第197話 For keeps(17)
怜子はテキパキと掃除をして
きちんと床を拭き掃除までしてくれた。
そして
寝室の掃除に入っていくと、クローゼットが少しだけ開いていて気になった。
「ここは・・」
と、手を掛けたとたん
雪崩のようにさっき押し込んだAVの詰まったダンボールとエロ本が崩れ落ちてきた。
「は・・」
目がテンになっていると、泉川が慌ててやって来て
「わーっ!!! わーっ!!」
と、彼女を思わず抱きしめるようにそこから遠ざけた。
「もー! いいから! ここは!!」
そう言ってこの状況にハッとした。
怜子も戸惑うように彼を見上げた。
彼女の身体に
触れてしまった・・
そのまま固まってしまった。
彼女の肩に置いた手に少し力を入れたとき
怜子が床に散らばった『その』メディアたちに視線をやっていることに気づき、ハッとした。
慌ててそれらをしまいながら
「じ・・自分でやりますから! ほんっと・・」
情けない姿になってしまった。
怜子は少しポカンとしたあと、おかしくなって笑い出してしまった。
「そ、そんなに笑って・・」
顔が沸騰してくる。
「ご、ごめんなさい。 なんか、もう・・」
彼女がこんなに声をあげて笑っているところを見るのは初めてかもしれなかった。
動揺しつつも何だか嬉しくてつられて笑ってしまった。
「あ~~、キレイになったな~~。」
泉川は片付いた部屋にうっとりした。
「まあ、前よりはマシでしたけどね、」
怜子はゲージからスーニャを出してやりながら言った。
「あ、そうそう。 肝心なものを。」
彼女は持ってきた紙袋から色々取り出した。
「ホント。 何もないトコなんですけど。 とかちワインと、ウチが牛乳を入れて作ってもらってるチーズを。 小さいトコなんですけどすごく美味しいんです。」
「わ・・ありがとう。 こんなに。 嬉しいなァ、」
彼女からお土産をもらうだけで
もう嬉しかった。
「あと。 ウチのネコたちも使ってるんですけど。 これ、ネコ用のざぶとんみたいな。 前に友達が旭川にいてそこのペットショップで買ってきてくれて。 また帰ってくるっていうんでひとつ買ってきてもらったんです。 スーニャちゃんに、」
と、もうひとつの紙袋を差し出した。
「え、スーニャにも?」
「ええ。 どうかしら・・」
スーニャをその上に乗せてみた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます