雷園寺雪羽の出会い

 犬や猫と言った普通の動物同様、獣妖怪にとってもグルーミングやブラッシングは重要な意味を持っている。

 特に、仲間内で行うグルーミングやブラッシングは信頼と親睦の象徴でもある。毛皮や尻尾は獣妖怪たちにとっても大切な物なのだ。さらに言えばグルーミングやブラッシングの間は無防備になる。する側もされる側も全幅の信頼と親愛を見せているという前提が、さも当然のように浮かんでくるわけなのだ。

 もちろん、そう言った前提のためにブラッシングやトリミングを生業にしている妖怪や術者もいるわけであるが。雪羽は萩尾丸に引き取られるまで、ここ最近は取り巻きや知り合った妖怪娘にブラッシングしてもらっていた。


 何故こうしてトリミング談義が始まっているのか。それは簡単な話である。雪羽は今、縁側の上に寝そべりブラッシングされているからだ。ひんやりとするシートの上に寝そべる雪羽は、変化を解き本来の姿を露わにしていた。

 本来の姿とはハクビシンと長毛の猫の合いの子のような姿である。大きさも猫程度なので本当に珍種の猫のように見えるだろう。ブラッシングの関係上本来の姿に戻らざるを得なかったが、雪羽は実は本来の姿をそれほど好いてはいなかった。柔らかな長毛に覆われたその身体には美しさこそあれど、恐ろしさや強さ、或いは威厳とは縁遠かった。むしろ可愛いらしさなるモノさえ漂っているくらいだ。だから雪羽は獣の姿になる時、敢えて巨大化して威厳を保つのが常だった。源吾郎との戦闘訓練でも、巨大な姿で挑むのはそのためである。

 とはいえ、今回は単にブラッシングを受けるだけなので威厳云々は無関係な話だったりする。ついでに言えば春嵐しゅんらんがブラッシングしてくれているので、尚更見掛け倒しの威厳は通用しない。


「……お坊ちゃまも楽しそうに仕事をなさっているみたいで何よりです」

「楽しそう、なのかなぁ……」


 首の後ろから尻尾の先までブラッシングされている間、雪羽は話通しだった。話の内容は萩尾丸に引き取られてからの日々の事である。ただやはりどうしても仕事の話に偏りがちだった。もちろん三國の許にいた時も、彼の職場に重役として出向いて「仕事」を与えられていたと思っていた。だがそれがままごとに過ぎない物だと最近になって知ったのだ。


「まぁ確かに島崎君との力較べとか技較べは楽しかったよ。向こうも結構真剣にやってくれるし、俺が出来ない事とか珍しい事もやってのけるのを見れるし。

 でも最近は座学が増えてるから、眠いし退屈だし大変なんだよ。まぁ、サボったりうたた寝したら島崎君にチクられるんだけど」

「座学も必要ですからねぇ」


 春嵐はそう言って、今まで手にしていたブラシを置き、別のブラシを手に取った。雪羽はそれを見て転がって腹を見せた。ブラシの交換は腹側のブラッシングを行うという春嵐の合図でもある。獣妖怪の毛皮は背中側よりも腹側の方が柔らかく傷つきやすい。しかも雪羽は胸や腹に過去の古傷が幾つかある。そのような事を考慮して、背中側よりも柔らかいブラシを使ってくれるのだ。

 春嵐自身は頑健な肉体で傷つく事は少ない。しかし相手が傷つく事にはかなり過敏だった。不死身だったり再生能力の高い妖怪の中には、そう言う考えが根付く事は割とよくある事らしい。


「力や技を習得するだけが妖怪の強さではありませんよ、雪羽お坊ちゃま。むしろ私たち妖怪は知識や知恵を得る事こそが大切なのですから」

春兄はるにい……」

 

 そんな難しい事言ったらしんどくなっちゃうよ。心の中で雪羽は付け加えていた。春嵐はそんな雪羽の内心を知っているのかいないのか、ブラッシングを続けるだけだ。雪羽の腹の毛並みを見つめる春嵐は、やはり澄ました表情である。


