第27話 4

 「ええと」と、俺は手に持ったスマートフォンを開いて、二階堂にかいどう永里えりと待ち合わせた店の名前を確認した。

 スミレ珈琲店。飲み会の参加者について聞かせて欲しい、と連絡をしたら、二階堂永里の方から提案された店だ。二十代の女性が指定する店にしては、少し古臭い名前だなと思う。

 二階堂永里はあの日の飲み会の幹事をやっていた、南由の親友だ。彼女の職場近くの駅ビルに入っているから、便利なのだろうか。

 スマートフォンをズボンのポケットに突っ込み、エスカレーターで五階に上がる。


 (南由も来たことがあるんだろうな)と思うと、胸が淡く暖かくなる。(今度、南由に会った時に聞いてみよう……)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る