第203話 Only my love(3)

「でも。 もう部屋がめっちゃキタナイってタマちゃんも言ってたけど。 そんな男でええのん?」


ついでに聞いてみた。


すると怜子は笑って



「まあ・・最初に見た時は悪い夢みたいに思えましたけど。 泉川さんてすっごいおしゃれで車の中もすっごくキレイなんですよ。 でも・・部屋だけはもんのすごく汚くて。 呆れましたけど・・でも。 そこも人間らしいっていうか。 そうですね、けっこうだらしない人が好きかもしれない、というか。」



と言った。



「は~~~。 どこが幸いするかわからへんもんやなあ、」



「それに・・彼の飼っているネコちゃんがすっごくカワイイんです。」



「ああ、スーニャっていう。 よく写メ見せて自慢してるけど、」



「あたしもネコが大好きで。 あんな汚い部屋でいつもご主人様の帰りを待っているのかと思うと健気で。 たまにスーニャちゃんに会いたくなってしまうこともあって。」



怜子はうっとりするように言った。



「は・・ネコに?」



「昨日も。 何だかスーニャちゃんに会いたくて・・」



これは



いずみんに言わないようにしよう・・



南は心で思った。




ネコ目当てで彼の部屋を訪ねたなんて



とっても言えないし・・




でも、おもしろいからみんなには言おう・・



色んなことを考えてしまった。





でも



ほんまにうまくいったんやなあ。



スゴイな。



ほんま。



よう考えると。



いずみんの努力と情熱に拍手やな、ここは。



嬉しそうな怜子の顔を見て南も何だか嬉しくなってしまった。






怜子と正々堂々とつきあえるようになって浮かれっぱなしの泉川だったが



そんなに甘くはなかった。




とにかく彼女と約束しても5回に4回はポシャる。



わかっていても



やっぱり寂しい。



「あんまね。 前とかわらないんですよ。 ほんと。」



みんなで仕事終わりで飲みにやって来た泉川は思わずこぼした。



「でも。 彼女が忙しい人だってわかってたんだから。 その辺は理解してあげなくちゃ。 しかもお医者さんだもんいつ病院からお呼びがかかるかわからないんだよ?」



香織はいつものようにクールに彼をいさめた。



「そうなんだけど。 それに・・」



泉川は携帯のメールを開いて見せた、。



「彼女。 性格なんだろうけど。 メールも必要以上のこと書かないし。」




そこには



『わかりました。 明日から福岡に研修に行きます。 金曜日には帰ります。』



と、本当に用件だけが書かれていた。




みんなその携帯を興味津津に覗き込んだ。

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