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実は、「5」までの文章は、クリスマスと年末年始の2大繁忙期の狭間に書いていたもので、ここからが現在、リアルタイムで書いているものになる。
なぜ公開が遅れているのかというと、年末年始の華やいだ時期に読んでいただきたいようなものではなかったからだ。
そもそもこんな鬱々とした文章を公開するのもどうなんだと、躊躇ってもいた。
もう自分の中にため込むのが辛くなり、公開に踏み切ったのがつい数日前のことだった。
そして、話は戻って先日。
上司から異動の知らせを聞かされた。
現在働いている工場で使う材料を作っている、小さな工場への異動だ。
急展開すぎて、自分のことなのに他人事のような気がしてならない。
まずは小さな規模の工場で運営を学んでほしい。
そして、責任者として長く働いてくれる人材になってほしい。
そのようなことを言われた。
わたしは中途採用の3年目、まだ役職のない平社員だ。
恐らく、そのうち役職を与えるからね、という意味で間違いないと思う。
わたしが求めているのとは真逆の働き方を、上司は期待しているみたいだ。
4月に異動して、5月までには引き継ぎを終え、6月からは新体制で回していく。
そこまで計画が進んでいるらしい。
工場の隅っこで、ただの立ち話のように告げられ、わたしは上司と目を合わせることができなかった。
お正月の忙しさも過ぎ去り、そろそろ退職を申し出ようとタイミングをはかっていたのに。
まさかの先手を打たれてしまった。
選択肢はたった2つ。
今すぐ退職を申し出て、異動前に辞めるか。
それとも、とりあえず異動先で働いてみるか。
後者を選んだ場合、少なくともあと1年は続けざるを得なくなるだろう。
引き継いですぐ辞める訳にはいかないし、お菓子屋さんのクリスマス商戦は夏からはじまると言っても過言ではない。
そうなると、いくら辛くてもまた来年の正月明けまでは頑張らないといけなくなる。
さらに心配なのは、1年後、より辞めにくい立場になっているのではないかということだ。
そのままずるずると働き続ける未来が目に浮かぶ。
ただ、異動のメリットもないわけではない。
まず、苦手な先輩と離れられること。
それから、嫌で仕方ない会議の運営をしなくて済むようになること。
複雑で責任の重い発注からも外れられること。
大人数が苦手なのだが、異動先は少人数であること。
今持っている嫌な仕事、ストレス源から一気に解放されるのだ。
もちろん、向こうには向こうの大変な仕事はあるだろうけど、それはやってみないと分からない。
だけど、これだけの肩の荷が降りたら、あと1年くらいは続けられそうな気がしてくる。
もちろん、役職はいらないし、工場長のサポートくらいで許されるのであれば、だけど。
人生最大の岐路ってこれのことだな、とはっきりと分かる。
わたしは本当にどうすればいいんだろう。
3月で辞めるとしたら、今月中には申し出ておかないとまずいから、悩んでいられる時間はそれほどない。
たった半月で、1年後のことまで考えて最善策を選ばなければならないなんて、無理がある。
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