第2話 叶わぬ恋と人間愛

年下の彼との恋愛で悩んでいた私は、毎日が本当に辛かった。


別れていないけど、連絡はほとんど取れない。

ハッキリしない状態が半年くらい続いただろうか?


最終的に彼に言われたのは、『思っていた人と違ったから…』だった。

他に好きな人が出来た!とでも言われると思っていた。彼の言葉はすごく胸に刺さった。


『すぐ結婚したい、スキだ~!』といつも言っていた彼。

もっと早く振ってくれれば良かったのに…

時々くる連絡に一抹の望みをもった自分がバカだった。


思ってた人と違った‥って、私がダメだったって事?

何が?何を?どうしたら良かったのか??

考えても答えが出なくて、頭がおかしくなりそうだった。

自分なりの答えを探して、なんとかしようと思った。


彼は営業マンで、会社に来るのは不定期、週に2回だけある朝会には出勤してくる。


彼を会社で見かける度に苦しかったし、見かけた後は動揺して仕事も手につかなかくなって『顔色悪いけど大丈夫?』と同僚や先輩に声かけられる始末。

それでも必死だった。

仕事は辞められない(迷惑かけれない)、もう一度良かった頃に戻りたい!私が頑張ったら、彼もきっと分かってくれるし、今度こそうまくやれる!そう思っていた。


彼の態度が冷たい日や、職場の女性達と楽しそうに話している時、女性絡みの噂話を耳にしても、彼の前では平気なふりをして、すれちがえば笑顔で元気に挨拶。

彼は私の笑顔が一番好きだと言ってくれてたので、笑顔で挨拶しようと決めていた。


彼が出勤する日は、いつもより気合いを入れて身だしなみを整えて。


朝会じゃない日に出勤してきたり、私が定時で帰る時にバッタリ遭遇したりすると動揺して、ドキドキ。。。


ちゃんと笑えてたかな?挨拶変じゃなかったかな?メイクや服装おかしくなかったかな?


時には、この後メールしたら返信くれるかも…してみようかな?どんな文章、どんな絵文字が良いかな?と考えたり、今日は元気なさそうだった。大丈夫かな?と心配したり。

勝手にアレコレ想像していた。

頭の中は彼一色。


彼に気に入られるであろう事をして、彼の気を引きたくて仕方なかった。


そんな私の思いを知ってか知らずか?彼は思わせ振りな言動を取る。

あっ、メールがきた!

今日は話かけられた!

うきうきルンルン♪そんな気分は長く続かず、次会うと目も合わせてもらえなかったり、避けられる様な態度を取られたり。。


自分が振り回されている事にも気づかず、彼の言動に一喜一憂~私なにかいけない事しちゃったかな?と自分の言動に思いを巡らせる。

あっ、あれが良くなかったかも…と思える時は良かったが(当たってるかは不明)、答えが見つからない時は、気持ちはどん底のまま、永遠に考え続けた。


そんな生活を1年近く、限界だった。

どれだけ頑張っても掴めそうで掴めない。

戻れそうで戻れない…。

なんで?どうして?どうしたら良いの??

苦しいよぉ。。。

頭の中は、良かった頃の映像が繰り返し流れる。


彼は、気分屋だったのだ。

私が悪かった訳じゃない。

彼は戻る気もなかったが、嫌われたくもなかったんだと思う。


そんな時に親しくなったのが1人の先輩だった。

10歳位上の既婚者の男性で、社歴は10年位。

私は勤続3年目位だったので、色々と会社の事も教えてくれた。


勉強家で賢い人だけど、威張ってなくて、いつも明るくご機嫌~誰にでも優しいジェントルマン。


マラソンとお酒が趣味で、マラソンに関してはストイックに走っていて、大会に出たりもしていた。


時々電話をくれて、たわいもない話(今日の夕飯のおかずは?味噌汁の具は何が好き?)で盛り上がった。


話の引き出しも多いし、先輩と話している時は素の自分でいられた。

彼の事も忘れて、ただただ先輩の話に笑ってられた。本当に楽しかった。


ある時、『恋人はいないの?』と先輩に聞かれ、『いたけど、うまくいかなくなった。会社行くのが辛い』と話すと、『旅に出ておいで!』と言って、オススメスポットを教えてくれた。


そして、『感情をぶつけられる対象がいるだけ幸せだよ!僕なんて、結婚して10年近く経つけど、子供が出来ない。

不妊治療を何年もしていて、お金だけどんどん消えていく。授かった事もあったけど流産。。。ひどく取り乱してわめく妻を慰め支え、自分は泣く事も出来なかったし、辛いとか不妊治療やめたい!とも言えないまま続けている。出口は見えないし、どこに気持ちをぶつけたら良いかも分からない。感情の対象~相手がいるだけ羨ましいよ』と。


私の今の状況が幸せ?とビックリはしたけれど、それでも先輩の辛さや頑張りが痛いほど伝わってきて、心が少し救われた。

(辛いと言えるだけ幸せかもしれない)


そして私は旅に出た。いざ箱根へ~


旅行なんて何年ぶりだろう?

旅の途中も彼との事たくさん思い出したけれど、きれいな景色を眺めながらの移動や、お土産屋さんを覗いたり、美味しい物を食べたり~グレードアップしていたホテルも充実していて、とてもゆっくりできた。


旅から戻ってきた私は、元気になっていた。

無理して笑顔を作るのではなく、自然と笑える様になっていた。


それから数年経って、先輩に子供が出来た。

待望の第一子、女の子!


先輩、おめでとう!そして、あの時はありがとうございました☆☆

沢山の想いを受けて生まれた命~すくすく元気に育ちます様に☆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

年下の恋人 @kazusajasmine

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