辺境地の転生貴族 領地改革から世界革命へ

まほろば

第1話 転生


 真っ白な空間、俺は何故ここに居る? 考えようとすると頭の中に霞が掛かったようになる。


 でもなぜか? 人間として生きていたと言う事だけはわかる。そして死んだと言うことも。


 どんな人生だったとか、名前などは思い出せない。ただ、知識だけはある、科学や文化などそういうものだけは思い出せる。


 何と言えばいいのか? ただただ冷静だ。人間の死については理解してるのに自分が死んだと言うのに、冷静に思考してる。


 暫くすると、目の前にパソコンの様な物が現れた。科学の知識はあるのでそれがどんなものか理解出来た。


 ディスプレイには転生の文字、その下には転生する先の世界の事が書いてあった。


 文化の知識があるから、ゲームやアニメ、ラノベなどの知識があるので、この状況に違和感はない。ただ良くある神様的な存在が出てこないのは疑問だが。


 ここまでくると、前世のラノベに出てくる転生物なのだと理解できる。俺もご多分に漏れずそういう転生をするんだろうと。


 ただ世界観や転生すると言う事だけは解ったのだが、良くある神様のお願いとか、目的は何も分からない。


 ステータスの設定とか、どんなスキルを貰えるとか、何も分からない?


 文章の最後に、色の違う「承諾」の文字だけがあるだけ。転生先でどんな人生が待っていのるかも、何をしなくてはいけないのかも、何も分からない?


「こんな世界だよ、転生するかい?」と聞かれているだけ。何とアバウトな、でも本来はそういうものなのかもしれない。


 するかしないかだけを選択させて、後はその人の生き方次第、そういうものが本来の転生なのだろう。


 今、俺に知識があるのはその判断をさせるためにあるのだろう。転生物? 違うな、ただの転生プロセスなんだと、ここにきて考えを変えた。


 だから、神様も出てこないし、お願いなどもないし転生特典などもない。


 転生しないとどうなるかは分からない。普通に考えれば俺の魂は消えるんだろうなということは予想できる。


 究極の二択、さてどうしようか? 死の認識はあるから、生か死かなんだよね、この選択。


 そう考えると、生しかないよね。どんな人生に成るかは分からいけど、人間として生きていたことと、科学や文化の知識があるから生を選ぶよな。


 ここまで来てやっと理解出来た。多分だけど転生の選択がない人もいるんじゃないかと。もしくは人間ではない物に転生するとか、輪廻転生の先は、行いによって変わる、そんな宗教観があったよな。


 天国と地獄だったり、人間以外になるとか、消えるとか。


 そうすると、俺は一応最低合格ラインにはあったんだろうな。転生を選べるし、世界観が解ると言うことは、人間には転生できると言う事なのだろう。


 迷うことないな、転生一択だ。世界観によれば、ラノベのような剣と魔法の世界。奴隷になるかもしれないけど人間ではあるのだから、苦しくても生きてみたい。


 必死に生きれば、次の輪廻転生では良くなるかもしれないから、今はそう決断しよう。


 人間でいたいから……。


「承諾」



 意識がはっきりしてきた。

 あれ? あれ? 何で~~~~~。

 俺がいる? 記憶が知識がある。??????????????????何で?

 輪廻転生どこ行った~~~~~~。


 目は良く見えないから、転生した赤ん坊なのだろう? 体も思うようには動かないからね。


 でも、何で生まれたばかりなのに、思考できる? 知識がある? そういう世界なのか?


 でも、転生前の世界観の説明にはそんなものなかった。これってもしかして、転生物なの?


 前世の知識で知識チートとか? 


 分からんことは調べるしかない。だけど今は生まれたばかりの赤ん坊、出来ることは限られているし、下手なことして俺が異常だと思われてもいけない。今は兎に角、赤ん坊らしくしながら情報を集めよう。



 あれから6か月がたった。ラノベで良くある母乳の羞恥心とかそういうのは何故かない。食事と言う認識になってるんだよね、俺の思考では?


 これは本当にありがたい。いくつまで生きたとかの認識はないんだけど、普通は羞恥心とかがあると思うんだけど、不思議な感覚だ。


 あれから解ったことは多くは無いけど少なくとも奴隷ではない。


 それどころか一応爵位は低いけど、貴族家に転生していた。そう男爵家なのだ。


 そして兄弟はいない、長男だと言う事。


 何故解ったのか?

 それは、そう、ラノベによくあるステータスですよ。


 名前やそういうものが出てるんですよ。他の人にもあるのかどうかは今現在は分からないけど、俺にはある。


 いや~~~ 初めて見た時は感動したね。前世ではそういうものは無かったからね。


 知識があることに気が付いてから暫くたってからだけど、ラノベの世界にはそういうのがあったなと思い出して、やってみたら出てきた。


 剣と魔法の世界と言うのは知ってたけど、世界にも色々あるだろうから、本当に気が付かなかったんだよね。


 赤ん坊と言うのもあって、本当に起きている時間の方が短いんだよ。


 だから色々思考する時間がないし、起きている時は殆ど母かメイドがいるから下手なことが出来なかったというのもある。


 それでも最近は部屋に一人でいることが多くなったので、出来ることをやり始めた。


 そう定番の魔力増幅、魔力を感じる事から初めて、動かす、集めるなどを兎に角、時間と赤ん坊の体力の許す限りやっている。


 本当に今現在は解ってる事の方が少ないんだよね、


 自分のことは少しは分かるけど、この世界の常識がどんなものか、俺と同じように皆ステータスが見れるのかとか、年齢で見れるようになるのかとか今は分からない。


 魔力の存在は知っているし、そういう世界だと言うのも知っているけど、他の皆がどういう事が出来るのとかは分からない。


 文明的にはラノベでよくある中世の様だけど、如何せんうちは貧乏貴族の様なので、本当の文明がどれくらいなのかはまだ分からない。


 魔道具がないんだよ家には、照明はランプなんだけど、それがこの世界の常識なのか、ただ貧乏だからもっていないのか?


 ただその状況から、多分だけど前世の記憶持ちという人は居なかった、もしくは居ないではないかと予想できた。


 だってあまりにも文明が遅れているからね。もしいたとしても、文明の進んだ世界の前世持ちが居なかったことは間違いない。


 だからこそ、話せるようになるか、歩けるようにならないと、解らないことだらけだが、本当にこの先が楽しみでもあり、不安でもあるのだ。


 知識を持って転生したのだから、何か意味があるのだろう、神様には会ってないけど……。




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 評価 まぁ読める   ☆

    まぁまぁ面白い ☆☆

    面白い     ☆☆☆


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