第201話 Only my love(1)

「えっ! なに? レイコ先生とうまくいったの!?」



香織も志藤も飛んできた。



「って。 なんですか・・盗み聞きして、」



泉川はムッとした。



「あんなにでっかい声で話してんだもん。 聞こえるに決まってんじゃない、」



「は~~~~。 しかし。 世の中に『奇跡』ってあるもんやな、」



志藤も感心した。



「ほんま。 ミラクルやな。 あたしもうレイコ先生が結婚してるって聞いた時点で無理やって思ってたもん、」



南の言うとおりだった。



「気持ちって・・伝わるものなんですね、」



玉田も感動してしまった。



「でもそっから全部の運命がおまえのために向いていったような感じやったもんな。 やっぱスゴいって、」



志藤の言葉に



「そうかあ・・やっぱり運命だったのかなあ。 彼女とは。 」



泉川は手で口を押さえて、これ以上だらしのない笑顔をこぼさないようにした。



「でも。 なんかあったの? 急にじゃない?」



香織は冷静に言った。



「そうやなあ。 まあ、レイコ先生が離婚して・・1年経って。 特に進展もなんもなかったのにな、」



南も腕組みをした。



「それは・・おれもよくわかんないけど。 でもさ、プロセスなんかどーでもいいじゃん! ゴールできたんだし!」



泉川はこの幸せの現実だけで、あとはどうでもいいようだった。



「ほんっと彼女、カワイイっていうか。 一目ぼれしてからずうううっとおれにとって印象がぜんっぜん変わらなかったし。 彼女のことを知れば知るほど逆に好きになっちゃったし。 こんな子、いるんだなあって・・しかも・・」




彼の『自慢』&『ノロケ』話は延々と続き、みなどっと疲れてしまった。




「コレ。 みなさんで休憩中にでもどうぞ。 ここのサブレ、めっちゃ美味しいから。」



南は怜子にお菓子の箱を差し出した。



「すみません。 ありがとうございます。 あとでナースステーションに持って行ってみんなに食べてもらいます、」



怜子は笑顔で受け取った。



色んなことが知りたくなった南は我慢できずに



怜子のいる病院を仕事の合間に訪ねてしまった。





昼休み中だったので病院の近くのカフェに行った。



「相変わらず忙しそうやなあ、」



南はアイスカフェオレをストローでかきまわしながら言った。



「まあ。 でも、さすがにもう慣れましたから、」



怜子はいつもと変わらず穏やかだった。



「ねえ・・。 いずみんとつきあうことにしたの?」



我慢できない彼女はいきなり本題に入った。


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