「それにお坊ちゃま。座学なら人間の子供だってやってるんですよ。それこそ、島崎君だって……」

「確かにそれはそうだったよ」


 春嵐の言葉を遮るように雪羽は応じる。人間の子供が学校に通い勉学に励んでいる事は知識として知っている。源吾郎が就職するまでは学校に通っていた事も知っていた。雪羽がせがめば人間として暮らしていた日々を、源吾郎は教えてくれたからだ。

 

「高校とかで勉強するよりはまだ楽だって島崎君は言ってたよ。今はまだ仕事がある分、ずっと座り通し勉強し通しじゃないからって。後計算に電卓を使えるのも助かるって言ってたかな」


 雪羽の毛並みを整える春嵐の手がにわかに止まる。ふと見ると何かを考えこむような表情をこちらに向けていた。目が合うと僅かに笑みが広がる。


「今は大変かもしれませんが、じきに慣れていくと思いますよ。お坊ちゃまはまだ若いので順応性もありますし……」


 微笑みながら言う春嵐の言葉には僅かに陰りがあった。もう少し早く雪羽を学校なり何なりの教育機関に預ければ良かったと、春嵐は密かに思っているらしい。

 三國に引き取られたばかりの雪羽はまだほんの子供だった。しかし三國は雪羽を自分の正式な部下・職員と見做し職場に連れてきていたのだ。仕事の折に雪羽に寂しい想いをさせないようにという叔父の不器用な愛情故の事であったと悟ったのは最近の話である。

 春嵐を筆頭に部下たちはそんな三國の行いを内心では良く思っていなかったのかもしれない。しかし三國は強く第八幹部たちの中では最年長だった事もあり、中々意見が出来なかったのだろう。

 そう言った大人たちの思惑を知らずにのうのうと過ごしてきた雪羽は、やはり子供だったのだ。


「あ、でも春兄。まぁ大変な時もあるけど勉強も楽しいよ!」


 過去のおのれの行動を振り払うように雪羽は声を上げる。声は若干上ずり、小型犬の啼き声のようになってしまった。


「今その、鳥の勉強をやってるんだよ。おかしな事をしたやつと鳥妖怪が関与しているみたいだってことが解ったし、何より鴉共が俺たちのいる工場を監視してるんだよ。

 それで、鳥を調べるって事になってるんだ。あはは、よく考えたら紅藤様も青松丸さんも鳥なんだけどね。でもまぁ調べ学習するのは知識が身に着くって言われてるから……」


 言いながら、雪羽は窓の向こうに視線を向けた。叔父の三國は花壇の付近に屈みこみ、庭いじりを行っている。その傍らには一羽の茶色い鳥がじゃれつこうと様子を窺っている。鶏ほどの大きさの均整の取れた体躯の鳥であるが、頭部は茶色い猫のそれである。猫頭鳥びょうとうちょうという鳥妖怪である。春嵐と共に大陸からやってきた鳥なのだそうだ。


「ねぇ春兄。うちにいる鳥妖怪ってあのレンだけだよね」

「今の所そうですね」


 雪羽の問いかけに春嵐は頷く。妖怪は種族を超えてコミュニケーションが取れる生き物であるが、それでも同種族や近しい種族で組織を作るのが常だった。従って雷獣である三國の部下たちも、概ね獣妖怪ばかりである。妖狐や狸、猫又と言ったメジャーどころの種族は少ない。化けイタチやテン妖怪、送り狼と言った比較的マイナーな獣妖怪たちで構成されているのが特徴だった。


「やっぱりさ、灰高様や紫苑様、それと双睛そうせいの兄さんの所とかは鳥妖怪が多いよね」

「お三方とも鳥妖怪ですからね。鳥妖怪は鳥妖怪同士の方が気が合うのでしょう」


 首の下から生える長毛を撫でつけられながら、雪羽はあれこれと考えを巡らせていた。鳥妖怪な幹部たちの中で怪しいのは誰だろう、後でお返しに春嵐をブラッシングしようかな、などと言った事である。

