第4話


私はずいぶん長いこと山にいたらしい。

もう日が暮れかかっている。


そろそろ枕にお祈りをして、「お役目」に取り掛からなくちゃ。

えっと、枕は…っと。あれれ?

ない!!枕が、私の大事な枕がないじゃん!

あれがないと「お役目」が上手くいかないのに、ど、どどどうしよう…。

そうだ、どこまで枕を持っていたか思い出してみよう。

えーーーっと。


まずは朝だね。

朝はちゃんとお話しながら用意して枕もちゃーんと持ってたね。

じゃあ、お蕎麦屋さん!

じゃないよね。

ごちそうさま。って言った時にはもう脇腹に枕を抱えていたもんね。


ってことは、まさか……。

あの、虎のいた山に落としてきちゃったのかな…?


大変なことになってしまった。

あんな禍々しい山に日暮れから登るなんて怖いよ〜。

でも、あれは本当に大事な枕だから、絶対に取り戻しにいかないと。


ああ、でも怖いなあ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る