美のW主演で映画化されています。


 松山ケンイチと言えば、名バイプレイヤーで多くの映画やドラマにひっぱりだこです。例えば前クールのドラマ「日本沈没」では小栗旬演じる主人公の友人役が記憶に新しいです。また、超はまり役だった映画版「デスノート」のLの役は忘れられません。


 もちろん主演も多いです。ドラマ「ど根性ガエル」とか。


 永作博美と言えば、多くの映画やドラマで主演やヒロインを務めた人気女優です。この作品の他にも映画「朝が来る」とか。童顔で年齢の割に若々しくて魅力的ですね。


 意外と知られていないのが元アイドルグループ「ribbon」のメンバーだった事。このあたりは篠原涼子や三浦理恵子と似た経歴の持ち主です。


 この小説はタイトルがセンセーショナルな割には性表現は比較的マイルドです。でも、地味にリアルだったりします。例えばボタンの外し方。ボタンのわりにボタン穴がちっちゃいので、外しにくくて頭に血がのぼるなんてあるあるですね。


 良く言われている事ですが、なぜあのタイトルなのかが分かりにくい。最後まで分からなかったというレビューもけっこう多いですね。かなり注意して読まないと見落とします。実際私も1回目に読んだ時には見落としていました。



 みなさんにぜひおススメしたいのが、面白いと思った小説は読み終わってすぐにもう1度読む事です。つまり2度目を間隔を空けずに読む。


 これはなぜかと言いますと、その小説から学びを得るためです。


 まず1回目は純粋に楽しむ事に集中する訳です。そして間を空けて2度目を読む事にもメリットがあります。また再び楽しめるからです。


 でも、それは1回目に読んだ時の記憶が薄れているという事でもあります。


 だから、まだ記憶が鮮明なうちに2度目を読むのです。


 たしかに面白くはないかもしれません。でも、1回目よりもずっと冷静に、客観的にその作品を見つめる事が出来ます。より多くの学びが得られるのです。


 出来ればアマゾンのカスタマーレビューや個人のレビューブログ等で他人の感想を見てから2度目を読むとより効果的です。



 話を小説のレビューに戻します。「セックスを笑われる」という事は普通に考えれば下手だという事なのでしょう。「ふがいない」とか「ばかみたい」という主人公のセリフと、テクニックがないとぼやいている所からも想像できます。


 でも、これだけならばあのタイトルは少し無理があるような感じがします。第一セックスって秘め事だから、他人がどんな事してるかなんて普通分からないですから。果たして笑う人なんているんでしょうか? 実はいるんですねこれが。


 良く読むと過激な表現も少々。さりげなく「口でしてくれる?」なんてセリフも。あえぎ声もソフトですが表現されてます。



 セックスや人付き合いが下手だと思い込んでいる主人公に、ユリがかけた言葉は素晴らしい名言です。ちょっと引用します。


――「自分が楽しければ、相手も楽しいと信じること。絵と同じ」――(「人のセックスを笑うな」文庫版 P.61)


 これは深い。まずは自分が楽しまなければダメですよね。



――もし神様がベッドを覗くようなことがあって、誰かがありきたりな動作で自分たちに酔っているのを見たとしても、きっと真剣にやっていることだろうから、笑わないでやって欲しい。――(「人のセックスを笑うな」文庫版 P.112)


 終盤に近付いてから、やっとタイトルの真の意味が分かります。あれは神様に向けた言葉だったのですね。いや~引っ張る引っ張る。


◇◇◇◇◇◇



 読んでいただきありがとうございました。


 もし、なる程と感じる所がありましたら、ぜひ★評価や♡評価とフォローをお願いします。



 よろしければ、私の代表作「妻の代わりに僕が赤ちゃん産みますっっ!! ~妊娠中の妻と旦那の体が入れ替わってしまったら?  例え命を落としても、この人の子を産みたい」もお読みいただけると嬉しいです。

https://kakuyomu.jp/works/16816927860596649713



 次の第4回は「インストール」の秘密に迫ります。お楽しみに。

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