 休日の昼下がりは、このように和やかに過ぎていったのだった。



「あらぁ、おかずが足りないわ……」


 夕刻。夕飯を作ろうと支度をしていた月華が小さく声を上げた。雪羽が帰ってきたという事で奮発して色々と作ってくれようとしていた所らしく、僅かにがっかりしたような声音だった。

 とはいえ夕方であるしまだ外は明るい。それにそもそも雪羽たちは妖怪であるから、夜出歩くのもそんなに抵抗は無かったりする。まぁ雪羽の場合、人間にバレたらややこしいので一時的に青年の姿に化身してやり過ごす事もあるにはあるが。


「俺が買いに行くよ」


 ピーマンを持ったまま悩む月華に対し雪羽はそのように申し出た。三國は料理を手伝おうとしていた所だし、春嵐は外回りの仕事で忙しそうに見えたからだ。

 それに昼間は寝たり遊んだりして気ままに過ごしていた。久々に帰ってきたのでちょっとした手伝いをしようと意気込んでもいたのだ。


「お坊ちゃま、私も付いて行きましょうか」

「大丈夫だよ春兄。春兄も忙しいんでしょ」


 言いながら、雪羽は右手首を春嵐たちに見せつけた。彼の手首には、薄紫の玉があしらわれたミサンガが巻かれてある。蠱毒の事件の後に紅藤から貰った護符である。妖怪や不測の事態から持ち主を護る為の心強い防具だった。


「紅藤様から護符も貰ったし、近所だから大丈夫だよ」

「その護符は貰ったんじゃなくて萩尾丸さんから買い取った物ですが……まぁ良いでしょう」

「とりあえず気を付けるんだぞ……一人で大丈夫か?」


 三國に問われた雪羽は満面の笑みで頷いた。雪羽も年齢的には子供に分類されるのかもしれないが、少なくとも一人で出かけられない程幼くもない。

 それに雪羽も何となく一人で出かけてみたい気分だったのだ。萩尾丸の許で暮らすようになってから、一人で出かけるタイミングがなかったためである。

 それにこの亀水の町の事は雪羽もよく知っている。三國の膝元であるから危ない妖怪も少ないし、襲撃されても紅藤の護符が護ってくれるはずだ。



 夕立のごとき豪雨に見舞われたのは買い物を終えた直後の事だった。運が悪いというのはまさにこの事であろうか。雷獣なので雨男である事は自覚していたが、まさかこのタイミングで雨に降られるとは。

 雪羽はレジ袋を見ながら少し考えこんだ。親切というよりお節介な店員が保冷剤を多めに入れてくれたのだが、それは幸運な事だったのかもしれない。野菜の他に鶏肉も購入していたからだ。

 幸運と言えばこの豪雨はどうやら通り雨らしい。雷獣の勘でそう言う事も解るのだ。雨脚は烈しいが、十分も待たずして雨もやむだろう。

――ちょっとレジとかが混んでいたって事にして、雨宿りしてから帰ろうか

 静かに雪羽はそう思い、雨粒をよけつつ目についた雑居ビルに足を踏み入れた。紅藤の護符にはご利益はあるのだろう。しかし空から落ちてくる雨水や地面を跳ねる泥水を弾くような権能は残念ながら持ち合わせていないらしい。

 そうなれば雨が止むまで待つほかないのだ。雷獣は多少雨水に濡れてもすぐに体調を崩す事はない。しかし泥水など汚水を浴びると一時的に能力が使えなくなってしまう事があるのだ。


