第154話
南由の手をキュッと握る。こんなことでいいのなら、いくらでもするのに。
たまが繋いだ手をぶんぶんとゆさぶる。たまは五、六歳くらいに見える。ジェットコースターは十歳、または百三十センチから乗れると書いてあるから、生きていたら、ジェットコースターには乗れない。
もっと言えば、九枝不動産の女社長の話を信じるなら、「たま」はまだ生まれてもいなかったはずだ。たまの精神はきっと、生まれる前の、生への期待、希望しかないんだ。生きることの大変さも辛さも知らない、純粋なあこがれ……。
可哀そうだと同情する気持ちもある。しかし無邪気な欲望からとはいえ、たまとおかーさんは、潮田を憑り殺したのだし永里を傷つけたのだ。そして南由を欲しがっている。
そうだ、たまが幼い子供なのだとしたら、ジェットコースターで目を回したりしないのだろうか。もしも……もしもたまが目を回したら、逃げ出せるだろうか。解放されるだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます