3話 甘々♡リリーチャンネル
放課後、演劇部の部室内。
『みなさんこんにちはー、リリーです♡
今日も来てくれたみんなに、甘々ハートあげちゃうね☆』
部室にいるのがまだ私だけだったので、
イヤホンを付けて、さっき教えてもらった天莉のチャンネルの動画を再生してみたのだけど…
「何これ。」
見て最初に出てきた正直な感想が…これだった。
最新のライブ配信アーカイーブ、
再生時間10秒。
いや、まだ挨拶だけで判断するのは早いか。
動画配信するときって、みんな独特な挨拶使うし
ここから先の内容はいいかもしれないし。
そう思って、その先の動画も再生してみた。
『今日は定期配信の日だから、みんなのリクエストに答えてセリフ言ってくよ〜』
なるほど、声優志望らしいLIVE配信だ。
キャラになりきってお題に答えていくことで、スキルをあげようってわけか。
それにしても…
チャットコメントの履歴も動画再生と同時に流れてるから見てるけど…
結構リクエストされてるコメント際どいもの多いなぁ…
年齢書いてるから未成年ってわかってるはずなのに、よくこんな言葉リクエストできるよね。
本人もノリノリでやってるし…。
すごい世界だ。
しばらく動画を見ていると、
後ろから誰かに肩をポンと叩かれる。
動画に夢中になっていた私が振り向くと、そこには演劇部のメンバー二人がいた。
「真由美ー何見てるの?」
「VTuber?珍しいもの見てるね〜」
「
二人は私の肩越しに、スマホ画面を覗き込む。
そして、そこそこ大きめのボリュームで動画を聴いていたので、
何を喋ってるか音も聞こえたのだろう。
「何それ、VTuber?」
「どうしたどうした、珍しい。もしかしてこういうの興味あるの?」
普段私が見るジャンルじゃない動画を、真剣に見ていた様子を見て驚く二人。
しかも丁度際どいワードを言ってるシーンだったので、引かれてしまった。
慌てて私は代弁をする。
「ち…違うよ!そういうんじゃなくって!
これ、天莉のチャンネルなの、見てみてねって言われて…」
「え!?あの子VTuberやってるの?」
実咲は目を丸くして驚く。
天莉のことは、クラスメイトじゃないこの二人も知っていた。
というのも以前、天莉も演劇部に所属していた時期があったからだ。
まぁ、入学して一ヶ月くらいの話で、なんで辞めたのかは知らないけど…。
「演劇だって続かなかったのに、VTuberなんて続けていけるの?」
「一応3ヶ月は続いてるみたい、もう50万人登録者突破したって」
「うそっ!すごっ!
高校生にして億万長者じゃん!」
まぁ、そこまで稼げてるかどうかはわかんないけど…
でも確かに、それだけの登録者がいれば再生回数回って広告収入は結構入ってそう。
まぁ、本人曰くそのお金は遊びには使わず、専門学校いくための資金で貯めるらしいけど。
「部活はあっさりやめちゃったから、
てっきり苦しいことがあれば逃げる程度の夢かと思ってた…」
「声優になりたい気持ちは本当っぽいよ。
VTuber始めたのも親に才能ある事証明したいからだって、
目標は登録者数100万人目指してるって言ってたし。」
「ふーん…そんなにうまくいくかね…」
私たちはもう一度スマホ画面に視線を移す。
今度は二人も音声を聴きたいということで、
イヤホンを外し、音量を小さくしてからスピーカーにした。
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