 亀水たるみは洒落た町をイメージしているだけあって、雑居ビル自体も小綺麗で好奇心を掻き立てる内装だった。


「……おや」


 入ってすぐの所に、何かの広告と思しきポスターが貼ってある。絵であるらしいのだが、何が書いてあるのかよく解らない。抽象的な絵という奴であろうか。

 矢印を発見した雪羽は、臆せずそちらに向かっていった。基本的に好奇心旺盛なのだ。

 案内の矢印に誘導された雪羽は、廊下を曲がってすぐの小部屋に落ち着いた。入り口には気取った書体で「Gallery」と書かれてある。それを見てああ成程と思った。一応雪羽もギャラリーが絵や彫像を飾っている所であると知っていたからだ。


「…………!」


 ギャラリー内にある絵を見ようとした雪羽は、受付スペースに座る青年に気付き、驚いて目を瞠った。特に面識のある相手ではない。しかし雪羽は彼が源吾郎の縁者であると悟ったのだ。

 妖怪は相手の放つ妖気や雰囲気で個体識別ができる。また獣妖怪であれば嗅覚が優れているため、匂いもまた個体識別や類推の手掛かりになるのだ。

 件の青年は源吾郎とは似ても似つかぬ姿だったが、雪羽はそう言ったものを手掛かりにして相手が誰であるか把握できたという事だ。


「……どうも、こんばんは」

「初めまして、こんばんは」


 驚いてまごまごしている間に目が合い、なし崩し的に挨拶を交わす。島崎源吾郎君のお兄さんですよね? そう尋ねようかと思ったのだがそれはまぁ直球過ぎるだろう。かといって自分の素性を明かして良いものか。雪羽は少しだけ悩んだ。


「見た所、僕の身内を知ってるみたいだね。自己紹介しても大丈夫だよ。そろそろ閉店間近だし、この天気だから急に入ってくる人間もいないだろうし」


 人間、と強調する彼の意図を雪羽はくみ取った。向こうも雪羽を妖怪であると見抜き、その素性を明かしても問題ない。言外にそう言っているらしかった。


「僕は島崎庄三郎。見ての通りしがない芸術家です」


 まぁ君らの業界では玉藻御前の末裔という事で有名かもしれないけれど。庄三郎青年はそう言って力なく笑った。雪羽の類推通り、彼は源吾郎の兄のひとりらしい。源吾郎の兄の一人が芸術家である事、恵まれた美貌や相対する人間を魅了する力などある意味妖狐らしい能力の持ち主である事も雪羽は知っていた。源吾郎から暇なときに聞かされていたからだ。


「俺……僕は雷園寺雪羽と言います。名前通り雷獣なんです。今は色々あって弟さんと一緒に働いてまして、いつもお世話になってます」


 源吾郎と世話になっている。そう言った時庄三郎はちょっと驚いたような表情を浮かべた。驚きといくばくかの喜びがないまぜになった表情だ。


「そうか、雷園寺君は源吾郎と一緒に働いているんだね。いつもありがとう。源吾郎はまぁちょっとややこしい所もあるから、君も色々と大変じゃあないかな?」


 ややこしい。庄三郎のその言葉を受け、雪羽の脳裏にここ数日の源吾郎の姿が浮かぶ。しかし笑みを浮かべて首を振った。


「いえいえとんでもないです。弟さんにはいつも良くしてもらってますよ。まぁその……驚く事とかもありますけど」


 それなら良かった。雪羽の言葉を受け庄三郎は穏やかに笑っていた。


「それにしても、僕と源吾郎が兄弟だってすぐに気付いたみたいだから驚いちゃったよ。兄弟だって聞いて驚く人が多いから。

――まぁ、互いに玉藻御前の血を濃く引いていて、それに振り回されつつも自分の夢に向かってもがいている所は似ているかも知れないけれど。僕と源吾郎の共通点はそこだろうね」


 口調こそ穏やかだったが、庄三郎の眼差しは何処となく昏い。源吾郎が玉藻御前の血について語るべき事が無数にある事は知っているが、庄三郎もまた別の意味で思う所があるのだろう。但し雪羽はそこまで込み入った事は聞かされていないから知らないが。


