天国の記憶を失くした姫君

@Kenji327723

第1話

第一章 天国の記憶を失くした姫君


(1)


この国にはミレーユと言う記憶の特異能力を持つ王女がいました。ミレーユは多くの記憶を忘れられなくなってしまう病気の様な、元に戻すべき異常な記憶力を持つ王女です。

今までもこれからも記憶に悩まされて行くのでしょうか?


記憶ってどういう時に覚えてしまうんだろう?

特に最近悪い記憶も心に残るんだよなぁ。


「うーん。......悪い記憶でも覚えていたいのかな......もしかしたら1個1個記憶は消えているけれど......時間だけは進んでいるからなのかな?」


記憶が脳裡に焼き付いてしまった事情は心配していた親の王には知らされず、ミレーユは今までのお見合いで覚えていた様な記憶は全部何かしら意味のある記憶だったんだと思う事にしました。


あの方を好きになってしまったからだな、おそらく。容赦ないはねー、ここまで全く覚えていないのは初めてよ、神様。私はこの世界の利用者なのに!


神様を信仰してる親のお陰かな? その先には恐らく温かい事情があるのだろうと思えるのは。この愛からくるリスキーな感情は何だろう? 痛みの様な感情は隠し、その感情を『あたたかくなるかな......神様の技術は変な特技かもしれないけれど......。神様に失礼がなくなるならば、私には逆とも取れる体質と技能も伴っている事ですし、なるべく良い記憶でも悪い記憶でもあたためられたらいいな』と傷を誰にも悟られないように心の中で癒しながら。不思議と自分の残った記憶と消えた記憶が次の相手とのお見合いを好ましいと思える様になっていたから、神様に、そう思えることがありがたいんだろうなーと思えてもいました。


ミレーユは城でサダックという男と会った次の休日。サダックとお見合いした事は王宮の心理カウンセラーから培った技術で珍しく忘れさせていただいていたので、先日はすいませんと心理学の先生に謝りに行きました。


今回はお見合いではなく、とても好ましいと思っていた人の記憶がごっそり消えていましたから。でも、それだけ神様が仲裁に入らなければ行けない事態だったのですね。今回の事件は。


良い記憶だとも思ってたし、好ましい記憶だともいつからか思っていたのだけれど......仕方ないわ。

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