第6話 時橋 夜光⑥
それから俺は夕華から生活費を援助してもらいながら、ネットカフェで寝泊まりするようになった。
金額も高校生がもらう小遣いとは思えないほど高額だったので、あの時の男から薬物を買うこともできた。
案の定薬が切れると、一気にネガティブになり、薬物に対する依存症が強く発症する。
ほかにも体調に異変も感じるが、俺にとっては過去の苦しみを忘れさせてくれるだけで十分だった。
だが、人間はほしいものが手に入ると、また別のものがほしくなる貪欲な生き物だ。
俺も例外には漏れず、薬物以外に酒やパチンコで溺れ、一時的に得られる快楽で過去の苦しみを消し去り、薄っぺらい幸福感で現実から目をそらしていた。
そして、俺が最もはまった快楽は・・・女だ。
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「夕華・・・本当にいいのか?」
「うん・・・お兄ちゃんになら・・・いいよ?」
思春期真っ盛りの俺は、女の味を知りたくて夕華をホテルに誘って一夜を共にした。
愛ゆえになんて微笑ましい理由なんかない。
手ごろにヤレそうなだと思って選んだだけだ。
あいつにとっては好きな人に大切なものを捧げる大切な夜だろうが、その時の俺にはどうでもいいことだった。
「(はぁ・・・これが女の味か・・・)」
女にはまった俺は、たびたび夕華の体を性欲のはけ口にするようなった。
向こうも愛してもらっているんだと思っているんだろう、俺が誘えば喜んで体を提供してくれた。
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働かなくても手に入る金、毎日飲める酒、いつでも抱けるいい女。
男にとっては夢みたいな暮らしだろう。
そして、心にわずかばかりの余裕が出てきた俺にある思いが浮かび上がった。
「あいつらを苦しめてやりたい・・・」
俺を苦しめ続け、屈辱を与えたリョウと取り巻き共。
俺を信じようとせず、裏切った深夜と朝日と昼奈。
出まかせを言って俺をハメやがったリカ。
俺の話を聞こうともしなかった高橋。
「俺をこんな目に合わせたあいつらも苦しむべきだ・・・」
俺は行動に出ることにした。
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