1月18日 AIレストラン
この街にもようやく無人のレストランができた。接客から調理まですべてをAIやロボットがこなすのだという。流行りものが好きなカップルはその話を聞いてすぐさまその店を訪れることにしたのだった。
店の自動ドアを通り抜け、中に入るとロボットがゆっくりとお辞儀をして言って挨拶する。
「いらっしゃいませ。二名様ですね。それではお席にご案内いたします」
ロボットは時折こちらを確認しながらお客の歩く速度に合わせて移動していく。
「こちらのお席でございます」
席に座ったことを確認してからロボットはまた話し始めた。
「ご注文が決まりましたらお呼びください」
ロボットは頭を丁寧に下げてからゆっくりと戻っていく。
「今のロボットなんかかわいい」
そう言いながら彼女は微笑ましそうにそのロボットを眺めていた。
食券購入やタブレット端末で注文の接客を省く店が増えてきている一方で、この店は昔からあるレストランのように、ロボットが人間の仕事をすることをコンセプトに作られている。これはロボットメーカーの宣伝も兼ねているためだ。接客や調理に関しても無機質な機械が行うわけではなく、人型のロボットが作業を行うようにできている。
「オムライスを頼もうかな」
「じゃあ私も同じのにしようかな」
注文する料理が決まり、テーブルに置いてあるベルを鳴らして店員のロボットを呼び出す。ほどなくしてロボットは二人の元へとやってきた。
「ご注文はお決まりでしょうか」
「はい。決まりました」
「それではお伺いいたします」
「これ二つください」
メニュー表のデミグラスソースのかかったオムライスを指さして言った。
「はい、かしこまりました」
そう言ってまた丁寧にお辞儀してロボットは戻っていく。するとすぐに何やら手に持って再度戻ってきた。
「お待たせしました。こちらメニュー表、お二つでごさいます」
二人は思わず柔らかな笑みがこぼれてしまう。ロボットのかわいいミスもまた面白いと思えてしまったのだった。それからオムライスを無事注文し、料理を堪能して店を後にしていった。
AIレストランは日々お客の反応等をロボットに搭載されているカメラで確認し、データとして蓄積していく。そしてより高品質な接客と料理の提供をしていくのだった。時には例のようなちょっとしたミスをして、お客を和ませることだってある。完璧なロボットの接客よりも少々未熟なロボットの接客のほうがお客の反応が良く、より満足度が高いことがAIのビッグデータによって示されているのだから仕方がないことだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます