第196話 For keeps(16)
・・じゃなくて!
どーする!これ!
泉川は電話を切った後、いつものように散らかり放題の部屋を見た。
そ、掃除!
とりあえず・・掃除だ!
慌てて着替えて掃除を始めた。
しかし
普段からきちんと掃除をしたことがないので、全く片付かない。
AVの山だけちゃんと片付けておかないと・・
おびただしい数のAVが詰まった段ボール箱を無理やりクローゼットに押し込んだ。
1時間ほどしてまた電話があった。
「もうすぐそちらに着きます。」
怜子だった。
「い、いや・・あの!」
もうどうしていいかわからずウロウロしてしまった。
彼女はクスっと笑って
「ひょっとして。 今、お掃除中ですか?」
まるで見えているのではないか、と思うほどだった。
「えっと・・まあ・・」
否定できずにいると
「じゃあ。 お掃除からお手伝いします。」
と、またも夢みたいなことを言われた。
「全然・・片付いてないみたいですね、」
怜子は部屋を見回して呆れた。
「や・・これでも一生懸命やったんだって! ほんとに!」
そこにスーニャがにゃーにゃーとかわいい声を出して怜子に擦り寄ってきた。
「スーニャちゃん。 久しぶり。 ちょっと大きくなったかな?」
怜子は嬉しそうに彼女を抱き上げた。
「もうほんと。 会いたくて・・。」
スーニャにほお擦りをする彼女に
は・・
スーニャに会いたかった? とか?
泉川は一気に脱力した。
確かに彼女がスーニャに会うのは、1年ぶりくらいだったけど。
「じゃあ、お掃除している間は。 ここで待っててね。」
怜子はスーニャをゲージに入れた。
そして持ってきた紙袋からエプロンを取り出した。
「え・・」
それに驚いていると
「まあだいたい。 こうなるんじゃないかと思っていましたから、」
怜子はクスっと笑った。
カーッと顔が赤くなっていくのがわかった。
彼女のエプロン姿があまりに
あまりに
かわいかったから・・
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