脱皮待ち 与えられるは平穏か

 静かな部屋の中、物音と言えば尻尾が空を切る音くらいだった。昼食後、遅い休憩を与えられた雪羽は源吾郎を伴って自室に戻っていた。はじめはタブレットで動画を見て気を晴らすつもりだった。ところが雪羽も源吾郎もそんなものには興味を持てる状態ではなかった。

 尻尾を乱暴に振り回しているのは源吾郎だった。雪羽が普段使うベッドに腰を下ろした彼は、四尾のうちの一、二本を床やベッドサイドに叩きつけていたのだ。もちろん威力は殆ど無く、物的被害も特に生じてはいない。せいぜい毛が抜けて舞い上がるのと、見ている側が気になってしまう程度の事だ。

 ややあってから源吾郎は尻尾を振り回すのをふいに止めた。今度は尻尾を手繰り寄せ、一尾を抱きかかえるような形で膝の上に乗せたのだ。

 そこから彼が始めたその行為は、毛づくろいや尻尾の手入れと呼べるような丁寧な物では無かった。源吾郎ははじめ、手繰り寄せた尻尾をひたすら揉んでいたのだ。多少雑な動きではあったが、その動きはフミフミだった。獣妖怪ならば誰でも行った事がある手慰みの動きだ。源吾郎がフミフミを行う事自体は不自然な事ではない。不安を覚えた時、誰かに甘えたいけれど甘えられない時に行われるものなのだから。

 ところが源吾郎の動きはフミフミでは済まなかった。尻尾の毛を手櫛で梳くような動きを取り始めたのである。手櫛というにはやはり雑で単調な動きだった。何せ――微かな音と共にフワフワした毛が抜け始めたのだから。獣妖怪の中でも、ストレスや神経が張りつめて尻尾の毛を抜く事はままある事らしい。


「先輩、今日の先輩は何というか……若い獣の匂いがしますねぇ」


 源吾郎がおのれの尻尾を乱暴に扱っているさまは見ていられなかった。雪羽はだから、彼の気を逸らせようと口を開いたのだ。

 獣の匂いがする。雪羽のその言葉には多少の好奇心と疑問しかなかった。獣妖怪はおおむね鋭い嗅覚を保有している。匂いで相手の状態を探るのは日常茶飯事なのだ。男も女も老いも若きもそんな感じである。

 ともあれ雪羽の思惑通り、源吾郎の関心を尻尾から雪羽の言葉にシフトする事には成功した。顔を上げた源吾郎は顔をわずかにしかめていた。雪羽の言葉を不快に思ったと言わんばかりの表情である。


「獣臭いだって。俺、ちゃんとお風呂にも入ってるけど?」


 語気強く言い放つ源吾郎を前に、雪羽は彼の出自や境遇に想いを馳せた。源吾郎は妖狐として振舞い、純血の妖怪に負けないほどの強さの持ち主だ。しかし彼は半妖で、しかも長らく人間として暮らしていたのだ。獣の匂いという言葉への反応を見て雪羽はその事を思い出した。嗅覚の鈍い人間の間では、体臭で相手の状況を判断する文化は殆ど無いのだ。

 妖怪として生きようと源吾郎がとうに決意を固めている事は雪羽も知っている。だがそれでも、人間として生きてきた時の考えが顔を覗かせる事もあったのだ。


「あ、いや違うんだよ島崎先輩。別にその……そう言う意味じゃなくて……」


 へどもどしながら雪羽は言葉を紡いだ。どうした訳か上手く言葉が出てこない。自分は特に口下手でもないはずなのに。

 とはいえ源吾郎に謝罪の念を伝える事には成功したらしい。むっつりと機嫌の悪そうな彼の表情が一気に変貌したからだ。源吾郎は今や申し訳なさそうに雪羽を見つめていた。


「そうだよな。よく考えたら雷園寺君は雷獣で獣妖怪だもんな。鼻も利くみたいだし」

「それにしても先輩。尻尾の毛、そんなに雑にむしってるけど良いの?」

「むしってるんじゃないよ。換毛期だから抜けるんだ」


 雪羽の問いに源吾郎はあっけらかんと応じた。もう既に穏やかな様子を見せてはいる。しかし平素の呑気さを見せているかと言えばそれはまた別物のように思えた。何しろ源吾郎は未だに妖気を漂わせているのだから。



「成長期に入ったような物だろうね。島崎君の場合は、肉体的というよりも妖力的・精神的な成長の方に入るだろうけれど」


 萩尾丸は源吾郎を見るなりそう言った。どうにも源吾郎の様子が気になった雪羽は、こっそり萩尾丸に様子を見て欲しいと頼み込んだのだ。もっとも、雪羽が全て言い切る前に萩尾丸は動き始めていたのだが。

 当の源吾郎はというと、雪羽のベッドの上に寝そべっていた。食後で眠くなったためだろう。或いは食べ過ぎて気分でも悪くなったらしい。しかし萩尾丸がやって来ると、瞼を開いて彼の様子を窺っていた。萩尾丸に向ける源吾郎の眼差しは、普段に較べればやや虚ろだった。

 寝転んだまま先輩である萩尾丸を睨む。普段の源吾郎であれば考えられない行為でもあった。ところが萩尾丸は気を悪くしたそぶりは見せず、興味深そうに眺めるだけだ。居住まいを正せと指摘する事も無い。


「解りやすく言えばする時期が来たという事なんだ。芋虫でも蛇でもザリガニでも脱皮するだろう。妖力的な方面で同じ事がにも起こっているんだ。島崎君に雷園寺君、僕の言っている事は解るよね?」

「はい…………」

「ええと、まぁ何となく」


 萩尾丸の言葉に源吾郎が静かに頷いた。少し遅れて雪羽も返答する。そもそも源吾郎の様子を見て欲しいと言って萩尾丸を呼んだのだ。それなのにどうして萩尾丸さんは俺にも呼びかけているんだろう。そんな疑問が脳裏をかすめたのだ。


「痛みや苦しみを伴わない成長は無いんだよ。ましてや君らが目指すのは大妖怪で、一介の戦士では無くて大君主なのだからね」


 大妖怪。大君主。萩尾丸のやや大げさな言葉に源吾郎が反応したのが雪羽には見えた。虚ろだった瞳に光が戻ったのだ。のみならず、ゆっくりと半身を起こしてもいた。

 その様子を横目で眺めながら萩尾丸は解説を続けた。妖怪の事、妖怪の持つ強さの事だ。

 妖怪が保有する妖力は一種のエネルギーである。実際に生命力として用いられ、時に妖術の行使に充てられる事もあるのだから。

 しかしながら、妖怪にとっても過剰な妖力は毒になる。妖気の循環が停滞したり逆に早まったりするのも体調不良を引き起こす原因となるらしい。

 それ故に妖怪に生じる脱皮――要は妖力が大幅に増加する事だ――もまた、妖怪の心身に負担がかかる事なのだという。負担の発現は増える妖力の度合いやその妖怪の体質によってまちまちであるらしい。とはいえ、何がしかの自覚症状がある事には変わりないし、それこそ外的な負荷が特に若妖怪の脱皮を促す事さえあるというのだ。

 そう言った意味でも、源吾郎は今まさに脱皮の最中であるのだと萩尾丸は断言した。さもありなん、と雪羽は密かに思っていた。源吾郎の振る舞いや様子は普段とは明らかに異なっていたからだ。妖気を無闇にばらまくような手合いでは無かったし、何より先程までイライラした様子で尻尾の毛をむしってもいた。