「ああごめんね。源吾郎の事を知ってるからって出会い頭に色々話しても困っちゃうよね……?」

「いえ、大丈夫ですよ。僕もお話を聞くのは楽しいですし」


 絵を見てもいいか、と庄三郎に許可を取り、雪羽はゆっくりと散策を始めた。縁あってギャラリーに来たのだから絵をきちんと見た方が良かろうと思ったのだ。壁に掛けられている絵は控えめに言って何かをぶちまけたようなブツにしか見えない。しかしじっくりと見ていれば何かが解るかもしれないと雪羽は思った。



「あ、どうもこんばんは」


 絵を眺めているともう一度雪羽に声がかかった。庄三郎ではない別の誰かだ。それは声で判っていたし、そもそも雪羽は誰かが近づいてきた事に察知もしていた。


「こんばんは、雷園寺と申します」


 次に雪羽の許にやってきたのは赤みを帯びた巻き毛が特徴的な若者だった。明らかに成人男性と判る庄三郎と異なり、今回の巻き毛君は少年と青年の間と言った感じである。

 ちなみに彼も妖怪である事は把握済みだ。匂いからして鳥妖怪であろう。だから雪羽も臆せず雷園寺の名を出したのだ。


「初めまして雷園寺君。僕は朱衿あかえりと名乗ってます。ここでギャラリーをする事になって、スタッフとして来てます。

 作家の島崎さんもおいでですけれど、何か気になる事とかあれば何でも質問してください」


 何でも質問してください。若々しい声と口調で朱衿がそう言うので、雪羽もお言葉に甘える事にした。


「朱衿さんって言うんですね……赤襟ウズラの話を思い出しましたよ。もしかしてウズラの妖怪ですか?」

「いや、僕は雉妖怪になりますかね。厳密には父は山鳥の妖怪だったらしいのですが。まぁ、母親の雉妖怪としての血が濃いので、対外的には雉妖怪という事にしています」


 これは失敬。ちょっと気取った調子で言いながら、雪羽は朱衿の姿をまじまじと見つめていた。思いがけぬところで雉妖怪に出会い、ちょっとだけ興奮していたのだ。


「雉妖怪ですか……そう言えば僕は雉鶏精一派に所属してるんです」

「雉鶏精、一派……」


 あっさりとおのれの所属を口にすると、朱衿は驚いたように目を瞠っている。小刻みに震えているようにも見える。相当驚いているようだ。

 それも無理からぬ話だろう、と雪羽は考えていた。朱衿は恐らく若い妖怪なのだろう。妖力もささやかでまぁそれこそ野良妖怪なのかもしれない。

 同じ雉妖怪の精鋭が運営する雉鶏精一派の縁者と出会ったと知り、そしておのれの境遇と比較して驚いているのだ。雪羽は素直にそう解釈していた。

 だから雪羽は、嬉しそうに言葉を続けたのだ。


「朱衿さん。もしよければあなたも雉鶏精一派に入りませんか? 色々と大変な事もありますけれど、胡喜媚様が作った組織というネームバリューは中々のものですよ。何せあの玉藻御前の末裔の一人も、修行のために就職先として選んだんですから」

「勧めてくれてありがとう、雷園寺君」


 雪羽の言葉が終わってから、やんわりとした口調で朱衿が告げる。


「雉鶏精一派の凄さは僕も知ってますよ。ですが、あすこには既に優秀な方が集まっています。それこそ雉妖怪の方もトップにいらっしゃるみたいですし。

 僕みたいなやつが今更雉鶏精一派に仲間入りしても、色々と迷惑になるだけでしょうし……」


 そこまで卑下しなくても良いのに……そう思った雪羽は彼に何か気の利いた言葉をかけようと思った。しかしまごまごしている間に朱衿はスタッフとしての仕事を再開してしまった。

 少しの間考え込んでいた雪羽は、ややあってから既に雨が上がっている事に気付いた。

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