1月7日 あなたは絶対怒る!
ネット検索をしていると小説の広告が偶然目に入った。日常的に読書する人間ではないから普段だったらそのままスルーしてしまうだろう。しかしその広告の売り文句がなかなか奇抜だったために見入ってしまった。
あなたは絶対怒る!
なんというキャッチコピーだろう。「絶対泣ける」や「絶対騙される」ならよく見かけるけれども絶対怒るとは。思わずどんな内容の小説なのか気になってしまうではないか。ちょっとした好奇心のあまり思わず広告のバナーをタップしてしまった。
すると例の小説のページに飛んだ。あらすじが書かれていたので見てみると、「孤島にある洋館で殺人事件が発生! 犯人は一体誰?」と書かれている。あらすじを読むかぎりにおいてはよくあるミステリーのように思えた。それでも「あなたは絶対怒る!」とウェブページのトップにでかでかと書かれているからにはそれ相応の驚くべきオチがあるのかもしれない。
さらに調べてみれば小説投稿サイトに掲載されているという。本をわざわざ買わずとも簡単に読めるのであれば少しばかり読んでみようという気になった。
小説のタイトルは『殺人週間』。主人公は孤島にある洋館で一週間過ごすことになる。その間、毎晩一人ずつ何者かに殺害されていくというものだった。小説一話につき小説内での一日が描かれており、生存者は日々、犯人が誰なのか調査や推理を行っていた。続きが気になってどんどん読み進めていく。六日目まで読み終えたところで、肝心の七日目がまだ掲載されていないことに気づく。よく見てみれば小説投稿サイトに毎朝九時に最新話が更新されているようだ。なるほどこれから掲載されるのかと納得する。しかもあと数分で更新されるではないか。
次の話でちょうど七日目、すなわち主人公が帰還するために必要な船が到着する日だ。おそらく次回で犯人が誰なのか判明するのではないだろうか。そして「あなたは絶対怒る!」というキャッチコピーが何だったのかもこれでようやくわかるはずだ。小説を読み返しながら続きが更新されるのを楽しみに待つ。
物語を読んでいると時間が過ぎ去るのは思ったよりも早く、気がついた頃には既に九時をまわってしまっていた。
小説のトップページに戻り、最新話をすぐさま確認しに行く。すると驚きの文言がそこにはあったのだった。
いつも『殺人週間』をお読みいただきありがとうございました。
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会員になると『殺人週間』の続きだけではなく、未公開作品も読み放題となります。
なお、会員はいつでも退会可能で月額――
月額料金は文庫本十冊分よりも高いではないか。
ため息をついたのちに静かにつぶやく。
「『あなたは絶対怒る!』ってそういうこと?」
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