第175話
だけど南由、自分では気が付いていないと思うけど、君の瞳は光を失ってる。もうずっと。ただの
君はもう、一年前に。
「死……」死んでいるんだよ、と告げようと口を開いた時、「ポン」と手の中の携帯電話に着信のアラートが鳴った。
まさか。もうずっと、充電も切れたままのはずなのに。携帯電話をのぞくと、赤い通知のランプが光っている。南由が嬉しそうに笑った。
「やっぱり! 紘くんたら、冗談ばっかり。ほら、メッセージ入れてくれているじゃない」
南由は嬉しそうに笑った。俺の手の中の携帯電話を嬉しそうに操作する。しかしよく見ると、南由の手は透け、携帯電話自体にも手は触れていない。それなのに指の動きに合わせて画面は移り変わり、メッセージアプリの画面が開いた。
「ね? 紘くん、いっぱい、メッセージ送ってくれているじゃない」
「あ……」
いつの間にか、携帯電話が俺の手から南由の手の中に移動していた。南由の指が携帯電話の画面の一センチ上をすべるように動く。表示されているメッセージが、南由の指に合わせて次々に流れていく。
「南由、元気か? 南由に会えなくてさみしい。でも仕事に行かないと、南由に心配かけちゃうだろ? だからがんばってくるよ。じゃあ、また」
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