最後に、夢を見る[12月18日]

 夢は消しゴム。

 世界はノート。

 生きることは、記すこと。


 僕らはみんな、文房具なんだ。


 コンパスみたいに、ぐるぐる毎日同じ学校に行って、決まった場所に帰ってくる。

 それでも、どんな円を描くかは自分で決められる。


 誰もが定規のようにまっすぐ生きていたいと思っている。けれど、気がついたら誰かのノートを、ハサミで切り刻んでしまっている。

 そんな時は逃げないで、ごめんなさいって言うんだ。その後、一緒にセロハンテープで貼り直してあげよう。



 夢は消しゴム。

 世界はノート。

 生きることは、つづること。



 一度ノートに書いたことは、完全に消す事は出来ない。だから、書く時はとても。とても集中しなくちゃいけない。


 もし書くことに悩んだら、たまには自分のノートを見返してみるのもいい。もしかしたら恥ずかしい事が書いてあるかも知れない。自分で書いた走り書きが読めないこともあると思う。

 でも、自分が繰り返し書いている大切な言葉に必ず気付けるはず。



 夢は消しゴム。

 世界はノート。

 生きることは、失くすこと。



 僕は気づいてしまった。

 僕らはみんな、文房具。

 文房具は、いつか、壊れてしまう。

 どんなに大切にしていても、えんぴつは削らないと使えないし、消しゴムはどんどん小さくなってしまう。定規やコンパスだって、欠けたり折れたりする事もある。

 だからこそ、大切に使わなくちゃまたいけない。わざと折ったり、ちぎったりなんてしちゃいけないんだ。


 今日が最後のページかもしれない。消しゴムやえんぴつは、こーんなに小さくなってしまっているかもしれない。

 それはちょっぴり怖いけれども、誰かが僕のノートを読んだときに、笑って、泣いて、喜んでくれるかもしれない。

 そう思ったら、わくわくもする。


 さぁ。


 今日も精一杯、思い出を記したかい?

 今日も精一杯、物語をつづったかい?


 準備ができたなら、夢の世界に飛び立とう。今日を頑張ったご褒美に、時間があっという間に過ぎてっちゃうように感じる、とっても楽しいお話をしてあげる。

 君に必要なさそうな事は忘れちゃうくらい、とっておきのお話を。

 

 夢は消しゴム。

 世界はノート。

 生きることは辞めないこと。

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