第2話 この世界は・・・

 この世界に転生して一年経ちました。


 では初めに自己紹介から


 貧乏男爵家の嫡男として生まれた。名前を「レオナルド・フォン・カラド」といいます。家族や使用人からは愛称で「レオ」と呼ばれています。


 うちは祖父の代は騎士爵だったのですが、武勲を上げたことにより割譲された領地の一部を貰い、寄り親の居ない独立した男爵家になりました。


 そのせいもあってとても貧乏なのです。


 普通の男爵は寄り親から下げ渡された領地なので元々それなりに発展してるから、税収なども多く貧乏貴族ではないのです。


 家の領地は元は敵国の領地でしたし、元々発展していない辺境の村で、国境には有ったのですが、半分見捨てられていたというのが現実で、国境の砦からも離れていて、近くに森があったので木材の採取地として機能していただけの村でした。


 実際この国の辺境伯家は褒章として元の国境のとりで付近の領地を貰っていますが、武勲を上げた家にも何か報奨を上げなくてはいけないけど、国の騎士で寄り親もいなかったので、残りカスでもやっておけばいいと言う感じで渡されたみたいです。


 これは家の爺様が時々愚痴のように父に話してるのを聞いて分かったことです。


 いずれ俺も父からこの愚痴を聞かされるようになるのか……。


 嫌々、そんな事にはなりませんよ。俺には知識がありますから、領地を発展させて貧乏貴族から脱却しますよ。


 一年して解ったことは他にも沢山あります。まだ会話は出来ませんが、外に出れるようになったことで、領内を散歩がてら母やメイドが連れて行ってくれるようになったので色々解ってきました。


 家は貧乏貴族ですから、普通の貴族とは違いフレンドリーなので、村人とも普通に会話しますし、近所付き合いもしています。


 流石に領主の家に村人が来ることはないですけど、逆はあります。


 元は敵国の国民ですから、その辺はコミニュケーションをとらないと大変です。仲良くしないと領地経営すら出来ません。


 そのお陰で、大人が世間話などをしている間に文明の進み具合やこの世界の常識が解ってきました。


「レオナルド様って本当におとなしいですね」


 このセリフを村人から良く言われながら常識を学んでいった。


 解ったことは、ステータスは普通の人は見れないという事。教会で10歳で行われる祝福の儀式の時か、冒険者ギルドの鑑定盤で見るか、もしくは鑑定のスキル持ちに見てもらうかぐらいしか見れない。


 勿論、そのほとんどが有料で祝福の儀式の時だけ無料なので、ステータスを気にする職業の人以外は、殆どの人が人生で一度というのが常識です。


 では何故俺だけは見れるのか?


 その答えはステータスと言う言葉がないのです。


 この世界の人はステータスとは呼ばず、祝福と呼んでいるからステータスが現れないので見れないと思っている。


 人生で初めて見るのが教会の祝福の儀式というのもあり、その言葉が定着してしまったか、教会がそう仕向けたかのどちらかだと思います。


 お金が取れますからね。


 もう一つ解ったのが、この世界のスキルは祝福の儀式で得る1つ以外は後天的にとるもので、努力しないものが取れることはないということです。


 ただその取れる速さや数は個人で違うようで、才能や努力の量で違って来るようです。


 それの最たるものが魔法です。


 魔力は全ての人が量の違いはあっても持っているのですが、その使い方や魔法の仕組みを理解したりが出来ていないので、一部の人しか使えません。


 勿論、それは識字率や教育の関係もあります。だからこそ魔法が使えるのは貴族だったり、お金を持ってる人に限られるのです。


 この世界の魔法は5属性だと言われています。


 土、水、火、風、無この五属性です。本当はもっとあるのですが、知られていないだけなのです。


 それを何故知っているのかと言うと俺が試したからです。無以外の属性は解ると思うのですが、無は身体強化と治癒魔法だと思われています。


 本当は治癒魔法は別の属性なのですが、体に作用するものだから身体強化と同じ扱いの無になっています。これも意図的に誰かがそう仕向けてるのか、人々が認識していないから表示されないのか? そこはまだ解りません。


 この世界の文明は遅れています。中世にちょっと魔法の知識がある程度なのです。


 その魔法も属性魔法には攻撃魔法しか存在していません。防御魔法のウォール系がないのです。


 防御は盾しかないと思っているし、生活魔法も存在しません。本当にちぐはぐな世界です。


 これは魔力量にも関係してるみたいです。


 ウォール系のように持続させるのには魔力が多く必要なのと、攻撃魔法しか使えないので魔力を使い切ると言うのが殆どないのです。もし使い切れば昏倒してしまうから、攻撃魔法ですら戦闘に多くは使えない。


 魔法はそんな感じですが、鑑定盤があるので分かると思いますが、魔法陣は存在します。


 だから魔石を燃料にした魔道具は存在するのですが、ランプの燃料が魔石と言うだけで、火魔法の魔法陣です。


 魔石が小さいのでランプの火にしかならないだけなのです。魔法陣は火魔法の魔法陣ですから、魔石が大きかったらランプには使えません。火柱が上がってしまうので……。


 そう魔法陣はあるけどこれもどこかちぐはぐなんです。


 それに魔石の大きさは魔物の強さによって変わりますから、強い魔物の魔石なんて高価ですからランプの燃料にはしません。もし使ったらとんでもないことになるでしょうしね。


 本来なら、魔法陣の研究をして火力を抑えるか、光魔法の魔法陣か生活魔法の魔法陣があれば問題ないはずなんですが、この世界には光という概念がないんです。照明=火ですから。


 これに追い打ちをかけているのが、この世界の月が赤い事です。だから太陽も夜の星も燃えてるように思っているようです。月は太陽の光の反射で赤いという事を知らないから光という概念も生まれない。


 こんな世界なのに何故? 魔法陣は存在するのか?


 それは魔法を発動する時に魔法陣が浮かぶからです。


 スキルも発動系の場合は魔法陣が浮かびます。中には魔法でも身体強化の様なものは魔法陣が浮かびません。


 この辺がまだ研究が進んでいないので、この世界の人にはまだ解っていないようです。


 俺には何となく解っていますけどね。自分自身に掛ける魔法には魔法陣が出ないのだと。


 鑑定のスキル持ちが自分を鑑定した時に魔法陣が出ていないことに、気づいていれば分かると思うのですが、何故かまだ気づいていないようです。


 灯台下暗しと言うか、自分の事だからこそ気にしていないのでしょう。


 本来は属性魔法もスキルも魔法なのです。


 ですが魔力を消費しない魔法か、もしくは微量しか消費しないものがあるのをスキルと呼んでいる。これがこの世界の法則ではないかと俺は思っています。


 もし他人に身体強化を掛けるような支援魔法が存在していれば、身体強化も魔法陣が存在していることに気づくでしょうし、ステータスが見れていたら放出する魔法によって魔力の消費度合いが違う事にも気づいたでしょう。


 魔法がどのように始まったかは正確には分かりません?


 神話として文献があるだけです。その中に神から与えられたと出ています。


 俺がこの世界に前世の知識を持って転生したのには、何か意味があるのだろうと、この感じから予測できました。


 神には会っていませんが、文明の発展のための転生なんだろうなと成長するにつれて強く思うようになりました。



























































  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る