 そして今の源吾郎にのしかかる外的な負荷も明らかだ。明日の事、時雨の救出作戦が上手くいくのか。それが源吾郎にとって精神的な重圧である事は言うまでもない。


「辛いだろう、しんどいだろう島崎君」


 今やベッドの上で胡坐をかく源吾郎に萩尾丸は問いかける。相変わらず面白がっているのか、源吾郎の身を案じているのか雪羽にはよく解らなかった。


「それこそが君の望んだ野望の対価であり、今後もこういう事が何度もあるんだよ……まぁしんどい時に厳しい事ばっかり言ってもしょうがないよね。大丈夫だよ島崎君。あと二日の辛抱だからね。君なら乗り越えられるはずだ。


 萩尾丸の言葉に、源吾郎も雪羽も目を丸くした。彼の言葉は意外にも優しい響きを伴っていたからだ。源吾郎が驚いていたのはわずかな間だけだった。彼はおとがいを撫でると、その面に笑みを浮かべた。いくらかふてぶてしさの滲む、そう言った意味では若者らしい笑顔だった。


「僕は大丈夫ですよ萩尾丸先輩。ええ、大丈夫です」


 それは良かった。そう言った時の萩尾丸には朗らかな笑みが浮かんでいた。しかしすぐに、やや改まった表情をその顔に浮かべた。


「だけど、今日は休みだし早めに帰ろうか。しんどい思いをしているのは僕も解っているからさ。急な事だし初めての事だろうけれど、よく頑張ってると僕は思っているからさ」

「……やっぱり半妖だから、余計にしんどいのかな?」


 雪羽がそんな事を呟いたのは、萩尾丸の言葉が終わった直後の事だった。源吾郎が妖狐として振舞おうとしている事は雪羽もよく知っている。しかしそれでも、彼が半妖である事や人間の血を引くのだと雪羽は意識してもいた。何しろその風貌は、彼の父である島崎幸四郎にそっくりなのだから。強いて言えば、若い頃の幸四郎よりも源吾郎の方が懐っこくて表情豊かという違いはあるだろうが。


「雷園寺君。今回みたいな脱皮現象は何も半妖の専売特許じゃないさ。君みたいな純血の妖怪とて起こり得る話だよ。

――、強い妖怪は周囲から尊ばれるんだ。彼らが膨大な力を持ち、大きな影響を与えるからではない。大妖怪に至るまでに苦難と辛苦を重ね経験を積んできた。その事にこそ周囲の妖怪たちは尊敬するのだよ……今の君らには難しい話かもしれないけれど」



 昼下がり。小一時間ほどまどろんだりぼんやりしたりして時間を潰していた雪羽たちだったが、気晴らしがてらに二人で学生街の散策を始めていた。

 救出作戦の前日なのに外をぶらつく。雪羽たちのこの行為を咎める者はいなかった。むしろ萩尾丸から気分転換に良いと推奨されたくらいなのだ。


「金木犀が咲いてるなぁ」

「うん。匂いがめっちゃ漂ってくるねぇ」


 道路に面する庭に植えられた金木犀を見ながら、源吾郎と雪羽は短く言葉を交わす。数時間前まで苛立ったり疲れたりした様子を見せていた源吾郎だったが、今ではすっかり元気を取り戻し、ついでに普段の穏和さを取り戻してもいた。萩尾丸から脱皮の話を聞いたからなのかもしれない。


「それにしても雷園寺君。萩尾丸先輩の屋敷には猫又がいるって話だったけど、見かけなかったなぁ」


 モフモフ出来たかもしれないのに……やや残念そうに告げる源吾郎を見て、雪羽は少しだけ笑った。普段の彼らしい言動だったからだ。しかし雪羽もまた、シロウの不在が気になってもいた。


「俺もよく覚えてないけれど、昨日あたりからいないみたいなんだ。シロウさんは萩尾丸さんの部下じゃなくて居候だからぶらっと出歩いても特におかしくないんだろうけどね。それでも丸一日屋敷を出てウロウロしているなんて珍しいし……あ、シロウさんって猫又の名前な」


