第7話 ゴ治郎無双
「ゴ治郎、なんだかデカくなったな」
初ダンジョンアタックの翌朝、召喚したゴ治郎は力瘤をつくって筋肉をアピールしている。
「魔石を食べると強くなるのか?」
「ギッ!」
ゴ治郎はコクコクと頷き、俺の考えを肯定する。
「これ、食べるか?」
シャベルの犠牲になったゴブリン達の魔石を机の上に転がすと、ゴ治郎は飛び掛かるようにして確保し、次々と口に入れて噛み砕く。
「美味いのか?」
「グギャッググ」
「食べてからでいいぞ」
ゴ治郎は魔石を口に入れたまま返事をする。健気なものだ。
「今日は俺もしっかり準備したからな。腹減りでダンジョンアタック終了なんてことはないぞ」
コンビニで買ってきたオニギリやパン、スナック菓子がエコバッグ一杯に詰まっている。
「とことんやる。ゴ治郎もそのつもりでな」
「ギギギッ!」
よし! ダンジョンアタック2日目だ。
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パワーアップしたゴ治郎にとって、最早ゴブリンは相手ではなかった。まさに鎧袖一触といった感じで、同じモンスターとは思えないぐらい差がある。
昨日引き返した辺りまであっという間に到達したが、ゴ治郎も俺もまだ全然余裕だ。ただし、おにぎりを2つ頂いたがな。
しかし、ダンジョンというのは不可解な存在だ。シャベルで掘り返しても翌日には元通りになっているし、モンスターも復活している。そして何より、どこまで続いているのかが気になる。
「よし、ゴ治郎! 今日の目的はとにかく先へ進むことだ! 雑魚は無視してどんどん進むぞ!」
「ギギッ!」
これまでは見つけたゴブリンを全て平らげていたが、方針を変更だ。躱せる敵は全て躱していい。もしかしたら、ダンジョンには階層の概念があるかもしれない。その場合、今の第1階層よりも第2階層の敵の方が強い筈。先へ進むことで、より効率よくゴ治郎を成長させることが出来るかもしれない。
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「グギャー!」
「ゲギョー!」
ゴブリンの悲鳴が連なる。奥に進むにつれて敵影が濃くなり、必ず2体以上で現れるようになった。龍の剣を横薙ぎにして対処しているが、随分進みがゆっくりになっている。
「ゴ治郎、行けるか?」
「ギギギッ!」
まだ余裕があるようだ。一方の俺は最後のパンに手を出してしまった。後はスナック菓子だけ。もうすぐ夕食の時間だが、それまで保つか?腹を触ると朝より凹んでいる気がする。
「ギギギ?」
ゴ治郎がある部屋を覗き込んで声を上げた。今まで見たことのないものらしい。共有した視界に入っているものは光り輝く石柱。これは、いよいよ来たか!
「よし、ゴ治郎! その石に触れるんだ!」
「ギギギギッ!」
視界が暗転した。
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