第85話
「私の友達、あの息子さんの方にマンションの見学をさせてもらったみたいです。男の人が案内してくれたって言っていたし。」
三浦はポテトにケチャップを付けて口に運び、ビールを飲んだ。幽霊に興味はない、と言っていたが、本当は人一倍怖がっているから、話を聞きたくなかったのだろう。葬儀会場で会ったばかりの人物の話は、気楽に聞けるらしく、ウンウン、と首を縦に振りながら聞いている。
「あの息子が遊んでばっかりだから、やる気を出させるために、契約が決まったらその都度ボーナス出すらしいよ」
「そうなんだ……。友達も、契約した後、なんだか上手いこと丸め込まれたような感じがするって言ってました」
「そのお友達、部屋の事で、何か言ってた?」
「うーん。実は、ストーカーに合っていたのは私じゃないんですよ」と、気が付けば永里が店長と話し込み、俺と三浦が聞く、という構図になっていた。
「じゃあ、もしかして、そのお友達が?」
「はい。それで、誰かに見られているような気がするって。でもそれはたぶん……」と永里が口ごもる。
「潮田君、ね。彼がやったことな訳だ」
「だと思っていたんですけど、違ったんですかね?」
「うーん、どうだろうね。普通に考えたら、潮田君なんだと思うよ。ただ、あのマンションにコレが出るっていうのは、近所じゃ有名な話なのよ」と、店長はまたさっきと同じように、手を胸の前で揺らしながら言った。
「それで、出るってどういう風に出るんですか?」と、話が核心に近づき、自然に四人の頭が寄ってくる。
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