1月8日 電車の性格
十二月二十九日(水)
今日はおばあちゃんの家に行くために電車に乗りました。
『先発 ひろき134号 名古屋行き』
『次発 ゆき223号 京都行き』
と駅のホームにある電光掲示板に表示されていました。
ぼくは久々の遠出だったこともあり、気分は少し浮ついていました。
兄と電車を待っていると、ようやくやって来ました。その電車は全体的に赤い塗装で黒いラインが車両の側面に引かれていて、情熱的な感じがしました。
電車は速い速度でホームに入ってきて、そのまま通過してしまうかと思ったけど、バックで戻ってきて停車したので面白かったです。
ドアが開いたかと思ったら数秒ほどでまた閉まってしまいました。そしてすぐに発車してホームからすごい速さで消えてしまい、とてもびっくりしました。
「兄さん、電車行っちゃったけど」
「『ひろき』はせっかちだからなあ。まあ、俺らが乗る電車は別の電車だからな。安心しろ」
「そうなんだ。じゃあぼくらはどの電車に乗るのさ?」
「あそこに表示されている『なおと』っていう電車に乗るんだ」
兄が指さしていたのは、電光掲示板でした。
『先発 ゆき223号 京都行き』
『次発 なおと489号 新大阪行き』
どうやら次のまた次の電車に乗るみたいでした。
しばらくすると、ホームにまた電車が到着しようとしていました。その電車は白い塗装に水色のラインが入っている電車で清楚な感じがしました。
その電車はゆっくりと入ってきて、停止したかと思えばまたゆっくりと発進しました。それを何回か繰り返しながらようやく停車し、ドアが開きました。ただし、半分だけ。
「兄さん、どうして、半分だけしかドアは開かないの?」
「『ゆき』は、いつもおどおどしていて、なかなか心を開いてくれないんだよな」
その電車はしばらくの間、停車したのちに再びドアを閉め、ぎこちなく加速をしてホームから去って行きました。
『先発 なおと489号 新大阪行き』
『次発 あかり360号 新大阪行き』
すると、アナウンスが流れました。
『十一時十分発、なおと489号、新大阪行きは、八分ほど遅れております。お急ぎのところ大変ご迷惑をおかけします』
それからしばらくの間待っていると、ホームに電車がやってきました。
「『なおと』よりも『あかり』の方が先に来たみたいだな」
駅に到着したばかりの『あかり』は、全体的に黒い塗装で、ところどころに金粉が散りばめられ、鮮やかな花の絵が描かれていました。とても上品な感じがしました。
「兄さん、『なおと』に乗らなくて、『あかり』に乗ってもいいんじゃないの? どちらに乗っても目的地には着くんだから」
「いや、それがだめなんだ。『あかり』はお金がかかってしょうがない。俺らにとって高嶺の花なのさ」
『あかり』が出発した後、『なおと』は遅れて、ようやく駅に到着しました。その電車の塗装はアロハ服のような模様をしていました。
そして、ぼくら二人は『なおと』の車内に入って座席を探しました。
兄は乗車券で座席を確認していました。兄の持っている乗車券を横から覗いてみると、
『指定席 24A?』と書かれていたのでした。『24A?』という座席は見当たらなかったから、兄は乗車券をもう一度きちんとみて確認をしました。注意書きの欄をよく見ると、このように書かれていたみたいです。
『※指定席の座席は適当に決めております。他のお客様と被った場合はお客様のご判断で適当に他の席へお座りください』
兄はつぶやきました。
「そういえば、『なおと』はおおざっぱだったんだ。忘れていた……」
「本当だね。座席もおおざっぱだ」
『24A』の座席を探してみると、そこには、おっさんが腰かけていて座ることができませんでした。
〈先生からのメッセージ〉
とてもよくかけています。でも、にっきには、ほんとうにあったことをかきましょう。らいねんはおにいさんに、てつだってもらわないよう、まいにちじぶんでかくようにしましょうね。
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