第204話 Only my love(4)
「確かに。 女性にしては・・シンプルですよね、」
玉田は腕組みをして言った。
「で。 もう5日も・・メールも電話もないんだよ~~。 おれはマメにメールしたり電話したりして。 留守電も入れてるのに・・」
泉川は情けない声を出した。
「え、それほんまにつきあってんの?」
志藤はおもしろくなってからかってしまった。
泉川はキッと彼を睨みつけて
「おれの繊細なハートを傷つけないでください!」
と言い放った。
「別に・・忙しいからって感じなんだけど。 ほんっと寂しい・・」
「甘えん坊やなあ。 てゆーか。 ちょっとウザくない?」
南は言った。
「え? ウザいかな、おれ。」
自覚がなかった彼は焦った。
「気持ちが通じ合ったんだから。 贅沢言うなっつーの。 どんどん彼女に色んなこと望んじゃってるじゃん、」
香織の言葉にグサっときた。
「まあ。 おまえが彼女にできることはな。 なるったけ迷惑をかけないことちゃうの?」
志藤の言葉がさらに彼に突き刺さる。
まあ
そりゃそうなんだけどさ・・
こうして久しぶりに彼女が福岡から戻る翌日に約束ができた。
彼女が泉川のマンションまで来てくれるという。
土曜日、午後から仕事を上がって彼女が来るのを待った。
そうそう
掃除もちゃんとしておかなくちゃ。
汚くしてたらまた彼女が掃除をしたくなって、迷惑をかけちゃうし。
今日は一人で掃除を始めた。
約束の時間は3時だったが、怜子はなかなか病院を出られないようで
結局、来れたのは5時だった。
「ごめんなさい、遅くなっちゃって。」
「いいからいいから。 疲れてるのに来てくれるだけで嬉しいから・・」
そして
「コーヒーでも淹れるから。 待ってて。」
とキッチンから顔を出した。
「あ、いえ。 あたしが・・」
彼女は言ったが、
「いいから、いいから。 座ってて、」
無理やり彼女をソファに座らせた。
スーニャがすぐに彼女の膝の上に乗って来た。
「スーニャ。」
怜子はすぐに抱きあげて抱きしめた。
そんな彼女が微笑ましくてふっと笑った。
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