第184話
「ERIBOMERIBOMERIBOMERIBOMERIBOMERIBOMERIBOMERIBOM……」
潮田の声に合わせて、サンキャッチャーが揺れる。くるくる回る。
ERIBOM、ERIBOM。
えりぼむはモバイルで、モバイルは携帯電話のはずだろう?
シャラシャラシャラシャラ、ガラス細工が擦れあって騒ぐ。潮田が声もなくげたげた笑っているのを見ると、意味がないはずがないと思う。
しかし見当違いなんだ。モバイルじゃないなら一体なんなんだ。
「南由、こっちへ……」と南由に手を伸ばした。「南由がいらないなんて、誤解だよ。南由を怨霊達から解放してやろうと思っただけなんだ」
「こーた! うらぎったね?!」
たまは、顎を引いて目で見上げるようにして睨む。ぎょろりと上向いた黒目が、瞼の下に半分隠れて、白目の面積が異様に広い。体の脇に垂らした握りこぶしが、怒りで震えている。
「こーた、嘘ついた。約束やぶった」
「約束なんかしてない」
「うるさい。こーたのウソつき……」
たまはゆっくりと腕を持ち上げた。そして手の平を俺に向け、ゆっくりと指を曲げていく。よほど力を入れているらしく、筋が肌から浮き出ている。
頭が痛む。今までの頭痛など、ただの戯れに思える程の痛みが襲う。脳にたまの指が食い込んでいる感触がある。やわらかな、皮を剥いたみかんが握りつぶされていくように、ぐにゃりとひしゃげていく……。
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