第6話
二年前、一人の精霊が消えてしまった一件は、精霊界でかなり取り沙汰される事件となった。
というのも、その精霊はかなり謎が多い精霊で、「お役目」が次の年を呼ぶことだということしか情報がないといった具合なのだ。
当時、見習いの身だった私は、その事件の日もいつも通り精霊界の図書館で本を読んでいた。
「呪縛精霊」
確かこのようなタイトルの本だったと思う。
内容は、ざっくり説明すると、何者かによって強力な呪いがかけられた精霊がいること。そしてその呪いに逆らおうとすると、何かしらの罰が与えられるということ。
そんなことが書かれていた。
当時の私は、この話は全部作り話だと思ってひとつも信じてはいなかった。
内容があまりにも現実離れしているし、普通にちょっと怖かったからだ。
だけど、ある時、私の先生に呪縛精霊のことについて訊いてみたことがきっかけで、その考えは瞬く間に変わりゆくこととなった。
「呪縛精霊は実際に存在する」
先生は自信ありげにそう言ったのだ。
そんなことは全く信じていなかった私は、その瞬間、ほんの一瞬背筋が凍ったかのような感覚を覚えた。
そして、先生のその話とちょうど時を同じくして、私は例の精霊が消えてしまった事件に興味を持つようになった。
興味を持った理由は、消えた精霊が非常に謎の多い存在であったため、その精霊について調べれば何か面白い発見があるかもしれない、と思ったからだ。
そして私はある写真に出会った。
山の中に佇む謎の神社と紫色の気配を纏う謎の存在が写った写真だ。
その写真を見せてくれた精霊は、私にこの言葉を伝えた。
「この写真の場所には行ってはいけない」
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