第3話 三歳になりました

 3歳になりました。この3年で成長しましたよ、特に魔法関係はね。


 自由に動けるようになったので、家族にばれないように、こそこそではありますが毎日本当に頑張りました。


 魔法とスキルについての研究もしています。


 この世界の常識がいかに間違っているのか、身体強化を覚えた時にステータスに表示されたのを確認後、使っても魔力は殆ど減らないと言う検証が出来ました。


 これは自分でステータスが見れる俺だから出来る事だと思います。


 この世界の人はこういう使い方が出来ないからこそ、研究が進まなかったり、間違った認識になっているんだと思う。


 異世界定番の魔力増幅計画は順調で、多分、俺の今の魔力量はこの世界の子供? 人? に比べたら結構な量だと思う。鑑定スキルがないので他の人の魔力量が分からないし、3歳が人に聞くのはおかしいですからね。


 祝福以外で鑑定スキルが生えてくるのか今は解らないですが、こっそりうちにある数少ない本を読んで、知識とか物を良く観察することをやって試している。


 他にも色々やってはいるがどんな結果になるのか、もしくは何も生えないかということすら分からない。


 魔法も五属性ではなく、土、水、火、風、無、光、闇があって、その別に治癒系の魔法や浄化系の魔法もあることが解りました。


 これプラス生活魔法というものも確認できています。


 生活魔法のクリーンと浄化魔法では魔法陣に大きな違いがあったので、別物だということの理由になりました。


 属性魔法を小規模にした生活魔法は消費魔力を減らし、威力の調整が出来ない魔法陣だということも解りました。


 俺ってやっぱり転生物の主人公みたい。なぜなら本当に俺って馬鹿なのと思ってしまったが、生まれてすぐに言語が理解出来てる事に気づかなかったんだよね。


 文字を見るまで分からないなんて、「あはは」気づけよほんと、気づいた時には本当に乾いた笑いが出たね。


 自分では会話は日本語のように思っていたから余計に気づかなかったんだと思う。そう聞こえていたから、多分、今現在も多少喋れてるんだけど、これも自分では日本語を話してるつもりだけど、本当は異世界言語なんだろう。


 何故分かったかと言うと文字は流石に違っていたんですよ。


 でも、自分が日本語を書こうとすると日本語で書ける。意識しないと異世界語。


 意識して日本語を話そうと思えば日本語で話せると思いやってみたけど、当然日本語は理解できるから分からなかった。


 それでは文字とは逆に、異世界語で話そうとしたら理解出来たね。聞いたことのない言語だったから。


 この辺はややこしいんだけど、ご都合主義的に出来てるんだなと言うことで、これ以上は突っ込まないことにした。


 回想終了 ノックの音と共に


「おはようございます。レオ様起きてください」


 俺が生まれてからずっと面倒を見てくれている、メイドのミレが部屋に入って来た。


 ミレは現在15歳、母の「グレース・フォン・カラド」が妊娠したことが解った時に雇われた。爺様の代からいたメイド、ローラの娘。


 爺様と言ってるけど、先代当主「バッカス・フォン・カラド」は現在42歳、祖母のフランは41歳なのだ。


 この世界の成人はやはり15歳。平民などは10歳になれば殆どが働いている。手伝い程度なら5~6歳くらいからしている。


 父の「マルクス・フォン・カラド」は23歳、母は21歳、この世界では3歳の子持ちとしてはごく普通の年齢。


 そしてその母は二人目を現在妊娠中。この狭い屋敷のどこでそのような行為をしたのか?


 今、その事にとっても思いを巡らせている、俺がここに存在する。


 子供を作る知識はあるからね。ほんとこういうのは困るのよ。本当に子供ならそんなこと気にならないんだろうけど。


 だってつい最近離れを作るまで、祖父母は同居していたし、両親は俺と同じ部屋で生活してたんだよ? 今は別だけど……。


 あと半年もすれば弟か妹が俺に出来る。


 前世のそういう記憶がないから、兄弟がいたのかは分からないが、今はとても楽しみにしてるので、そこはこれ以上深く考えないように努力をしている。


「う~ん おはよミレ」


「皆さまもうお揃いですよ。支度して食堂に行きましょう」


「は~いでしゅ」


 まだまだ言葉は体の方がついていかずこのようにしか話せない。


 こいうのは逆に助かる。変に思考と同様に流ちょうに話せたら、誤魔化すのに苦労したと思うから。


 身支度を整えてもらってから食堂に行くと、祖父母を含めた家族全員が揃っていた。


「じいじ、ば~ば おはようございましゅ」


「ちち、はは おはようございましゅ」


「うむ、おはよう、レオはちゃんと挨拶出来て偉いの~ 流石はわしの孫じゃ」


「違いますよ、私の孫だからですよ。ね~~ レオ」


「今日はレオと何をしようかのう?」


「今日は私とお散歩ですよ。昨日はあなたがレオと遊んだでしょ」


 いやはやこのように家の祖父母は俺を溺愛している。嫡男と言うのもあるが父が一人っ子だったこともあり、他に孫がいないのも大きく影響している。


 俺としては早く兄弟が出来て、そっちに気が行ってくれるとありがたいのだが、それまでは祖父母の機嫌を取りながら、日々の研究をすることにしている。


 貧乏暇なしで父は何かと忙しいし、母は身重でミレとローラは家の事をやりながら俺の世話もしているから、もっぱら祖父母が俺の相手をしてくれていることが多い。


 それでも外には良く連れ出してくれるので情報収集の意味ではありがたい。


 この状況を見れば分かるでしょうが、家は本当に貧乏なんですよ。


 本当に貴族かっていうくらいにね。普通の貴族なら執事がいるし、従士もそれなりの人数いるのですが、家には爺様と同年代の従士が1人と、父より少し若い従士が2人いるだけなんです。


 その従士も普段は農業をやりながら、訓練をしています。


 爺様と同年代の従士はブルース、残りの二人も実はブルースの息子達、ロックとサイラスなのです。


 ブルースが従士兼執事みたいなことをやってくれているので、専業なのはブルース1人なんです。


 家が貧乏な理由はうちの村の人口が200人しかいないからなんです。


 国に払う税を引けば本当に平民より少し裕福と言う程度。


 元々うちの村は林業が主でしたから税を払うにしても木材の需要がないと儲からないし、農地も少ないので麦も多く取れませんから、殆どが麦ではなくお金での徴税しています。


 国に治めて残った税も出来るだけ、村に還元しないと元敵国民ですからうまく回らなかったんです。


 父の代になる今はもう元敵国民というのは気にしていませんが、家も元は平民に毛が生えたような爵位でしたから、自分達だけ贅沢するなんて出来ないんですよ、小心者ですから。


 それでもそういう領主だからこそ、この村は和気あいあいと貧乏ながらやってこれているとも思います。




























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