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 派遣さんになれば、仕事とプライベートをきっちり分けられるだろう。

 そうすれば、副業にだって手を出せるかもしれない。

 電子書籍やオンデマンド印刷の書籍作成は前からやってみたいと思っていた。

 趣味のハンドメイドで小物を作って売ったりもしてみたい。


 ただ、今は仕事だけでいっぱいいっぱいで、ほとんど何もできていない。

 カクヨムで連載する分の小説を書いて、自分が使うものを作るのだけで精いっぱい。

 もし時間があって、心にも余裕が生まれたら、こんなことができるようになるのだろうか。

 もともと、楽な方へ行きたがる性格だから、時間ができたらその分睡眠にあててしまうかもしれないが……。


 いや、書きたいもの、作りたいものはたくさん頭の中にある。

 本当はこんな独り言じゃなくて、小説を書きたい。

 頭の中の景色や、キャラクターたちの感情にぴったりとはまる言葉を見つけたときの楽しさや嬉しさを味わいたい。

 誰かの心を揺さぶるようなストーリーを作りたい。

 わたしは仕事のために生きたい訳じゃない。

 好きなことをしたいから、仕事をして稼いでいるのだ。


 派遣社員として無理なく働きながら、副業をはじめてみる。

 その副業が軌道に乗ったら嬉しいし、乗らなくても趣味の延長として単純に楽しめれば儲けものだと思えばいい。


 ただ、いつまでも派遣社員でいたいとは思っていない。

 わたしの最終的な夢は、小さなカフェを開くことだ。

 ……あれだけサービス業はいやだと言っておいて矛盾してると思われるかもしれないし、自分でもちょっと思ってるが、これがわたしの夢なのだ。

 日々の仕事を終わらせるために働くのではなく、本当に自分が自信を持てるもの、食べてもらいたいものを作りたい。

 日替わりのケーキと、パスタとオムライス。おいしいコーヒーを使ったラテアート……は、これから練習するつもりだ。

 ひとりで回せるように、席数は少なく。店員であるわたしの存在は極力感じさせず、落ち着いて過ごせる空間にしたい。


 それから、ドッグランならぬ、ラビットランを併設して、うさぎもいっしょに来られるようにもしたい。

 もちろん、自分のうさぎに安全で広々としたところで遊んでほしい、という願望もある。

 それから、多頭飼育崩壊や、手放されて里子に出されたうさぎを保護して、さいごまでお世話して可愛がりたい。

 大きすぎるうさぎ、フレミッシュジャイアントも飼ってみたい。


 そんな、贅沢すぎる夢。

 仕事は夢を叶えるための資金集めでしかない。

 だったら、ラテアートの練習もできないくらい無気力になってしまう正社員より、自己研鑽に励む余裕があるかもしれない派遣社員になってみるのも、選択肢としてありなのではないか。

 そう考えはじめていた矢先。

 4月からの異動が決まったことを知らされた。

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