 シロウさんは何処に行ったんだろうか。そんな事を考えている間に、雪羽は時雨と初めて会った時の事を思い出してしまった。あの時もシロウが地味に活躍していた。引率係だった狸娘・松子の財布を咥えて逃亡という形で、雪羽たちと彼女を引き合わせる事に成功したのだ。

 今時雨たちは犯行グループによって拉致されている身分だ。調査によると時雨のみならず深雪も松子も一応無事ではあるらしい。もっとも、松子はむしろ犯行グループの面々に迎合したような態度を取っているという不穏極まりない情報も一緒に入っているのだが。

 初めから連中に加担していたのか、生命惜しさに屈服したのか。どちらなのか現時点では解らない。しかし財布を追いかけて走っていた松子の姿を思うと心がざわついて仕方がなかった。


「……雷園寺君。まだ明るいし何処かに寄ってこうか」

「そうだな……まぁ俺は、夜だろうと遊べるんだけど」


 何かを察したらしい源吾郎の提案に、雪羽は即座に応じる。明るい日中ではないと遊べない。暗に出てきた源吾郎の考えを人間らしいと思いながら。



 雪羽たちが萩尾丸の屋敷に戻ったのは四時前の事だった。小一時間ブラブラと出歩いていた事になる。

 萩尾丸は他の妖怪たちは帰ってきた二人を出迎えはした。しかし何かをすべきと言った指示を受ける事は無かった。若妖怪二人はもうあとは明日に備えてつかの間の休息を取ればいい。上はそう思っているらしかった。

 だから雪羽たちは、特に遠慮することなく自室に引き戻る事が出来たのだ。


「俺はもうすぐ帰るけど……雷園寺君は気が晴れた?」

「大丈夫だよ、俺は」


 持ってきていた荷物を探りながら源吾郎が問う。雪羽は笑いながら手を振った。正直な所気が晴れたとかそう言う気分ではない。しかし源吾郎にいらぬ心配はかけたくなかった。萩尾丸の言う通り、彼が頑張っている事は雪羽も解っていたのだから。


「それにしてもごめんな。雷園寺君にも心配かけちゃってさ。イライラした所とか、不安ばっかり募らせている所を見せまくってたから申し訳ないよ」

「別に、そんな事気にしなくて良いのに。俺だって、先輩が不安に思うのは仕方ないと思ってるんだからさ」


 申し訳なさそうに謝罪する源吾郎に対し、雪羽は軽い口調で言ってのけた。この度の救出作戦を前に、源吾郎は強く困惑し不安を抱いている。成功するのか、失敗してしまわないか。その事が怖くて仕方ないのだ。彼がそう思う事は致し方ないし当然の流れだと雪羽たちは思っている。源吾郎はそれまで平和な暮らしを営んできたのだから。

 萩尾丸たちの思惑はさておき、源吾郎が救出作戦に関与している事は雪羽にしては有難い事だった。互いになすべき事を知っていて、それ故に不安に思っている事を打ち明けられるからだ。もっとも、今の雪羽には不安はない。なすべき事は既に定まっている。

 雷園寺君は不安じゃないの? 唐突な源吾郎の問いに雪羽は頷いた。


「俺はもう大丈夫だよ。やるべき事をやると心に決めたからな。それに蠱毒の事も聞きかじりだが調べてみたんだよ。蟲とか小動物を共喰いさせる方法もあるけれど、そうじゃない方法もあるみたいだな、犬神とか」

「犬神、か……」


 源吾郎が怪訝そうに眉を吊り上げた。雪羽はここで笑みを深め、雷獣と犬神との結びつきについて語り始める。


「犬神は喰い合いをさせなくても作れる蠱毒らしいんだよ。一匹の犬の怨念を使い、首を刎ねればお手軽に出来るって事さ。先輩も知ってると思うけど」

「首を刎ねるのにお手軽も何も無いだろうに」


 じっとりとした口調と眼差しで源吾郎がツッコミを入れた。ノリが悪いなぁ。そんな事を思いながら雪羽は続けた。まだ話の本質には至っていないのだから。


「それで島崎先輩。犬神の記述を見ていたら興味深い話があったんだ。犬神のルーツについて何だけどね、実は犬神って平安時代に討伐された鵺の遺骸の一部から出来たって話なんだよ。他にも猿神や蛇神も生まれたらしいけどね。

