第127話
数日後、一人で九枝不動産屋を訪ねた。幸いその時には、ストローのような体の息子はいなかった。
そのせいか、女社長は永里と一緒に行った時よりもおしゃべりだった。しかしそれでも、マンションの件を尋ねると、「あのマンションは事故物件なんかじゃないの。ただ……、」と言葉を濁した。
事故物件ではないという証拠に、と、「本当はこんなこと、言わないんだけど」と前置きしながら、歴代の住人があの部屋に何年住んでいたか、ということと、退去の理由を教えてくれたのだった。
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