第9話

私は夢の精霊、マルナ。

私の「お役目」はみんなに幸せな初夢を見せてあげること。


そのためにはとっても大事な枕を使う必要があるの。

その枕にいっぱい祈りを込めて、私がその枕で眠りながらお祈りすることで、みんなが最高に楽しい夢を見ることができるの。

だからあの枕は本当に大切なものだった。


だけど、あの日の一件で私はその大事な枕を失くしてしまった。

とても悲しいけど、思い出してもしょうがない。


そう思ってたんだけどね。

あの日、神社で聞こえた不思議な声。

あの声の人がね、さっき私の枕を届けてくれたみたいなんだよ。

私の部屋の前に、お手紙と枕が置かれていたんだ。


その手紙にはこんなことが書かれていた。


「私はもともと、次の年を連れてくる精霊でした。しかし、二年前の大晦日に私はそのお役目を果たしませんでした。理由は色々ありますが、私は呪縛精霊だったので、お役目を終えると毎年封印されてしまう運命だったのです。それが嫌でお役目をサボった結果、永遠の孤独を突きつけられ、禁忌を犯し、自ら消失する道をえらびました。私は生涯孤独だと思っていましたが、あの日あなたに声を聞いてもらうことが出来ました。それが私はとても嬉しかったんです。どれだけ先になるかは分かりません。でも、もしも私が再び元の姿を取り戻すことが出来たなら、私とお友達になってください。それでは、またいつか、必ず会いましょう」


そういうことだったんだね。

私は今まで謎の精霊さんについて色々調べてきたけれど、何も分かっていなかったみたい。

でも、私は謎の精霊さんとお友達になれたってことだよね?

だったらいっぱい聞いてみたいことがあるなぁ!

あ、でも、会ったときにがっかりされちゃ嫌だから、私もお役目の練習しないとね!


2022年の初夢、あなたにはいつもよりドキドキで素敵な夢をプレゼントするね♡

なんたって私にはこの枕があるんだからっ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

大晦日 2 飛鳥 未知琉 @kurikinton_v

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