貨幣を数える。第四話

 足早き大江は天を仰ぎながらこう叫ぶ。


「俺は溜まっている!」


合唱コロス。おお、哀れな足早き大江の彼は右手すら恋人ではないのだ。


 狡知に長けた川端は


「汝は床オナラーだな、なんとも哀れな。ここでは溜まるばかりだ」


 嘆き悲しむ大江に語り書ける。


「おお、川端!なぜ私が床オナラーであると解ったのだ?」


 大江がそう問いかけると諧謔の三島が


「人は皆、役者さ。舞台に上がり踊り語り演じる。貴殿もまた、踊り語り演じたのだ」


 話って入ってくる。


合唱コロス。なんたる不明!諧謔の三島は全てをあぞ笑う。


 狡知に長けた川端は大きくてを振り


「なんたる悪ふざけ、そのようなものに真理は解らずまい」


 諧謔の三島を睨み付ける


「真理と何か?の問いは笑い飛ばせ」


 諧謔の三島は踊る精霊のごとく軽やかにステップを刻む。


「真理とは真剣に挑むものだ!」


 ついに燃え盛る剣の如く激しい怒りを狡知に長けた川端は発露する。


「そう怒るな、古びた死人よ君は何もかもを取り違えている。王と奴隷とて赤子なら区別はつくまい」


 諧謔の三島は腹を抱えて笑う。


「おお、そんな虚言の張り合いはやめてくれ!私はただ目の前の欲望に取りつかれた哀れな奴隷なのだ、かのものはむち打つ冷酷無慈悲な主人であり、私は哀れな奴隷なのだ」


 足早き大江は激しく胸を打つ


「ならば我らが主人。脚本家を見つけ出そう、それが彼の客人としての礼儀だ」


 諧謔の三島がそう言うと。


「ならば真理のパピルス、『貨幣を数える 三話を読もう』」


 皆、首をたてに降った。

 


 


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