 先輩。俺が雷獣だからこの話は無関係だと思ってませんかね? まさか! 良いですか先輩。鵺は雷獣の先祖なんですよ。鵺の遺骸から蠱毒が生まれるのならば、はずなんだ。しかもし」

「雷園寺、お前まさか――!」


 源吾郎の目が大きく見開かれた。今や彼の身体は小刻みに震えている。やっと俺の話の意図が解ったみたいだ。雪羽は満面の笑みを浮かべ続けた。


「ははは、これこそ三方良しってやつじゃあないか。俺は時雨を助け出す事が出来るし、連中も蠱毒を得る事が出来るんだからさ。あ、でも心配しないでくださいね島崎先輩。連中の事は蠱毒になった直後に喰い殺したり呪い殺すつもりですので……蠱毒なんて代物が、生半可な術者に唯々諾々と従うものではないって事は、先輩もご存じですよね。

 ましてや雷園寺家の面々は怨霊の幻影に怯えている……ありもしない怨霊に、この俺がなるんですよ」

萩尾丸先輩の言ったとおりだな」


 源吾郎が小さな声で呟く。先程とは異なり落ち着いた声音だった。言った通り? 一体何が……そう思っている雪羽の手許に、柔らかい物がぶつかってきた。源吾郎が放ったらしいそれは、小さな巾着袋だった。お守りの類だろうか。雪羽は反射的にそれを手にしていた。


「雷園寺。さっき萩尾丸先輩は脱皮の時にしんどくなったり情緒不安定になるって言ってただろう。それは何も俺一人がそうなっているって話じゃあないんだよ。雷園寺、あんただってそんな状況の真っただ中にあるんだ……」

「…………」


 雪羽はお守りを握りしめていた。縮緬の布はしっかりしているが、中は妙に柔らかい。不思議な感触だった。そしてその感触を確かめているうちに、心中で渦巻いていた熱やさざ波が収まっていくのを感じた。


「そのお守りの中には、感情の揺らぎを押さえるための粉が入っているんだ。効果が強いから長期間持っていると良くないらしいけれど、丸二日くらいなら大丈夫だって萩尾丸先輩は言ってたよ。

 散歩する前に萩尾丸先輩にこれを渡されて、雷園寺君の様子を見るようにって言われたんだ。俺もさっきまで持ってたけど、大分効果があるって俺も感じたよ。不安とか苛立ちとかが大分マシになったからさ」


 雪羽は源吾郎とお守りを交互に眺めた。散策の際、源吾郎は落ち着きを取り戻していたように見えた。しかしそれがお守りの効果だったとは。


「騙し討ちだと罵ってくれても構わない。だけど雷園寺、明日の救出作戦にはあんたがそれを持っておく必要があるんだ。蠱毒になって、怨霊になるのがなんかじゃあないだろう? 生きて、弟たちもちゃんと助けて、その上で雷園寺家の正式な次期当主になるのがお前の望みだろ?

 鵺が犬神のルーツだなんてくそくらえだ。そんなこと言ったら、殺生石だって犬神になったって話があるんだからさ……」


 そこまで言うと源吾郎は唐突に俯いた。震えながらも涙をこらえているように雪羽の目には映った。

 確かに自分は今までばかげた考えに取り憑かれていた。その事に気付いた雪羽だったが、源吾郎をなだめる言葉はついぞ見つからなかった。


 ともあれ、明日の夜に全ての決着がつく。冷静さを取り戻しつつある雪羽に解るのはその事だけだ。

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